ただの備忘録

未来の自分に贈る、舞台の記憶と感想

「フランケンシュタイン」@日生劇場 2020年1月

1月、秒で過ぎ去ったんですけど…?え?もう2020年の12分の1が終わったの?まじ??ってくらい熱に浮かされていた。北極の地獄に。

フランケンは初演で柿澤さんを観て、「わたし…この人…好きだね…??」となったきっかけの作品(その後、紳士("Gentleman's guide~")で完落ち)。再演でも色々突っ込みたいところや改善してほしいところとかはあるけど、ビクターとアンリ(そしてリトルズ)の芝居と歌の殴り合いで、そのあたりの不満を吹き飛ばしてくれた!というか狂わせてくれた!!ビクアンの力技!!!!(裏を返すとビクター・アンリ以外よ…という気持ち)。


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・1/9(水) マチネ:柿澤、小西、小林、浅沼

・1/11(土) マチネ:柿澤、加藤、大矢、浅沼

・1/12(日) マチネ:柿澤、小西、小林、山口

・1/13(月) マチネ:柿澤、加藤、小林、山口

・1/19(日)マチネ:中川、加藤、大矢、山口

・1/19(日)ソワレ:柿澤、小西、小林、浅沼

・1/23(木)マチネ:柿澤、小西、大矢、浅沼

・1/25(土)マチネ:中川、小西、大矢、浅沼

・1/25(土)ソワレ:柿澤、加藤、小林、山口

・1/27(月)ソワレ:柿澤、加藤、小林、山口

・1/29(水)マチネ:柿澤、小西、大矢、山口

・1/30(木)マチネ:柿澤、小西、小林、浅沼(東京千穐楽

 

書き出してみると自分が思っていた以上に北極詣りをしていた。

 

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音楽:イ・ソンジュン、脚本 / 歌詞:ワン・ヨンボム
潤色/演出:板垣恭一、訳詞:森雪之丞

【ビクター・フランケンシュタイン/ジャック】中川晃教柿澤勇人
【アンリ・デュプレ/怪物】加藤和樹小西遼生
【ジュリア/カトリーヌ】音月 桂
【ルンゲ/イゴール】鈴木壮麻
【ステファン/フェルナンド】相島一之
【エレン/エヴァ露崎春女
【リトルビクター】大矢 臣・小林佑玖
【リトルジュリア】浅沼みう・山口陽愛

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ちなみに初演の時の感想↓。以下ネタバレしています。

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初演の時には「かっきー」呼びだったのが、「柿澤さん」呼びになっているのは好きが高まると一般的な愛称で呼べなくなるというあれです(あれとは?)。

 

柿澤さんの1年ぶりのミュージカルを待ちに待っていたのですが、初日に聴いたとき歌がうまくなっていて素直にびっくりした。いや、 ボイトレ通っているのは知っていたし、1年前の作品がスリルミーっていうのもあり張り上げる系の曲ではなかったのもあるけど、低音域の響きが深まっていたし、高音域も強くなっていて、ぼっこぼこに殴られた。はーーーーー好きです(直球)。柿澤さんだけでなく、加藤くんもこにたんも歌が上手くなっていて!!!加藤くんを舞台で観るのいつぶりだろう?と自分の観劇まとめを見返したら2018年の「タイタニック」が最後だった(その前は再演「1789」)。グリブラではちょこちょこ歌を聴いていたけど、その進化にびっくりした。そしてこにたん!こにたんはアナトール以来だったけど、高音部分が出るようになっていてびっくりしたし、あっきーは安定の天才クオリティだし。柿澤さんも加藤くんもこにたんも歌が強くなっているのに加えて芝居の深みも増していて、ビクター・アンリの進化と深化がすさまじかった再演。まじでありがとう。

 

各ペアの感想はそれぞれ書くつもりなので、先に各役者の感想を。と思って書き連ねたらなんか辛口コメントみたいになったね?あれな人はあれしてください。

 

柿澤さんって「愛されたいのに、自分は愛される人間ではないと思い込んでいる(だが周りは愛してしまう)」という役をやらせたら天下取れるんじゃないかと思っているんですが(贔屓目)、今回もまーーーーー本当にビクターがどんぴしゃにはまっていましたね。もはや役というより、柿澤さん本人からにじみ出る愛しさ愛らしさなのかな?うん、そうだね(解決)

柿ビクターの根底にあるのが、人間や神への怒り・憎しみから、絶望へ変化しているように感じた。そして自分が「呪われた人間」であると信じていた。柿ビクターが「呪い」という言葉を発する度に呪いで自分を締め上げている。初演はもっと尊大で自分の能力に驕り、神に挑もうとした人間の愚かさゆえの破滅(自業自得)という印象だったのが、自分への呪いに抗うために神に挑んだ結果、呪いの深みに絡み取られて沈んでしまった。「運命」と言うべきか。アンリが加藤くんでもこにたんでも悲劇になる柿ビクター…。あきビクターは初演から変わらず「天才研究者」だった。強い。光っていた。彼にとって「呪い」は「神が与えた試練」でしかなく、自分が選んだ道は間違っていないという信念を強く感じた。

そして初演から役の方向性を大きく変わったアンリ/怪物の加藤くんとこにたんに狂わされた。あーーーーそうくる?そうくるか???とそれぞれの初日を観て頭抱えた。死に場所を探していた初演から、ビクターと共に生きる未来を描いていた再演に変化したこにアンリ。そしてビクターと共に生きる未来を描いていた初演から、ビクターのために命を捧げることに喜びを見出した再演のかずきアンリ。地獄。あっちもそっちも地獄。

 

初演でも感じた脚本の粗さは再演でも変わらず。多少手直ししてくると思っていたんだけどなぁ。でもビクアン役者がそこの粗さを埋めてくれていたので、個人的には初演よりも気にならなくなった。逆に気になったのがルンゲパートとフェルナンドのパート。言い換えるとアドリブパート。坊ちゃんのご飯の支度がディナーからデザートに変わったのは良かった。フランケンの世界観でかつ丼とかは聞きたくなかったもので。あと「そんなに見つめられると…Oh Yeah、恋に落ちてしまいそうです」の「Oh,Yeah」が日生後半からなくなったのも良かった。随所で壮麻さんが良いお芝居しているからギャップというか、笑わせようとしなくても良いのにー?と思っていたのだけど、孤独になったビクター少年を笑わせようとした結果の空回りだとしたら切ない。観客じゃなくてビクター坊っちゃんを笑わせたいんだもんね。ビクターだけを見ていた人だもんね……。

そしてフェルナンドのパートはほんとにもう~~~~~~という感じで毎回観ていた。柿ジャックがカタコトのような感じで話す「小僧!」と言われるお年寄りのような感じで話す(平成さんのモノマネ)「誰のモノマネだ」っていうくだり。柿ジャックの平泉さん風のしゃべりは「小僧」と言われたことに対する返しとして、ジャックらしさがでていて個人的には全然ありなんだけど、そこからモノマネとして話を進めるフェルナンドよ。世界観守ろう?初日は「3年前からやっているが」みたいなことを言っていて、そこに3年の時間軸持たせるのーーーー????やめてーーーーーーーとなった。さすがに序盤辺りで「3年」という単語は出さなくなったけど、「モノマネお兄さん」はずっと続いていてな。そう話すと「モノマネをしているジャック」と確定させられるから本当にやめてほしい。「受ける」と思ってやっている短絡的なアドリブほど辛いものはない。そして相島さんはお歌が……3年前から全く進歩していなくて辛かった……ウウッ。 3年で着実に歌のスキルが上がったビクター・アンリを見ると、どうしても悲しくなる……

フランケンのチケットの捌け具合が悪かった原因はほぼここにあったのではないかと思うのがファン感謝祭の歌唱披露。今回唯一のプリンシパルキャストで入れ替えがあったエレン/エヴァの露崎さん。書初めで「体力温存」と書かれていたように序盤は抑えている感じが見て取れたので、それが徐々に解放されてきたのは良かった。東京楽は初日と比べ物にならないほど良かったよ!初演があのめぐさんだから、どうしても厳しい比較になっちゃったっていうのはわかっているんだけど、初演を知っている者としてはどうしてもめぐエレンの慈愛と憂いを求めてしまうのです。エレン/エヴァ、めぐさんだと「慈愛/残虐」で露崎さんだと「凡庸/粗暴」という印象。露崎エレンは普通の感覚を持った女性。普通に弟を心配して、ステファンに留学させろと言われたらそれが正しいと思い、ビクターの研究や想いが全く理解できない(というか想像つかない?)人。だからこそアンリが捕まったときに「アンリの首が欲しいの!?」とビクターを問い詰める台詞に違和感が。「あれ?お姉ちゃん、急にビクターのことわかった??」 となってしまう。露崎さんはエレンより断然エヴァのほうが好みだし、合っていると思った。めぐエヴァだと高級闘技場のような格の高さを感じたけど、露崎エヴァは「金よ、金、金、金!!!!」という言葉がめちゃくちゃ似合うし、命よりも金が大事であるという人間ということが如実に出ていた。そして闘技場の場末さというのもひしひしと感じられたし、ざらつかせた声で歌う「欲望と血の世界」は凄く良かった!!(エヴァを演じてもらうためにキャスティングされたのかなという気持ちにはなった) 地方の時にはエレンのお芝居を深めてもらえたらなぁ~!初ミュージカルでこれだけできているのは凄いことと思うし、だからこそ伸びしろはあると思うので期待したい。

ジュリア/カトリーヌの音月さん。カトリーヌめちゃくちゃ良くなっていた!ものすごく力強い。歌も強化したんだなぁと伝わってきた(初演は中盤から喉が危うかった記憶)。曲終わりに拳を突き上げていたけど、日生最終週あたりから突き上げるのを止めていて、そっちのほうが解釈合うー!となった。人間(らしい生活を送るため)になるために獣になろうとしたカトリーヌ。ジュリアはこの作品における立ち位置が難しくない?リトルジュリアは絶対に必要な存在だとわかるんだけど、大人になったジュリアの存在感の薄さよ。これは音月さんのせいとかではなく、脚本・設定の問題…。

エレンとジュリアが良くも悪くもビクターにとっての存在が薄くなったために、ビクターとアンリ・怪物の2人の物語が色濃く描かれた再演だった(そして沼に落ちていく人々)。

 

演目にぴったりな和やかな正月風景↓
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自分用メモ

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歌唱披露のときよりほんと格段に上手くなっているなぁ~~~。ってか顔が若い。