ただの備忘録

現場を振り返ることを枷にして記憶の定着を図る。つまりただの備忘録。(主に舞台の感想)

「フランケンシュタイン」@日生劇場 2017/1/22マチネ、1/26マチネ

やっと書き上げた、あきビクター回の感想。

1/22マチネ ビクター/ジャック:中川、アンリ/怪物:加藤

1/26マチネ ビクター/ジャック:中川、アンリ/怪物:小西

 

Wキャストの醍醐味。こうもアプローチが違うのかと!本当は交互に見たかったけど、自分の観劇スケジュールの都合上、かっきー2回→あっきー2回となってしまった。しかもアンリ/怪物は加藤くん3回→小西さん1回の順だったのでもっとどうにかしたかった。

 

あきビクターは「研究者」だったなと。口ぶりは丁寧だし、理論的に話そうとしていた。帰還後の屋敷でのステファンとの会話とかまさにそれなんだけど、質問されたことに対して無駄な答えはしない、という印象…かきビクターと全く同じ台詞なのにこうも違うのか。特に「ドイツ人女性は~」のところは有益な情報を教えてあげよう、というふうに見えた。(かきビクターは下世話なことを言ってやろう、場の雰囲気を壊してやろう、という考えを感じた) それがとても"理系の人"そのものだったなぁと。

ビクターには他の人とは違う思考や哲学を持っていて、周りの人間からするとそれは「魔女」だったり「呪われた子」だったりと表現され、ジュリアやエレンはそれを「天才」と表現していた。 幼い頃に周囲の人間の圧倒的な狂気にさらされたことがビクターの人格形成に大きく関わっていると思っていて。かきビクターは人に唾を吐かれないように、人に下に見られないようにと自分を守るために、尊大な人間にならざるを得なかった。自分の中の「怪物」は「亡くなった人を生き返らせる」という理想。だけどその「怪物」をどこか恐れていて感情的で不安定で。対するあきビクターは自分の中の「怪物」と共存していて、あくまでも観察対象で、冷静に分析していそう。それが顕著に表れていたのがアンリが捕まってしまった後の「僕はなぜ」。かきビクターは自分の中の「怪物」への恐怖も感じたけど、あきビクターは自分の中の「怪物」がどのように成長するのかを客観的に見ていたように思えた。そしてあきビクターは「偉大なる~」の歌で、自分の中の「怪物」が自分の一部になっていた(かきビクターは「怪物」に取り込まれそうになった感じ)。怪物を創造したとき、研究者としての実験が成功した興奮と友人を蘇らせたことへの高揚、自分が「神」となったことへの悦が体の内側からほとばしっていた。

 

2幕のあきジャックはエヴァの旦那というより下僕w かきジャックと違って、残忍なことはできないし、カトリーヌへのえぐい仕打ちも目をつぶっていたりと、エヴァの暴行はとても見てられない…> < って感じが可愛かった。。怪物とカトリーヌの密会を見つけたときも⊂( ・ω・)⊃キーンって手下と現れてきてて可愛かったw なんだろう、全体的にあきジャックは小物感が可愛かったw

 

加藤くんのアンリはビクターに出会って「一緒に夢を叶えたい」と願っていて、「君の夢の中で生きられるのなら」という言葉には、君の理想が実現したらまた"僕と"会えるから、落ち込まないで、とビクターを想って歌っているようで。でも本当はこの先もずっとビクターと共に生きたかったという心も見えて、加藤アンリの最後の微笑みは切なくて切なくて。

小西さんのアンリはずっと死に場所を探しているような雰囲気を纏っていた。ビクターについてきたのは「いつ死んでも構わないが、この命を捧げるならビけクターのために」という印象。だから身代わりに死刑に処されると決まったときも、「やっとこのときがきた」と言わんばかりの静かな決意。「君の夢の中で生きられるのなら」は小西アンリ自身がビクターの夢のために尽くせればいいと思っているので、ビクターの友を失いたくないという想いと悲しいほどすれ違う。

怪物のときもアンリと同じイメージ。加藤くんの怪物は創造されたときの赤ちゃんっぷりに現れているように、最初の刷り込みさえ上手くいっていればほのぼのとした"怪物"になれたんじゃないかな。お花を摘んで少女と微笑みあってる光景が目に浮かぶ←

怪物として人間に恐れ、疎まれ、殺されそうになる日々だけど、またカトリーヌのような人間が現れるんじゃないか、創造主ビクターももしかしたらそうなんじゃないか、とどこか人間に期待をしていた。そして森の中の子供との場面はアンリとしての記憶がふっと出てきて言葉に出てきてしまったように見えた。「友達」、そしてラストの「ビクター」。親友を2度も殺してしまったビクター。かきビクターは「絶望」を、あきビクターはなんだか「希望」を感じたんだよなぁ。希望というには違うんだけど、最後の「フランケンシュタイン」という歌声に強い光を感じた。

小西さんの怪物は創造されたときから人間の汚い部分、恐ろしいところを目の当たりにして絶望していたところに、カトリーヌと出会って。唯一自分と分かち合えた彼女に裏切られたときから、「どう死ぬのか」ということしか考えていなさそう。ビクターがどんなに声をかけても何も届かない、響かない。でも最後にジュリアを殺して北極に向かうまでの道は、"自分"という存在について考えてつくして、そして偶然出会った子供に話しかけるとき思わず口から「友達」と出てしまった感じがして。ビクターとアンリの関係、そして自分という存在を考えているうちに。小西怪物はアンリとしての記憶は本当にないように思えるんです。ただ創造主に「アンリの生まれ変わり」でもなく、もちろん「怪物」としてではなく、「自分」という存在を認めてもらいたかった、それだけなんだと。だから最後の「ビクター」と呼ぶ、あの言葉はアンリとしてではなく、ビクターと友達になりたかったかもしれない彼自身の言葉のように思えて。

小西さんのアンリ/怪物はしんどい。だけどすごい好き。

 

友達とも話したのですが、あっきーと加藤くんは「陽」で、かっきーと小西さんは「陰」という印象を持っていて。だからあっきーと加藤くんの組み合わせはしんどさを感じなかった。しかしそんなあっきーでさえも小西さんとの組み合わせはほんとにしんどかった。しんどかったけど、とても好きなほう。