ただの備忘録

未来の自分に贈る、舞台の記憶と感想

「深夜食堂」@新宿シアターサンモール 2018/11/4ソワレ

日本語脚本と訳詞を亜子さんが担当されているので気になっていた演目。原作漫画やドラマは未見だけど、観に行ってきました。韓国でミュージカル化されて、日本に逆輸入(?)した作品。

 

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原作著作:安倍夜郎深夜食堂

<Book&Lyrics>JEONG, YOUNG <Music>KIM, HAESUNG

<演出>荻田浩一

<日本語上演台本・訳詞>高橋亜子

音楽監督・編曲・歌唱指導>福井小百合

<振付>木下菜津子

<出演>

筧 利夫、藤重政孝(忠)、田村良太(小寿々)、小林タカ鹿(剣崎竜)、碓井将大(ゲン)、エリアンナ(マリリン松嶋)、AMI(千鳥みゆき)、谷口ゆうな(鮭)、愛加あゆ(明太子)、壮 一帆(梅)

 

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亜子さんの言葉の数々が心地よく耳に入ってくる。最近、観劇した演目は訳詞がうーんとなることがちょこちょこあったけど、亜子さんの訳詞はするすると心にも入ってくる。改めて亜子さんの訳詞好きだー!となった。

 

以下、ネタバレあります。

 

 

冒頭、賑やかな演出が続いたので、勝手に作品に抱いていたじんわりしっぽりなお話という印象からだいぶ違うかも?と思いきや、中盤のアサリの酒蒸しやソース焼きそばのくだりではほろっと泣いてしまった。藤重さん演ずる忠は34年ストリッパー劇場に通いつめて、そこで働くマリリンに入れあげている中年男。それだけ聞くとちょっと引いてしまうけど、酔いつぶれた年老いた母親を迎えにきておんぶして帰る姿を見ると、誰しもが人に見せない人生を生きているんだと改めて感じた。アサリの酒蒸しもソース焼きそばも直接お互いに言葉をかけないけど、どちらも親子の深い愛。涙がこぼれてしまった。

 

深夜食堂は「人生の止まり木」とマスターが言っていたように、この食堂の中では客の"何か"が劇的に変わることはなくて、それぞれが食堂の外で起きた出来事を抱えて訪れる。その人生の交わりが心地よく、じんわりと心を暖めてくれる。観劇直後よりも思い返したときのほうが、じわじわと良い舞台だったなぁという思いが強くなってきた。

そうそう、ソース焼きそばとバターライスが出てきたとき本当にご飯の匂いが!!わたしはかなり後方席に座っていたけど、しっかりとソースとバターの匂いがしたのにはびっくりした。

 

小劇場ではあるものの、ピアノ、コントラバス、ギター、パーカスと生バンドあり。アップテンポな曲は耳残りも良いし、静かな曲はピアノの旋律が美しかった。

お茶漬けシスターズの3人はテンション高めで曲も明るい曲。ゆうなさんの少しぶりっ子キャラな鮭役とはギャップがありすぎる歌声は迫力があって素晴らしかった!そしてエリアンナちゃんも相変わらず素敵な歌声!恋多き女のマリリンは健康的な色気で見ていて清々しかった~!わたしのなかでツートップでした。あとゲイバーのママ小寿々役の田村くんがしっとりとした美しさを携えていてとても良かった。

梅と明太子の壮さんと愛加さんは宝塚時代でトップコンビだったこともあり、「あんた男みたいだってよ!」と壮さんが愛加さんに投げつけた言葉に愛加さんが激怒する場面は一部客席が盛り上がっていたww なんでそんなに受けているんだろうと最初思ったけど、あぁそういうことかと納得した。

 

筧さんのマスターは無骨な感じが良かったけど、曲と歌声ががちっとはまっていない印象だった。全体的に歌える人とそうでない方の差が大きかったかなぁと。そして振り付けはこれで正解なのだろうか…。お茶漬けシスターズとマリリンのところはだいたい振り付けがついていたのだけど、なんかもっと良くなったんじゃないかという思いがぬぐえない。凄く良かったから観に行って!と周りに声をかけられないのは、そういうところが原因かな…。

ただ訳詞はめちゃくちゃ良いです。脚本も音楽も良いです。ってことは、もうこれは演出が……ということなのか…。

 

気になるかたは劇場へ!(丸投げ)

休憩なしの100分なのでさくっと観に行けます。

 

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