ただの備忘録

未来の自分に贈る、舞台の記憶と感想

「シティ・オブ・エンジェルズ」@新国立劇場中劇場 2018/9/1、9/6ソワレ

不安が的中してしまった。ブロ銃のときにCoAは福田成分多目になると監督自ら呟いていたので不安だった。でも僅かながらに期待もしていたんですが…あぁぁぁぁ願い叶わず。本当は劇場のアンケートに色々書こうと思っていたのに、アンケートが置いていない!!!ってことで、思いの丈をここで。(観客の意見は聞かない方針なの…?聞きたくないの…??)

あんまり気持ちの良い感想ではないので、読むかどうかはご自身で判断してください。もしここにたどり着いた方が主催者、関係者の方でしたら読んでください。一観客の正直な感想です。チケット完売しているからといって、良い作品とは限りません。幕が開いたとたん、チケット譲渡が一気に増えた事実が作品の評価を物語っている。

 

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<出演>

山田孝之柿澤勇人山田優渡辺麻友木南晴夏、勝矢、瀬奈じゅん佐藤二朗、他

<演出・上演台本>福田雄一

<翻訳・訳詞>保科由里子

音楽監督・指揮>上垣聡

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 以下、ネタバレ含みます。

 

 

 

 

 

まず全体的に演者のレベルが低い(舞台でのスキルね)。柿澤さんだけ突出して高いレベルで、あまりにも周りとの差が歴然としていて逆に面白い← 

冒頭、アンサンブルさんたちがシャバダバと歌いながら踊るんですが(どちらかというと踊りメイン)、あれ…?心魅かれない…。わたしアンサンブルさんたちの曲があるとテンション上がるタイプなんですが、全然テンション上がらない。舞台の世界観を支える役目としてアンサンブルさんたちって凄く重要なのに、ハリウッドの世界に誘われないし、長い。……あ、そうか、これってスタインの脚本のイントロが長くてつまらないってことを現しているのか(閃き)。

 

今回、柿澤さん以外が映像の仕事をメインでやっている人たちでしたが、うーん…舞台の発声じゃない…。クリアに聴こえる柿澤さんと比べて、舞台を意識した発声ではないためかマイクの音量大きめで余計音が悪くなっている。福田さんの映像作品に多い、平坦で真面目なトーンでふざけたことをやるという演出をするためにはそうせざるを得ないのか。こういう演出なら中劇場ではなく、クリエぐらいの箱の方が良かったんじゃ?

 

あとは歌が「聴かせる」レベルではない。歌唱指導どなたですか!!と怒りながらプログラムをチェックしたよ…フフッ。山田くんは元々の声がジャジーな曲調と合ってて、雰囲気は凄く良い。柿澤さんとの「You're Nothing Without Me」は、二人ともきちんと芝居歌になっているし、めちゃくちゃ盛り上がる!柿澤さんの最後のロングトーンも素晴らしい。山田くんの歌はこの曲が一番良い。あと瀬奈さんとの「Double Talk (Alaura & Stone)」もなかなか雰囲気が良い。歌がうまい人とのデュエットだと山田くんはぐんと良くなるタイプなのかな。だから、優ちゃんとのデュエットは悲しいくらいなんにも入ってこない。優ちゃん、美しいし雰囲気もあるんだけど、言葉が頭に入ってこなくてするする~っと抜けていく。お芝居がなぁ……。ギャビーやボビーがどういう人なのかが伝わってこないから、スタインやストーンとの場面が薄っぺらくなってしまう。「Duet:With Ev'ry Breath I Take」、歌詞が頭に入ってこなくて、2人が切ない顔してるってことしか伝わってこない。あとラストの「I'm Nothing Without You」で優ちゃんがスタインとストーンが歌ってる間に入ってくるんだけど、あまりにも歌えてなさ過ぎて「ごめん、ちょっとそこ入らないで…」という感情が生まれてしまう…。キーが高すぎるのかな?2人の声にかき消されてしまっていて、それなら無理して歌わなくても…となってしまう。

まゆゆはトライベッカの時を考えると歌がとても上達しているから、お芝居がもっと良くなるといいなぁ。というか、めちゃくちゃ出番少ないね?びっくりした。この役にまゆゆをあえてキャスティングするとか、さすが福田さん贅沢遣いwという感じ。

二朗さんは……(自粛)。ただ言わせてほしいのは「これから上手くなります」(※ニュアンス)って歌い終わったあとに言うのずるくない?「"あの"佐藤二朗がやってるから許してくれ」って言っているように感じる。そんな免罪符許しちゃいかんでしょ。それなら言い訳入れずに、潔く歌うだけにしてほしかった。

そんな中、木南ちゃんも初ミュージカル組だったけど、とても良かった!!!「You Can Always Count On Me」はダナとウーリー2役の心境をきちんと現していて目が離せなかった!!芝居歌になってて素敵だったよ~~!!今後も舞台で観ていきたい役者さん(と思ったらカフカご出演!楽しみ!!) ほんとに観客の拍手の大きさは正直だわ、と思った。

 

 

 

福田さんによる演出・上演台本ということで 、ある程度内輪ネタが入るんだろうと予想はしていたけど、時事ネタ・内輪ネタ満載でしたね!ハハッ わたし内輪ネタや時事ネタが好きじゃないんです。なんでだろうと自分でも考えたんですが、「作品をリスペクトしていないから」と感じるからかな。ちょっと趣が違うけど、新感線もアドリブというか時事ネタをガンガン入れても、それは許せるんです。両者の違いは何かと考えたときに、オリジナル作品かどうかの違いなのかなという結論に至った。オリジナル作品だとそういう"遊び"も含めての作品だけど、翻訳物で版権取って…という元々作品として完成しているところに、"内輪ネタ"や"時事ネタ"を入れるということが受け入れられない。こちらは「作品」を楽しみにしているのに、役者の過去作品とかプライベートの情報とか、背景とか知らないと楽しめない作りになっているのが、観客を選んでるとしか感じられない。山田くん演じるストーンや二朗さん演じるアーヴィン/バディを観てもらおうとしていなくて、ストーン演じる山田くんやアーヴィン/バディ演じる二朗さんを見せようという「役者ファースト」な作りが受け入れられない。福田さんは敢えてそういう作りをしているのかな?そんな中、柿澤さん演じるスタインは、きちんとスタインとして生きてくれているので安心して観ることができるし、柿澤さんいなかったら舞台として成立してないわ。ほんとにさー、ストーンとウーリーが格子越しに保釈金について話しているときに天の声が流れるじゃないですか?わたし、脚本を手直ししているバディの声が聞こえる→現実世界に戻るっていう流れなのかな?でも声が二朗さんじゃない気がする…と考えてたらさ、ムロさんだったときの脱力感。完全にヨシヒコ入れてきた。まじかよ…なんで演出家自らハリウッドの世界観を壊してくるの…。乾いた笑いしか出なかった。

 

あと許せなかったのが、me tooをネタにしているところ。あんな風にネタにしていて…浅慮すぎる。全く笑えなかった。制作がOKしたことが信じられないんですけど、誰も何も思わなかったの…??もしくは誰も言えなかったの??あの箇所はすぐにでも変更した方がいいと思います。あーーーーーなんでアンケート置いてないんだよ!!!!冷え冷えになった気持ちになりながら、ブロ銃のときにウディ・アレンの件について何もコメント出さなかったことを今ここでネタにしてんのかな…とか穿った見方をしていた。

 

辛いコメントばっかしてしまったけど、木南ちゃんは良かったし、柿澤さんのお芝居と歌は本当に素晴らしかった。わたしはそこにチケット代払ってる。「Double Talk (Stine)」はステップも可愛くて素敵だし、「Funny」はスタインの怒りと野心が現れていて本当に好き。

 

あと数回観劇予定ですが、より良いものを目指していただきたいです…。


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