ただの備忘録

未来の自分に贈る、舞台の記憶と感想

「レディ・ベス」@帝国劇場 2017/10/9、10/16マチネ・ソワレ、10/28ソワレ

キャストほぼ続投で3年ぶりの再演。初演は見ていないので、再演のみの感想です~!ネタバレあるよ!

 

10/9(初日):平野、加藤、吉沢、古川

10/16マチネ:平野、加藤、吉沢、古川

10/16ソワレ:花總、山崎、未来、古川

10/28ソワレ:平野、加藤、未来、古川

 

まず劇場に入ってすぐ、盆の美しさに目を奪われる!これが噂の役者を苦しめている盆か…!!見ている以上に傾斜かなりきつそう。10月は1階席の前方・後方と入りましたが、前方席はセンブロじゃないと盆の傾きによってちょっと見づらいかも(サイドだとしたら上手より下手のほうが見えやすそう)。A席センブロは盆の上の照明も綺麗に見えたので、照明も楽しみたい方は後方か2階席のほうが良いかも。11月は2階席にも入るのでそのあたりも楽しみたい。

 

チケットを取るときに、とりあえず古川くんが観れればいっか、という感じで取ったのでキャストにだいぶ偏りができてしまった。ベス・ロビン・メアリーの組み合わせ、もうちょっと考えればよかったと観た後に後悔するパターン。

 

平野さんはお初でしたが、歌お上手ですね!!自分が王女である自覚を持った20歳の女性で、父親を心から尊敬しているベス。(話変わるけど、平野さんってめちゃめちゃお顔が小さい!!かなり前方で座ったときに、あまりの顔の小ささにビビった。そして肌綺麗。つるっつる。) お花様はまだ"少女"という印象。父親も尊敬しているけど、それよりも「大好き!」っていう気持ちが前面に出ている。ときおりシシィと被る。(なんなら座組のエリザ感強くて、大谷さんとの場面は「父娘…!」ってなる) "レディ"のときの役作りは違うけど、"クイーン"になったときはお二方とも同じ雰囲気を纏っていた。でもお花様は「女王、何年やってます?」っていうオーラ。風格が凄い。平野さんはまさに「これから女王になると決意した女性」っていうイメージかな。個人的には平野さんの溌剌として聡明なベスが好み。

 

加藤くんは観る度に歌がうまくなってる気がする。そしてやはり彼は報われない役どころがまぁ似合いますね!!!ロビンが死んじゃう役じゃなくて良かった←   加藤ロビンは真面目。「歌って忘れよう」のときの、お前らちゃんと練習しろよの空気が部長。すごく真面目。居着く土地がないから流れ者として生きている。対するいくさぶロビンは全体的にチャラい、けど華やか。いくさぶ成分(?)多め。飽きたから次の土地に、とまさに「流れ者」。最後にイモーテルをベスに向けるとき、加藤ロビンはベスと共に生きる未来は消えたけど、女王としての彼女を讃えて送り出している表情がとっっっっても良かった。いくさぶロビンはなぜそんな笑顔…??いや、笑顔なのはいいんだけど、ロビンの報われなかった愛のくすぶりを感じられなくて、そんな吹っ切れるもんなのか??と「?」がたくさん出てしまった。

 

古川フェリペ。観るたびに思うけど、ほんっとに美しいなこの方は。びっくりする。小麦肌は初日だけ拝めました。「COOL HEAD」のイントロが流れた瞬間、それまでの曲調と明らかに違って「フラメンコ始まります??」って感じで初見のとき噴き出しそうになったww 初演のときの動画で見てはいたけど、スペイン王子の乱れたお姿最高です~~!!!双眼鏡でガン見ですよね。女性もののコルセットドレスを纏うとか好きに決まってる~~~!!

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↑初演の時のPVだけど、1:51らへん。女性との絡み堪んない。

道行く人のときのロビン一行とのやり取りで王子の身分を隠そうとするフェリペ可愛いかな。フェリペがこんな面白キャラだとは知らなかったよw でも腹に一物ある演技は凄く良い。特に毒の場面でガーディナーに杯を勧めるところ。

 

吉沢メアリーはクールビューティー、未来メアリーは圧って感じかな。吉沢さんとお花様の組み合わせの観劇予定がないのが残念~。未来メアリーは平野ベスとのほうが相性良い気がする。お花様とだと、ベスがメアリーに謁見する場面とか姉妹ではなくて嫁姑の関係に見えて、お花様ベスもボロボロにやられてて。最後に和解するところも同じ境遇だった姉妹という感じじゃなく見えたんだよなぁ。でも平野ベスはすでに芯があるというか、やられても「何で私が!!??」っていう反発心が見えて、対等にやりあっている感じがする。吉沢メアリーはどちらとでも相性良さそうなイメージ。平野ベスとだと、より姉妹感が出る。

 

禅さんガーディナーと圭吾さんルナール。はい、好きー。好きに決まってる。ガーディナーは徹底して悪役なのが良い。「ベスを消せ」の台詞を交えながらの歌とか好きに決まってる。↑のPV動画の2:16ごろの曲。私の好みどんぴしゃ~。禅さんガーディナーの「レディ」の言い方がねちっこくて最高です。

 

それにしても衣装がほんとに美しい。かなり前方に入ったとき、間近で衣装観たんだけど、すっごいキラキラしてる。お金掛かってる~。メアリーの結婚式のときとかベスの戴冠式の衣装の煌めき凄い。あと、結婚式の時のアンサンブルさんの衣装が!!すごく!!好きです!!!赤×黒×ゴールドとかみんな好きなやつ!!え、皆好きだよね??プリント柄が綺麗だなぁと双眼鏡でガン見したら、何かの有名な絵画?オリジナルなのかなぁ。気になる。(皆大好きな衣装は↑動画の3:30のところ)

衣装の生澤さんの記事↓

http://community.pia.jp/stage_pia/2014/04/LadyBess09.html

ついでの舞台美術の二村さんの記事↓

http://community.pia.jp/stage_pia/2014/04/LadyBess08.html

 

 

全体的な感想としては、演者はいいんだけどなあ~というところでしょうか。歌うまな人たちが出ているので耳は幸せだし、見えるものも美しい。ただ曲の印象が薄いんだよなぁ。フェリペ、メアリーとスペイン側とカトリック側の皆様の歌は結構耳に残るんだけど、メインのベスとロビンの曲がいまいち耳に残らない。聴いているときは心地よいんだけど。こないだまでワイルドホーンの強めの曲たちを聴いていたからかな…?私は強めの曲が好みなのでそれもあるかもですが。ちなみに私の中で1,2位を争う好きな曲はメアリーの「悪魔と踊らないで」とガーディナー・ルナールの「ベスを消せ」。

「悪魔と踊らないで」の"悪魔"はプロテスタントであるベスのことを指しているっていうことでいいのかな?「良い種 悪い種」の歌詞はマタイの福音書13章から引っ張ってきているみたいですね。「悪い種」も「悪い実」もプロテスタントであるって考えると、毒麦を集めて燃やす=プロテスタントを火刑に処した、ってところを掛けているのかな。結婚式でも「ベスを火刑に処しましょう」って言っているし。ただ「七人の騎士」が分からないんだよなぁ。「騎士」で調べても「四人の騎士」しか出てこない。3人どこで増えた。

 

メアリーは時間を巻き戻そうとカトリックを強制して、プロテスタント(イギリス国教会)のベスを排除しようとしていたけど、最後は同じ境遇であったベスと和解する。までは話の流れとしていいんだけど、メアリーの「ベスが女王になってもカトリックを」と願うのに対して、ベスの「この心の導くままに行動する」との答え。この「心の導くまま」のアンサーがないまま終わってるのがどうもスッキリしなくて…。アスカム先生との「王国が現れる」の曲中で「全ての思想は自由と認めて 異なる意見許す 聞きましょう」と歌っているけど、このときは「レディ」の立場であって、「クイーン」の立場ではその考えを言っていないんですよ。女王の立場で語ってこそ本物だと思うんですけど(言葉の重みが違う)、それがないのがなぁ…。家に帰って調べてね!のスタイルなのか、イケコ…。父親ヘンリー8世の帽子を抱きしめるメアリーの胸中を想うと辛い。

あとちょっと気になるのがベスがロビンと歩む人生ではなく、女王として生きることを決める「傷ついた翼」~「闇を恐れずに」。ベスが「国民のために!」というポジティブな気持ちで女王になるのではなく、「自由な人生など歩めない王女だから、その人生を受け入れる」という感じなんですよね。王族に生まれた人はめちゃくちゃ共感できるんだろうなぁ~。個人的にはポジティブ要素も盛り込んでほしかったけど、とてもリアルな感情ではあるよなぁと感じた。

 

最後に一つだけ。なぜターザン!?!?!?なぜそれを選んだ…!?!?イケコ!!!ベスが幽閉されている建物に登ろうとするときもターザン。そして最終的に壁をよじ登ってて、「ターザンの意味!!!??」と心の中で盛大に突っ込んでしまった。

 

とまぁ色々書きましたが、11月もしっかり観に行きますよ~~。平方フェリペ楽しみじゃ~~。