ただの備忘録

未来の自分に贈る、舞台の記憶と感想

「フランケンシュタイン」@日生劇場 2017/1/28マチネ

しんどい。

柿澤小西、しんどい。

 

粘って粘ってチケット探して、当初は諦めていたかきこに回を観劇できました!!諦めなくて本当に良かった…!!東京my千秋楽。

 

ビクター/ジャック:柿澤、アンリ/怪物:小西

 

柿澤×加藤の組み合わせでかきビクターにやられ、中川×小西の組み合わせで小西アンリにやられ、しんどい×しんどいの組み合わせやばい…と観劇数日前からとてもしんどかった。結果、やっぱりしんどかった。「しんどい」「苦しい」がとても多く出てきます。語彙力こい。

 

あきビクターの感想と同じこと書いている部分もあるけど気にせず書く。 

ta-ma27.hatenablog.com

 

かきビクター好き。やっぱり柿澤くんの歌が好きだ。怒りや悲しみで感情がむき出しになったときの歌声がたまらない。1幕のビクター、ほんっとに苦しかった(わたしが)。2幕のジャック、ほんっとにゲスだった(かきざわが)。

 

小西アンリ、戦場で初めてビクターと出会ったとき、それまで死んだような目をしていたのに光が灯ったのが見えた。これがのちの「恋をした」とき。

かきビクターは周りの人に対して尊大だったり、自信過剰だったりで普通なら煙たがれる存在。だけどそれは「自分を守るため」のようにも見えて。「呪われた子」と蔑まれないように、自分を大きく見せているように感じた。戦争から帰還して屋敷に入った瞬間の不安げな表情だったり、久しぶりに再会したジュリアやエレンともうまく目を合わすことができなかったり、実験で失敗が続いてもう駄目だとやけ酒したりと、どこか幼い子供のようなところがあって憎めない。

酒場の場面って唯一の明るい場面だと思うんですが、ほんと心のオアシス。小西アンリが「ここは僕がおごる」と宣言して、客たちがうぇーいってアンリを輪の中に入れて騒ぎ立ててたところ、かきビクターは端っこにひとりぽつんと羨ましそうに寂しそうに立ってて(加藤アンリのときもそうだったかもしれないのだけど、ちょっと記憶にない←)。子供のころから友達もおらず1人で生きてきたのがありありと出てて、苦しくなった。人との関わり方がわからないんだよね。その場面、あきビクターは面白そうに見てたような気がするけど、自分の記憶に自信がない。だけどあきビクターは客たちの中にうぇーいって自分で飛び込むことができそうな感じはする。かきビクターは絶対できない。

小西アンリ、ビクターが「飲~み干そう♪」って歌うと追いかけるように「飲み干そう」って囁くように歌うのがすっごい好き。ときめいてしまった。最後のほうに2人が酒場のテーブルの真ん中に座るとき、かきビクターが小西アンリの右足に自分の左足を乗せて座っているのを見て、双眼鏡を握る手に力が入りました。甘えちゃってる感じがものすごく可愛いね…??オケピに吐いて「I'm sorry」って言うし(そしてその下に位置する演奏者の方@オケピ がスコアでガードするっていうw)。最後は酔っぱらって二人で大の字になってる光景、この後起こることを考えると尊くて辛くなった。

ルンゲとのやり取りは「ルンゲ…(ちゅっ) お前は…(ちゅっ) ほんとに…(ちゅっ) いいやつ…(ちゅっ) だ…(ちゅちゅちゅちゅちゅ)」と、片頬ずつ→おでこ→鼻→口の順かな?でめっちゃちゅーしてた。そして小西アンリもかきビクターと同じようにちゅっちゅしてて、ルンゲ役得すぎたw

 

そっからの裁判の場面で落差が激しい。観劇中、動悸がひどかった。

椅子に体育座りして考え込むかきビクターが子供のような幼さを放っていて苦しい。そこからの「僕はなぜ」の歌。かきビクターは幼い頃の周囲の人間の圧倒的な悪意・狂気によって、彼の心の中に「怪物」が生まれてしまったように見えて。でもその「怪物」は「より多くの人を救うための人体再生術」という希望・理想であると自分では思っていた。それまでは。だけど「アンリの首を欲している自分」という本物の怪物の姿が見えてしまったことへの恐怖、研究者としての欲、かけがえのない友人の命を奪うことへの葛藤が歌声に乗っていて…とても苦しかった…。しんどい…。

小西アンリは「自分の生きている意味をいまだに見つけられていない」と言っているそのままに、死に場所を探し求めているように見えた。彼が生きているのは「余生」。だからビクターの罪を自分が被って、死刑を宣告された時も静かに自分の運命を受け入れていた。「こうなるときがやっときた」そんな感じ。静かな笑顔がつらい。泣きじゃくるかきビクターを抱きしめる小西アンリの姿、息できなくなるくらい苦しくなった。かきビクターにとっては唯一自分の理想に共感してくれた「親友」…。

その後の「偉大なる~」の曲。彼の中の「怪物」が意志をもって動き出した。アンリの首を愛おしそうに頬に寄せる姿、狂気。怪物が動き出したとき、かきビクターが指を口にくわえて笑い声を噛み殺そうとしている姿もまた狂気だった。そして自分が創り出したものは"美しいものであるはず"だという驕り。人を殺めたり、傷つけたりしない。そう思っていたのにルンゲを失ってしまった時の絶望的な表情…「神はまだ呪うか」。曲のラストで「アンリーーーーー」と歌うところ、最後のところをキー上げていてぞくっとした。

 

1幕だけでこんだけ書いてしまった。幕間、苦しすぎてぐったりしてた。

 

2幕の闘技場の場面。かきジャックのゲスさに磨きがかかっていてほんとひどかった(笑) あきジャックはエヴァ>>>>>>>>あきジャックの力関係なんだけど、かきジャックはエヴァ≧かきジャックくらい。残酷なこともエヴァと同じくらいする。

加藤怪物には「下手くそ」って言ってたのに、小西怪物には悶えたと思ったら「お達者♥」って言ってて「ゲス澤…」って思ったよ!しかも加藤くんの時は客席側にお尻向けていたのに、今日の小西さんの時はちょっと横向き加減になっててこちら側に何してるか見えるようにしてたよね??お前さんよ??ほんとジャックのときのかっきー、ものっすごい自由に楽しんでるw 平泉成さんの声真似→フェルナンド「なんだそれは」→「大人の事情で言えない」とか言うし(笑) 「I have a アンリの首♪ I have a ビクターフランケンシュタイン♪ っっっんーーー!!!怪物くん♥」→「滑ったみたいになったじゃねぇか!」→小西怪物に向かって「お前は笑うんじゃねぇ!」って杖でぶん殴ってて、まぁひどかった!(笑) 

 

小西怪物とカトリーヌ。恋をしているように見えた。薬を盛られた水を差しだされた時も、愛おしそうにカトリーヌの手に触れていて。観ているとき、森の中で子供に語らう場面での「どう恋をして」という歌のフレーズが頭の中で流れてきて、苦しくなった。恋をしたカトリーヌに裏切られて、「見るな!この化け物!」と罵られるところ。加藤怪物は赤ちゃんだから(←言い方)、罵られてもカトリーヌを母のように慕っている表情をしているんだけど、小西怪物は裏切られた絶望とカトリーヌへの恋心が入り乱れた目をしていたように感じた。そう。加藤怪物はカトリーヌに裏切られても彼女のことを信じ切っていて、その後人間を憎んでいるけど、どこかで人間にまだ期待しているんじゃないかって思える。だけど小西怪物はビクターに裏切られ、カトリーヌに裏切られ、人間に1mmも期待していない。怪物として生きることに絶望しか感じていない。「創造主」と話すときの声はとても冷たい。

 

森の中でも子供との場面。「友達」という言葉が口から出てきたとき、はっとした表情をしていた。「なんで友達って言ったんだろう」。でもそのまま心に任せて「友達」という言葉を続ける小西怪物。

「怪物」って周りの人間がそう呼んでいるだけで、彼自身は決して「怪物」として創造されたわけじゃない。体がつぎはぎで、生きるために・自分を守るために力を使った。子供が「誰かが作ったの?」って無邪気に尋ねたとき、「あぁ、こんな小さい子供のなかにも"怪物”がいる」と思った。彼自身もそう感じたんじゃないかな。「どうして…?」「首に傷があるから」。人間は見た目だけで彼を「怪物」と恐れた。彼自身がどのように思い、生きているのかも知ろうともせず。創造主のビクターでさえも。ビクターが創造主になってしまう最後のスイッチを押したのはアンリの死。そしてそのアンリの死を生み出したのは、街の人々の自分たちを脅かすものへの恐怖、狂気という名の「怪物」。この子供のなかにもそんな「怪物」がいる。そんな思いで子供の首に手を回したのかな…。でも首に手を回してからがとても長かった。逡巡しているような。だけど、結局彼は手を外した。無関係の子供を殺めてしまおうとする自分の中の「怪物」の存在に気が付いたから…?それとも彼と出会ったことで子供の中にある「怪物」は影を潜めると思ったから…?

 

ラストの北極の場面。銃をかきビクターに渡すとき、小西怪物はとても静かな顔をしていた。ようやく待ち望んだ死を迎えられる。何歩か後ろに下がって、ビクターに狙えよと言わんばかりに左胸を露わにする小西怪物、やばい(急に語彙力失う)。撃てないビクターに襲い掛かろうとして撃たせ、「これで本当に1人。これが俺の復讐」。怪物になってからは「創造主」としか呼んでいなかったのに最後の最後で「ビクター」と呼んだ。アンリの記憶ではなく、彼自身の言葉に聞こえた。

親友を失い、義父を失い、姉を失い、妻を失い、そして最後に再び親友を失ったビクター。彼の顔を腕に抱いて、「神よ俺を呪え」と歌う。しんどい。ものすごくしんどい。絶望を全て背負いこんでいて、辛い。「フランケンシュタインーーーーー!!!!!」と叫ぶのが、怪物を創造したときの自信に満ち溢れたものと全く違っていて苦しい。しんどい。

 

ほんっとに苦しくてしんどかった。けど、楽しかった。しんどかったけど。

 

4000文字超えたようです。そして書き始めて6時間くらい経ってます(→その後、追加しては書き直しを繰り返してトータル12時間くらいかかってんじゃないかな…)。少しずつ少しずつ消化していきました。思い出しては苦しくなって、書いては苦しくなって、を繰り返していた。

ここまでフランケンシュタインにがっつりはまるとは思っていなくて自分でも驚きです。でもこれはキャストの熱量だったり、魅力的な音楽や照明の美しさ、すべてが相まっての当然の流れですよね。もっと入りたかった。

なんでロミジュリとだだ被りの日程なんだよ!!主催者!!!もっと言うと、真悟ももう1回は観たかったんだぞ!!!

 

そしてこんなに柿澤沼にずっぽりはまるとは。紳士~のチケットそれなりに買い足したよ?そして観劇後の物販で流れるようにスリルミーのCD買っちゃったよ?沼にズブズブ…

地方公演がもっと日程があったら良かったのに。名古屋大千秋楽、行きますね。 

 

とりあえず東宝さまはCD販売してください。どうかお願いします。

 

●今日のルンゲ●

・かにピラフ

・「質問ですか?命令ですか?」→「しばかれたいんですか、どうなんですか」→「…友よっ(とんとんっと胸を叩く仕草)ってやってほしいんです」→「絶対やだ」