ただの備忘録

未来の自分に贈る、舞台の記憶と感想

「メリー・ポピンズ」@東急シアターオーブ 2018 感想②

風に吹かれたようにあっという間に東京からメリー・ポピンズが飛び立ち、梅田に舞い降りてしまった。あっという間というか、メリー・ポピンズの観劇の余韻と次の公演を観る楽しみで、毎日が楽しくて楽しくて、ずっと楽しいまま5月のGWまで駆け抜けてしまった。メリポピ公演中、心身ともにめちゃめちゃ健康だったよ私。いや、ほんとのことを言うとGW中、体調崩しかけたけど観劇日の朝にはきっちり熱が下がってるミラクル(というか意地)。その反動でGW後にがっつり寝込んでしまったが←

自分の梅芸観劇前にぎりぎり書き終えた…

 

・4/21ソワレ:濱田、柿澤、山路、木村、鈴木、コング、浦嶋、小野田、渡邊、大前

・4/23ソワレ:濱田、柿澤、駒田、木村、鈴木、パパイヤ、浦嶋、小野田、渡邊、坂野

・4/28マチネ:平原、柿澤、山路、三森、鈴木、コング、久保田、小野田、浅沼、坂野

・4/29ソワレ:濱田、柿澤、駒田、木村、島田、パパイヤ、久保田、もう、浅沼、坂野

・5/3ソワレ:濱田、柿澤、山路、木村、鈴木、コング、浦嶋、小野田、浅沼、坂野

・5/5ソワレ:平原、柿澤、山路、木村、島田、パパイヤ、浦嶋、もう、岡、竹内

・5/6マチネ(前楽):濱田、柿澤、駒田、木村、鈴木、コング、浦嶋、もう、亀山、大前

 

前半は三森ウィニフレッドが多かったけど、後半は花代ウィニフレッドがほとんどだったんだなぁと書き出してみて気付いた。あーやメリーを増やしたくて堪らなかったんだけど、もう!増やすところが!ない!!っていうスケジュールだったので泣いた…。大阪増やそうって思ったけど、4月終わりくらいに確認したら土日綺麗になくなっててさ…さらに泣いた…。みんながメリー・ポピンズの魅力に気付いてくれたなら本望です…ウウッ

 

以下、完全にネタバレです。

 

 

 

メリーポピンズを観ると、体の細胞レベルで幸福感で溢れる(突然出てくる私の中のブルゾン)。ジェーンとマイケルの子供二人だけでなく、ジョージとウィニフレッド夫妻の成長も描かれていて、「かつて子供だった大人たち」=私自身にも人生で大事なことを教えてくれてる。それが全然説教臭くはなくて、自分の中の「気づき」に任せてくれているから心の底から感動で震える。ほんとに、メリー・ポピンズは人生の必修科目にした方がいい(真顔)。

メリーポピンズの話の中で「凧」は「縛られない人生」「自由」の象徴のように感じられた。マイケルは途中まで「飛ばない凧」を持って街中を駆け回り、父親のジョージに「パパと一緒に揚げたいんだ!」と伝える。だけど「そんな時間がどこにある」と無下に断るジョージ。ジョージは「Cherry Tree Lane」の曲中で「私が王様」と高らかに歌っているけど、まさに井の中の蛙のようで、自分の規律と秩序が正だと信じて疑わない。「The Parfect Nanny」で子供たちが自分達を「可愛らしい」と言っているのに対して、苦虫潰したように「それはどうかな」と答えてるし(これは何度みてもマジか!と思ってしまう)、ミス・アンドリューに育てられたある種の呪いみたいなものに縛られている。凧を揚げたいマイケルは、ミス・アンドリューから逃げたときにバートと共に凧を揚げる。このときマイケルの「でもパパと一緒に揚げたいんだ」という言葉に胸がぎゅっと締め付けられる。その言葉を否定せず「そうだよな」「でもパパはきっと国中の誰よりも誇りに思うよ」と優しく寄り添って答える柿バートにさらにぎゅっと締め付けられる。最初の頃はジョージに凧揚げを教えてもらいたかったマイケルの想いを優先しても良かったんじゃないかなと思っていたんだけど、バートはマイケルたちに凧揚げ=自由に飛べる喜びを教えてあげて、そのマイケルとジェーンが後々ジョージをミス・アンドリューの呪縛から解き放つ手助けをするって考えると、この場面でマイケルが凧を揚げるのは必要だったんだなぁと今は感じている。(メリーが言った「子供たちが面倒をみるんじゃないの」にも繋がる)

ちなみに凧を揚げていない大人はもう一人いて、公園の管理人さんも最初は「ここは俺の公園」と言い散らしていたけど、マイケルとジェーンとともに凧揚げをしたことで子供時代の思いを取り戻している。そういう意味では彼は"軽傷"なんだなぁと思う。

この「Let's Go Fly a Kite」の場面、美術と演出が凄く好きで、特に舞台奥に映る街と林の遠景シルエットがとても美しい (ちなみに今流行っている(?)"細かすぎて伝わらないメリーポピンズのここが好き選手権"*1で挙げるとしたら迷わずこれを選ぶ)。遠景シルエットによってジェーンとマイケルは街から遠く離れたところまで逃げてきたのかな?と思ったんだけど、そうなると管理人さんの管理範囲がめちゃくちゃ広いという疑問もあるんですよね。ただ前方席に座ってしまうと見えなくなるのが残念…。アンサンブルさんたちがシルエットで凧揚げをする姿も相まって、目の前に広がる光景が美しくて美しくて泣けてくる。

Step in Timeのリプライズ後、割れた家宝の花瓶の中から出てきたジンジャーブレッドクッキー。ジョージはどこに隠したか忘れていたって言っていたけど、意味を返せば「子供時代のことは忘れていた」ということで。このジンジャーブレッドクッキーを見た柿バートの「とても明るいね」の言い方が優しさに溢れていて、ここでも胸がぎゅっとなる。ジョージの子供時代、おそらくミス・アンドリューによる躾で子供らしく過ごせなかった時間だったと思うのだけど、ミセス・コリーのお店で煌めくような楽しい時間を過ごしたその証を「とても明るいね」と包み込むような温かさ…そして「たまに昔のことを思い出すのはいいことだよ」。あ~~~~~~柿バート大好きだ~~~~~。メリーもそうだけど、バートも誰かに意見を押し付けたりしない。ジェントルマン…。

バートが去った後にメリーがそっとマイケルが持っていた「飛ばない凧」を置いていき、ジョージがその凧をぎゅっと泣きながら抱きしめる姿に毎度涙が流れてしまう。彼が抱きしめたのは、子供の頃の自分なのかマイケルの想いなのか。

 

ミセス・コリーがジェーンとマイケルに言う「私は全部覚えてる」という台詞。子供時代のことも、生きていく過程のことも全て覚えているというのは、原作者(もしくはウォルト)の理想の姿なのかなぁ。いつでも子供のように縛られずに自由に飛べる大人。

 

ミス・アンドリュー絡みでいえば、「Jolly Holiday」の後のバンクス家の場面でウィニフレッドがキスをしようとしたらジョージが慌てふためいて、客席から笑いが漏れるところ。そんなにビックリする??って感じで面白いんだけど、「キスは女々しいこと」というミス・アンドリューの呪いなんだろうなぁ。それでも駒田ジョージはきょろきょろ見回して子供たちや使用人がいないことを確認してから、そわそわしながらキスを待っていて可愛いし、山路ジョージは髪を撫でつけながら「全然動揺してません」みたいなふりをしている姿が可愛い。ジョージは可愛い。

東京前半と後半で花代ウィニフレッドのキスした後の表情が変わった?前半の時は特に表情を変えることもなかった気がするんだけど、後半になるとフラストレーションが溜まっているような、花代 ウィニフレッドはジョージとの間にすれ違いを感じていそうな空気を感じる。元々の役者さんの個性・雰囲気もあると思うけど、花代ウィニフレッドは自己実現をしたい女性の印象で、三森ウィニフレッドはジョージの理想に沿いたいけど心が拒否していることに自己嫌悪している女性の印象(だけどその朗らかさと明るさでマイナスなイメージはないという素晴らしさ)。だから花代ウィニフレッドの表情の変化は彼女のウィニフレッド像にぴったり!と思った。

ウィニフレッドの成長は「Anything Can Happend」での「できるかどうかわからない」からの子供たちに背中を押されて、自分の力で銀行に乗り込んでジョージを救いだすことで表現されている。給料アップを要求するウィニフレッドが逞しくて笑ってしまうw 対するジョージはスパカリを歌い踊るところでも、その後ウィニフレッドに謝るところでもなくて、最後の子供部屋でマイケルに新しくて立派で本物の凧をあげて、ウィニフレッドに「そんなことより僕と踊ろうよ」とミス・アンドリューの教えでは「女々しいこと」に部類されるであろうダンスを子供たちの目の前でしたことで成長が表されていると思っている。5/5ソワレで、山路ジョージと花代ウィニフレッドの組み合わせのとき、山路さんが花代さんのほっぺを両方の人差し指でつんつんってしたときはバンクス夫妻の可愛さに爆発しました。あと坂野マイケルだったと思うんだけど(他のマイケルだったら申し訳ない…)、両親がダンスをする光景を見るのが気恥ずかしくて、もらった凧で顔を隠す仕草をしていて「その解釈100点!!」ってなった。バンクス一家大好きだよ~!

 

みんな大好きだと思うんですけど、わたし「Anything Can Happened」が凄く好きなんですよ。「どんなことだってできる。自分で邪魔をしなければ」。このジェーンの台詞が胸に突き刺さる。大きな壁だけじゃなく、日常に転がっている小さな壁であっても自分で自分を諦めてることない?気付いてもないんじゃない?って思わず自問してしまう。それでもメリーとジェーン・マイケルが空を飛ぶ場面では、全キャストがダンスをしながら「どんなことでもできる」と全ての人を肯定してくれる幸福感。「信じて走り出せ」(のとこだったかな?)で柿バートが腕をこれ以上伸ばせないってくらい伸ばしてジェーンとマイケルがそこに駆けてくるのがさ~~凄く好きなんだよ~~。Step in Timeで「困ったときは誰かが助けてくれる」の台詞に繋がっていて、ジェーンとマイケルにとってはバートがその助けてくれる人たちのなかの一人だから安心して走り出せ!って背中が語ってる柿バート。そのあと、アカペラで「どんなことも」とジェーンとマイケルが大人たちのほうを向いて2人で歌ってるとき、ジョージやウィニフレッド、メリーをはじめそこにいる全員が愛に溢れた温かい笑顔で子供たちを見つめてる様子を見て、毎度涙腺が決壊する。そこから舞台上にいる人たちだけでなく、客席も星に包まれる演出が美しくて美しくて。思いだすだけで涙が出てくる。

 

めぐメリー。もう歌声が圧倒的で東京公演前半に比べてパワー増し増し。 なんだろう、この無敵感というか、無双感というか。めぐさんのなかに「メリー・ポピンズ」という別人格がいて、そのメリーが完璧な子守りとして自由自在に動いているよう。最後の別れの場面、マイケルとのやり取りはいつも通りのめぐメリーなのに、ラストの子供たちが「メリー・ポピンズ!あなたを絶対に忘れない!」と願い事を叫んだときに、ハッと感情が揺れ動いて、でもすぐに笑顔で飛び立っていく姿に涙が出てくる。

あーやメリー、歌の高音部分もっと声量あった方が個人的には好みかなと思う部分もあるけど、でもそれによってあーやメリーの軽やかさだったり、掴もうとしてもするりと手から逃れていく不思議な魅力で溢れていて「あーもー大好き!!」ってなる(めんどくさいおたく)。東京前半よりも後半は所々人間っぽい感情が表れるようになったかな?「Playing the Game」のときの「間違っています」もより怖さが増していたし、特に別れの場面は必死に涙を堪えようとしているあーやメリーの代わりにわたしが泣いている。「みんなに任せなくちゃ」のかき消えそうな声。飛び立つときは子供たちの願い事を優しい笑顔を浮かべながら。泣く。

そうそう、子供部屋を出るときの台詞、めぐメリー「はい、何もかもパーフェクト」、あーやメリー「そう、何もかもパーフェクト」が、まさにそれぞれのメリーを表しすぎてて唸る。

 

前の感想でも書いたけど、柿バートは子供の頃にメリーに子守りしてもらったんだなぁと感じる。別れの場面、マイケルが「大好きだよ!メリーポピンズ!」と言っているのを、じっと静かに見つめる柿バート。少年柿バートはメリーに「大好きだよ」と伝えることができなかったのかなぁとぼんやり感じた。Jolly Holidayも「"みんな"メリー大好きさ」とあくまでも主語は自分ではない(はず←歌詞うろ覚え)。まぁ「メリー大好き!」っていう表情で凄い浮かれてるから、大好きなのは明らかなんですけどね。

しかもジェーンとマイケルがネーレウスと公園の中に入ったとき、柿バートがメリーに何か言おうとして一歩踏み出そうとした姿を見て胸がぎゅっとなった。そのタイミングでジェーンとマイケルがメリーに駆け寄っちゃったから何も言えなかったけど、その一瞬の動きだけで気持ちが伝わる。だからこそ最後、メリーにキスしてもらえたとき、嬉しさを噛み締めるような想いと、別れの寂しさがごちゃ混ぜになったように感じる。柿バート大好きだよ~~~

 

 

以下、覚書。

・4/29ソワレ

「A Sugar of Spoon」で久保田ブリルが「アイシングの~」とロバートソン・アイに指示する台詞がごちゃ混ぜになったので3回やり直したのに笑ったww 1回目、台詞を言ったあと「ん?もう一回やり直そうか」と仕切り直したときはただただ凄いと思った。あんな堂々とやっていただけると、こっちも気持ち切り替えられるw 3回目に成功して台所から出た瞬間、客席から拍手起きたwww

 

・5/5マチネ

 「A Sugar of Spoon」で机が上がらなくなる機構トラブル発生して、一旦幕下りたけど、あーやメリーの「魔法の効きが弱かったみたいです」からの再開。その後は凄く盛り上がった~~!この曲で初めて手拍子できた!!ずっと手拍子したかったから、客席一体となってできて嬉しかった! 

んだけど、2幕の空から登場する場面のフライングもトラブルで地上からの登場に。1幕のトラブルはまだいいんだけど(良くはない)、フライング機構のトラブルはそのあとの逆さタップとかラストのフライングとかも大丈夫なの?っていう心配と不安で物語に集中できなかった…どんなトラブルにも乱されない精神が足りない…。柿バートが逆さタップするとき「祈っててねー!」って叫んでたけど(いつとはもは「行くよー!」とか)、それを真顔で聞くわたし(強火)。そのあとは特にトラブルなかったんだけど、カテコであーやさんからその旨の挨拶があって、その悔しさが凄く伝わってきたから、わたしも凄く悔しくて涙が出てきた(どの立場)。いつも多幸感に溢れた状態で劇場を後にするのに、悔しさが勝ってしまって(どの立場)。メリー・ポピンズはカテコも含めて幸せに溢れていてほしいので、スタッフ各位におかれましては何卒よろしくお願いします(圧)。

 

 

6/5に千秋楽を迎えるなんて信じられないくらいメリーポピンズが大好きなので、ぜひ主催者の皆様におかれましてはCD を発売してください。言い値で買います。

 

残り少ないメリポピ観劇を大切にするぞ。 

 

 

絶品タイムwww 

*1:元々観劇したTwitterユーザーが始めたけど、いつの間にか平原さんはじめキャストの方々も乗ってきた