ただの備忘録

未来の自分に贈る、舞台の記憶と感想

「レディ・ベス」@帝国劇場 2017/11/4、11/5マチネ、11/11マチネ

東京千穐楽よりも1週間ほど早くベスmy楽を迎えました~

 

11/4:花總、山崎、未来、古川

11/5マチネ:平野、加藤、吉沢、古川

11/11マチネ:花總、山崎、未来、平方

 

お花様のベスは10/16ソワレぶりなので約3週間ぶり?だったのですが、そのときとは全く違う「ベス」でめちゃめちゃ良くて痺れた…。個人的に「レディ・ベス」でもやもやしてた箇所をお花様が芝居で埋めてくれた。「そういう話だったのか!!!」と観劇後に興奮冷めやらなかった。

ちなみに10月分の感想↓  

ta-ma27.hatenablog.com

 

「シシィ*1みたいだなぁ」と思っていた花ベス。幼さが感じられて、パパ大好き!という気持ちが強く出ていたんだけど、それが王女としての自覚がある「19歳のレディ」に変わっていた。それもあって、前は姑にいびられる嫁のように見えていた未来メアリーとの場面も、年の離れた姉妹に見えた。

わたしが「レディ・ベス」という話にムムムってなった個所は10月分の感想にも書いているのですが、ベスが女王になることに受け身の姿勢が感じられたところ。それが久しぶりに観劇した花ベスではメアリーとの和解の場面で、自分が女王になることを決意したように見えた。「自分の心の導くままに」と口にしたそのときに。そのあとアスカム先生に「一人の女性としての幸せを生きる道」があるかを聞いているのは、ベス自身もすでにわかってはいるけど自分の選ぶ道の最後の一押しをしてもらうためのような気がした。ベスはガーディナーやメアリー、権力を持った人たちによって壮絶な人生を歩まされたからこそ、これから訪れる女王としての人生で苦しくて辛い局面に遭遇したときに「あのときロビンと結婚していれば良かった」という逃げ道を作らないため、自分の決断が揺るがないように。だからそのあとロビンに会うのも「女王として生きること」を伝えるためで、「あなたを愛しているけど女王として生きる決断をしたことをどうやって伝えれば」と葛藤する花ベスが泣ける…。それが「黄金のカゴ」という表現になるのかなと。これまで「傷ついた翼」の歌詞がネガティブというか、女王になるのがすごく受け身だなぁともやっとしていたんだけど、花ベスの覚悟を感じて聞くと全く印象が変わる。なんというか、ロビンへの愛を感じたというか(以前は「嘆き」を強く感じた)。戴冠式で玉座の前まで登って振り返ったとき、花ベスは未来を見つめていて、その姿は完璧に「女王」だった。

平野ベスは19歳女の子、という感じかな。彼女はロビンの手紙を受け取ったときも、とても迷っているように見えた。アスカム先生にも本気で聞いているような。だから「傷ついた翼」もロビンと離れることが辛くて堪らない。戴冠式で振り返ったあとも、平野ベスは視線が真っすぐで少し不安げに未来を見つめているように感じた(花ベスはきりっとした表情で視線が上を向いていた)。そこが平野ベスから感じる等身大の女性らしさというか、瑞々しさなのかなぁ。

 

取ったチケットが花總×山崎、平野×加藤の固定ペアだったのが悔やまれる。多分、花總×加藤、平野×山崎の組み合わせのほうが個人的にはしっくりきたと思う。いくさぶって愛の化身じゃないですか?(イメージ)。だから愛と自由を得ようと説得するところからベスの女王となる選択を受け入れるのが「いくさぶロビン、急に聞き分け良くなったね??」っていう思いがぬぐいきれなかった。それに対して加藤くんって相手の考えを優先して身を引くのが得意じゃないですか(お前。だから「傷ついた翼」で決意をもって歌う花ベスとその決意を受け入れる和樹ロビンは相性が良さそう。逆に平野ベスはいくさぶロビンのほうが「愛し合っていた2人」、というのが前面に出そう。(※どちらも観れていませんので、完全にイメージです)

 

最初で最後の平方フェリペは最高でした!!健康的な色気!!男!!!って感じが堪らない。「クールヘッド」で「一発命中よ~」のところのお顔がちょっと飽きてる感じが出ててゾクゾクしたし、頭を指でトントンってするときに、左目がウインクっぽくなるの可愛いかっこいいー!!大興奮。古川フェリペは「美」、美しい体躯を拝ませていただいている感じなんだけど、平方フェリペはまさに「色気」。おかわりしたい気持ち(チケット買い足し)を抑えるのが大変だった。そしてWキャストで全然役作りが違う~~結婚式では古川フェリペは恭しくメアリーの手を取りつつ周囲を用心深く観察しているけど、平方フェリペはメアリーの手を取っているのに見えないところですごい嫌な顔をしているww遠慮がないww あと、毒杯のところも古川フェリペは何か察している雰囲気があって、ガーディナーを殺すつもりだった…?と余韻を残すんだけど、平方フェリペは全く知らないね!素直に驚いているね!そこもまた良い。

 

個人的に圧を感じる歌が好きなので、メアリーは未来メアリーがめちゃめちゃ好きだった。未来メアリーは「女王になったからにはカトリックに何としても戻す!!」というアグレッシブさが気持ちいい。吉沢メアリーは「悪魔と踊らないで」を地声で歌えるのが凄い。そして未来メアリーよりも、「1人で」生き抜いてきた孤独さを感じた。その反面、フェリペ王子の肖像画を見たときの少女のようなときめきや恥じらいがすごく可愛かった。

ただ和解の場面での「あなたが女王になっても、カトリックを」というメアリーの願いに対して、ベスの「自分の心の導くままに」とのやり取り。メアリーがそれをどう受け取ったか考える度に、メアリーのアイデンティティーのひとつでもある「カトリック」が崩されたようで苦しくなる。ベスと「姉妹」としての和解はできたけど、「女王になる人」としての和解はできていないような。父親のヘンリー8世肖像画に手を伸ばす姿が痛々しい…。だからこそ、ベスが女王になったときに「自分の心の導くままに従った結果どうなったか」を明示してくれないと、メアリーが報われないのではと思ってしまう…わたし未来メアリーと吉沢メアリーが好きだから余計に。そこだけはイケコにどうにかしてほしかった。

イケコ的にはベスが「何者なの?」という問いに対し「プリンセス!」→「アン・ブーリンの娘」→「一人の女性」ときてからの、最後に「闇を恐れずに」での「クイーンエリザベス」で綺麗に終わりたかったのかなぁ。その後、ベスに台詞や歌がなくて初見のとき驚いた。

 

そうそう、和音さん演じるアン・ブーリンが肖像画から出てきたんじゃないかと思うくらいの美しさでびっくりした。アンの歌は基本的にエコーがかかっていて亡霊感が出るんだけど、B席端のほうで観劇したときにスピーカーの近くだからかエコーの方が強くて聴きづらかったのが残念だった…。

劇中ではアンの立ち位置が変わっていくのが面白かった。最初は母親であり、権威によって処刑された"憎しみと恐怖"の存在(首切り役人とセット)。それが「愛のため全て」ではアンが「一人の女性としての幸せを歩む道」を歌い、アスカム先生が「女王として生きる道」を説いて、ベスの葛藤を表しているんだけど、アンがロビンとの愛を喜ぶ"母親"であり、"ベス自身"でもあるように思えた。「愛される価値はあったの」の歌詞がベスの想いでもあるように感じたから。この曲が一番「母娘」を感じた。

 

余談ですが、オケピへの小道具ダイブを2回目撃したので記しておく←

・結婚式の場面で古川フェリペが聖書を床に投げるところ。高い放物線を描いているなぁと思ったら、バウンドしてオケピへインww 通常ならそのあとのガーディナーの部下が聖書を拾って捌けるんだけど、オケピに落ちちゃったものだから禅さんがオケピを指差して部下に「拾って持ってこい!」みたいなジェスチャーしてたw ちなみに翌日の公演では高く放り投げるのはやめて、めっちゃ低く投げてて笑ったw

・いくさぶロビンが輪っかのジャグリングをしたときにキャッチしそこねて、そのままオケピへイン。「川に落としちゃった」ってしきりにオケピ覗いてたw加藤(潤一)くんかな?一旦馬車を助けるために捌けるときに「ちゃんと拾っとけよー!」って言い捨ててすごい笑ったwwww

 

11月は2階席でも観劇したのですが、やっぱり盆の美しさは2階からの方が楽しめる!!1階後列でも見えてると思ったけど、見えてなかった← これから観られる方はぜひ一度は2階席に~ 

もしまた再演があるときはぜひ内容をブラッシュアップして欲しいなぁ。イケコ、ご検討くださいませ!

 

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*1:ミュージカル「エリザベート