ただの備忘録

現場を振り返ることを枷にして記憶の定着を図る。つまりただの備忘録。(主に舞台の感想)

「俺節」@ACTシアター 2017/6/17ソワレ

コージがいた。

冒頭の吹雪く駅のホームでの第一声から引き込まれた。

 

やっさん、すげぇ…

めちゃくちゃ面白かった…凄かった…

「ジャニーズの舞台でしょ?」とか斜に構えた人の襟首つかんで観させてやりたい。主演がジャニだと観客もほぼほぼそのファンになってしまうのだけど(チケット譲っていただいた方も当然のようにわたしを関ジャニのファンだと思われていた(・ω・))、こんなに良い舞台なかなかないからね!?これが普通と思っちゃダメだからね!?って近くに座っているジャニオタの方々の肩を揺さぶりたいくらい素晴らしかった。平日ソワレのチケットを仕事の都合で一回手放したんだけど、ご縁があって前楽に観劇できました~ありがたや~

 

演出・脚本:福原充則

キャスト:安田章大、シャーロット・ケイト・フォックス、福士誠治、六角精児、高田聖子、桑原裕子

www.orebushi.com

 

スタッフさんやアンサンブルさん含め普段見ない座組だったけど、音楽監督の門司肇さんは「キャバレー」(2017)で、美術の二村周作さんは「ロミオ&ジュリエット」(2017)でお世話(?)になっていた。

 

一幕80分、2幕110分とかなりボリューミーなんだけどあっという間。

泥臭くて、まっすぐで、"うまく"生きることに不器用な人たち。コージをはじめ、オキナワもみれん横丁の面々もそこに「生きて」いた。

普段ミュージカルをよく観るので、オケが奏でる華やかだったり軽やかだったり壮大だったり、そのような曲が耳馴染みあるし単純に好きなのです。なので「演歌」というのが楽しめるかなー?、と観劇前にちょっと不安に思っていたけど良い意味でそんな先入観をぶっ壊してくれた。

演歌凄い。

鷲掴みにされた。

「相手の心に届いて初めて歌になる」と説いた師匠の言葉がまさにその通りだった。コージの歌でやくざな人たちが引き下がるという場面があるんだけど、漫画的な展開だよねぇということではなく、「そりゃ引き下がるよ…」と納得しちゃう力強い歌声。 

舞台オリジナルの曲は2曲だけで、他は既存の有名どころの曲が使われているのも受け入れやすさがあったのかなぁとも思う。

 

コージは思っていることが口に出せない、声になって出てこない。そんな彼の生きづらさは観ているわたしも「なんで言えないの…!」ともどかしいほど。福士さん演じるオキナワは観客のわたしと同じ視点でコージと接していたように感じた。

コージの凄さを皆に知ってもらいたい。その一心で共にどさ回りをしたり、オーディションを受けようとコージのお尻を叩いたり。だからこその「コージひとりでデビューなら考える」とプロデューサーの一言からのギクシャクした関係性が辛かったし、「一人でデビューする」と決めるコージの決断、オキナワとの別れが妙にリアルで心がちくちく痛んだ。

 

テレサとコージの場面はウフフ、アハハの見事なお花畑w でれでれなコージ可愛いなおい!信玄餅をぽーんと投げるところはめっちゃ笑ったwww

 

コージとテレサの周りにいる人たちがとっても「良い人たち」で観ていて気持ちが良かった。隙あらば金品をくすねようとするし、品行方正とはかけ離れた人たちだけど、嘘のない人たちだった。そういう意味での「良い人」。テレサが働いていたストリップ劇場のお姉さま方もすごく魅力的な人たちだったなぁ~。

特に二幕での桑原さん演じるナミ先生がほんとにキュートで面白くてめっちゃ笑ったwww ナミ先生のキャラがすごく新喜劇の珠代ちゃんのようで、見終わったあと「新喜劇出身の方じゃないよね…!?」と急いで確認したほど← (当方、その昔に土曜のお昼に新喜劇が放送されている地域に住んでいたのです)

 

圧巻だったのはラストの嵐のなか歌う「俺節」。オキナワがコージのために作った歌。なかなか歌い出せないコージに向かって、強制送還されるテレサが叱咤する。テレサの「北国の春」 、凄く良かった。そうそう、このときの構図がまるでロミジュリのバルコニーの場面のようだなぁと感じた。

霧雨のなか歌い出すコージ。徐々に雨足が強くなって気がついたらどしゃ降りになっていた。それでも魂込めて歌うコージがとても神々しくて、ダイレクトに胸に刺さる歌で、雨の音も気にならなかった。(「どしゃ降り」って書いたけど、まさにどしゃ降り。こんな量を舞台上で降らすことできるんだという衝撃だった)。雨がすごすぎて途中からマイクが死んでくるんだけど、生の声が2階の後ろの席までしっかり聞こえてきた。話を聞いたところ、マイクが最後まで生きている日もあったようで。演出としてはその日その日、どっちに転んでもいいという判断だったのかな。個人的にはマイクが死んでも、こっちに届いてくるコージの「歌」が感じられたので良かった!(しかし、マイクが死んでも大丈夫と判断できるほどの資金力があるんだなと、さすがジャニ…とは思ったw)

このときのコージもものすごく良かったんだけど、後ろから見守るオキナワの姿を見たときに涙腺決壊した。最初は嬉しさと感動を噛み締めるようにコージを見つめていたんだけど、中盤から涙が流れ出さないように顔を上げて。二番に入ったころには涙が溢れ出てきたのか、もうコージを見ることができなくて後ろを向いてじっと耳を傾けていた。福士さんの「オキナワ」像が一番感じられた場面だった。

 

5人組アイドルの前座としてコージが歌うことになっているんだけど、そのファンが手作りうちわを持って上手・下手と舞台の下降りてかぶりつきで観ていて(客席に背中向けるかたち)。だから観客も舞台のなかの「コージの歌を聞くことになった観客の一人」になったように感じた。演出の福原さん凄い。

 

テレサは強制送還になるし、コージはデビューできなかったし、結末はハッピーエンドではない。だけど2人の心は「歌」でずっと繋がっているんだろうなぁと、翌日のコージとオキナワのすっきりした顔を見て思った。

観終わった後になんだか元気になれる。 本当に素晴らしい舞台だった!

 

↓舞台のお写真あり

natalie.mu