ただの備忘録

未来の自分に贈る、舞台の記憶と感想

「わたしは真悟」@新国立劇場 中劇場 2017/1/14マチネ

2017年の観劇初めはフランケンシュタインだったのですが、まだ感想書き途中…なので、書き上げたこちらを先にup。

中日エリザぶりの成河さんの舞台!発表されたときはあんまり触手が動かなかったんだけど、このチラシを見た瞬間、「行かねば…!」と思って遅ればせながらチケット取りました。(と言っても去年の8月末ですが←)

 

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watashingo.com

 

ミュージカルなんだけど、ミュージカル観ている感覚ではなかったというのと、成河さん、あなたそんなに動けたの…!!!?っていうのが最初の感想です。

もちろん歌も歌っているんですよ。充希ちゃんの歌声は小鳥のように軽やかで可愛らしかったし、麦ちゃんの少年感も良かった~。二人とも本当に小学生に見える。

…んだけど、それよりもダンスの印象が強く残った。開演10分前に座席についたときにはすでに舞台に真悟の本体が動いていたんだけど、このお二方が凄くてですね。最初は黒子だったと思うんだけど、気が付いたらお顔も出してて、ついつい目が追ってしまう。人間ってこんなに動けるんだ、こんな身体表現ができるんだ、と。アンサンブルの方々のダンスも素晴らしくて。あれはコンテンポラリーダンスに分類されるのかな?演者も見たいんだけど、どうしてもダンスに目がいってしまう~。最初の「333」のダンスですっかり心奪われた。映像との親和性も凄かったなぁ。このダンスと映像は演出のフィリップ氏の特徴なんだろうけど、真悟の世界観を表現するにはフィリップ氏が適任だったんだなと納得させられる。まさにチラシの画の通り。

あとは音楽ですね。舞台上手にOpen Reel Ensembleのお三方とドラムの人がいらっしゃって、その場で演奏していたのですが、それがとても面白かった。テープをその場でスクラッチをして奏でるみたいなことをしていて、デジタルなんだけどどこか「昭和」を感じさせる音だった。舞台が始まるときの場内アナウンス(撮影録音はやめてください~とかのやつ)もその場でアレンジしていて、薄気味悪さ抜群だった!(誉めてます) 

パンフレットに「生の音はできるだけ排除した」って書かれてたとおり、ドラムくらいしか生音なくて、真悟が「産業用ロボット」である世界を現すにはこれしかないか、と納得させられるし、フィリップ氏の手腕凄いなぁとしか。

 

櫻子ちゃんの子供感も凄かったなぁ。最初、気がつかなかった(笑) 櫻子ちゃん演じるしずかのソロが寂れたメリーゴーランドみたいな雰囲気で、誰も構ってくれる人がいない、しずかしかいない世界のようで孤独がより一層感じられた。

小関くんは初めて観たのだけど、スタイルお化けでした。顔がちっちゃくて、足長くて何頭身よ…?って思った。青(緑?)のカラコンしてたんですが、その青い目が時おり照明に当って妖しくぎらっと光っていて…とても人外だった。小関くん、イギリス人役で金髪だったのですが、それがもの凄く様になっていたので、次回のルドルフ候補じゃない?とふと思いました。これから観に行かれるかたはそこらへんもチェックしてみてはいかがでしょうか(何者)。(話は変わりますが、劇中の「□から△、○になった」の意味がわかんなかったのだけど、パンフの小関くんのコメントで理解できました!ありがとう!)

 

そして成河さんですよ。身体表現がとにかく素晴らしくて、最初に出てきたとき「腹筋が…!腹筋が…!腹筋凄くない!?」と驚きました。あ、ちなみに腹筋は見えません。ルキーニをしていた頃とはすっかり別人で、体つきもだいぶ絞った感じがした。まぁ役によって体つきや受ける印象が全然違う役者さんなので真義のほどは不明ですが。真悟の本体はダンサーお二方が表現していて、精神は成河さんが演じている、という感じでしょうか。真悟が何かを語るとき、「…であったと聞きます」という話し方をしていて、おまえは誰に何を聞いたの?と観劇中気になったのですが、地球になったとき、あらゆる生命と真悟が繋がったときに、その生命体の記憶から真悟が自ら悟ったのかな?とすると、この物語は真悟の回想で始まってラストの場面に繋がっているということなのかなぁ…と、観劇から1日たってたどり着いた。

真悟がただただ純粋に父母を慕う姿に胸が痛くなった。この作品のテーマはたぶんいくつかあると思うんだけどその一つに「子供時代の終焉」というのかあると思うのです。小学生の恋、「この子が好きだ」という純粋な恋心から真悟が産まれたけど、当の二人は真悟の存在に最後まで気がつかない。残酷。子供の時代を終えようとする彼らにはそれが自分たちが生み出したものとはわからない。逆にただただ悟を思い続けるしずかには真悟の存在を理解することができて、真悟を悟に会わせようと奮闘する。しずかはまだ「子供時代を喪失していない子供」なんでしょうね。そうそう、充希ちゃん演じるまりんは子供にしか見えなかったのに、ロビンと結婚させられようとする場面で強く拒否するところ、すごく「女」に見えてぞわっとした。彼女にはもう真悟なんて見ることができないんだなと。

 

ラストの場面がね、泣けた。真悟が優しい顔をしてて。美しかったなぁ。

 

本編はミュージカルっぽくなかったんだけど、カテコはとてもミュージカルだったのも面白かった(笑) 各々踊っていて、ときにタップを踏んで。Open Reel Ensembleのお三方とドラムの人も最後踊っていて可愛かった(笑)

カテコ1回目は中央に麦ちゃん・充希ちゃん・成河さん・小関くんの順で並んでいたのだけど、2回目のときに麦ちゃん・充希ちゃん・小関くんで並び始めて手を繋いだと思ったら成河さんが小関くんを後ろから抱きついて、小関くんを充希ちゃんから離して自分が充希ちゃんの隣の位置に戻った一連の流れがまぁ可愛くてな!成河さん、カンパニーの中でも年長者だと思うのだけど、愛されキャラすぎてな!!ごちそうさまでした!!

 

楳図さんの漫画というのでちょっと躊躇している方でも楽しんでもらえると思うなぁ。チケットもまだ取れると思うので。

 

ロビーには色々展示もあって面白かったです。


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成河さんがわたしの想像以上に動けていたので、髑髏城の天魔王がすこぶる楽しみになりました!!