読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ただの備忘録

現場を振り返ることを枷にして記憶の定着を図る。つまりただの備忘録。(主に舞台の感想)

「エリザベート」2016@帝劇 感想その1

エリザベート」で染まっていた1か月が終わった。

初日の幕が上がる前、手元にあったのは自力で取った1公演+譲っていただいた2公演分しかチケットがなかったのです。が、6/30ソワレを終えた瞬間から次のチケットを探しては入り、探しては入りを繰り返して気が付けば結構な数入ってました。自分が怖い。

入った公演を羅列するけど、刺されないか不安。書くけど。

・6/30マチネ:蘭乃・城田・田代・古川・涼風・山崎

・6/30ソワレ:花總・井上・佐藤・京本・涼風・成河

・7/2マチネ:蘭乃・井上・佐藤・京本・涼風・山崎

・7/5ソワレ:蘭乃・城田・田代・京本・香寿・山崎

・7/9 マチネ:蘭乃・城田・田代・京本・香寿・成河

・7/10マチネ:花總・城田・佐藤・古川・涼風・山崎

・7/16ソワレ:蘭乃・城田・佐藤・京本・涼風・山崎

・7/18ソワレ:蘭乃・井上・佐藤・京本・涼風・成河

・7/21ソワレ:蘭乃・井上・佐藤・古川・涼風・成河

・7/24マチネ:蘭乃・井上・佐藤・京本・涼風・成河

 圧倒的な蘭乃シシィと京本ルドルフ率!!!

帝劇に通いながら、「私、大我担だっけ…?」と自分の担当を確認したくなった。これは決して意図的にとったわけではなく、節操なくお譲りにむしゃぶりついた結果。(つまり花總シシィでお譲りはほとんど出ない)

トートと ルキーニは綺麗に半々になってたんだなぁ。

 

以下、my大千秋楽の感想をメインに徒然なるままに。

7/24マチネはキャスト各々が千秋楽が近いこともあってか、今日の公演は今まで入った中でも素晴らしかった…!!

 

蘭乃さんは冒頭の少女時代の歌でその日の調子がわかるのだけど、声量もあってひっくり返らなかった。イケル。このまま頼む。(7/24マチネの私の心境)

蘭乃シシィは色々と厳しい意見もあるけど(花總シシィが圧倒的すぎるというのもある)、私は蘭乃シシィ好きです。歌唱の技術はもっと頑張ってほしいということろが本音だけど、自我の強さ、エゴイスト、ハプスブルク家を破滅へと導く「エリザベート」を体現してると思う。

表情がすごく豊かで、少女時代のシシィはやたら可愛い。

バートイシュルで「鹿さん、鹿さん…!」って追いかけるところとか、帽子で扇いで暑いわ~としてるところとか、ヘレネお姉さんがフランツと結ばれると思って小さく手をパチパチ叩いてるところとか、15歳の少女そのもの。

無邪気で天真爛漫。フランツが魅かれるのもわかる。可愛いもんね。

「皇后の務め」で涼風ゾフィーとバトルところもよかった。

「お母さまがいじめるのー」の「のー」の部分を幕が開いた当初は地声から裏声に切り替えて声量がいきなりガクッと落ちるし不安定さが出て、改善してほしいところだったんだけど、続けて地声で出るようになった。

蘭乃シシィの「私だけに」はまさに「私を縛り付ける?もしそんなんしたら飛び出してやるわ!!」という意志の強さ(裏返せばしきたりに従わず、自分がしたいようにするんや!っていうエゴ)を感じる。ものすごく感じる。だからか、そのあとにルキーニが歌う「シシィはエゴイスト」っていうのもすんなり納得できる。7/24マチネの「私だけに」は今まで聞いた中で一番良かったなぁ。「私が踊るとき」の一か所だけ音が外れてしまったのがもったいなかった…!あそこがなければ…!!

あと蘭乃シシィで好きなのが、ラストの場面。直前まで低くて疲れ切った声でぼそっと侍従に話しかけるんだけど、ルキーニに殺された後、トートが迎えに来て「連れて行って~」と歌いだすんです。その時の声が少女時代のような高くて若くて生き生きとした声。あぁ、シシィが生きてるときに一番自由だった少女時代に戻ってこれたんだ。自由になれたんだ。そう感じた。

その後の「泣いた 笑った くじけ求めた」の歌い方もすごく好きなんだなぁ。自由になれた喜びにあふれてて。「シシィ、よかったね…」と素直に思える。

8回も蘭乃シシィの回に入ると愛着がわいてきて、いきなり感想が長くなってしまった。

 

花總シシィ。2回観劇することができました!ありがたや。日本エリザベート協会理事のレジェンド(©成河さん)は圧巻でした。。。6/30ソワレを観劇しなければおそらくこれほどまでにチケットを探すお化けにならなかった。それくらいの完成度。

蘭乃シシィは自分から殻に閉じこもった結果、孤独になったけど、花總シシィは周りに理解されず孤独になっていった印象。自発的かそうでないか。蘭乃シシィは自発的に孤立していったから、エゴイストという側面が強調されてた。対して花總シシィは孤高の皇后、信じるものは自分だけ。その姿が神々しすぎてですね…。

感想が蘭乃シシィと比べて短いけど、もうね、神々しすぎると、「すごいもの見せていただいた…!」とただただ畏れ多くなるんですよ。語彙力来い。

 

私が入ったほとんどが涼風ゾフィーだったのだけど、毎回その美しさと厳しさと冷徹さに痺れっぱなしでした。

自分の息子の命乞いをする母親に対して「結構ね」と突き放すんだけど、その歌い方が本当にかっこいい…!ゾフィー様についていきます!ってなる。それぐらいの説得力。いっそ、ゾフィー様の女官になりたい。端っこのほうに紛れ込んで「ごもっとも!」ってほかの女官たちと合いの手入れたい。「宮廷でただ一人の男」と呼ばれていたカリスマ性をびしびし感じる。わたし"がなり"を上手に使える人を軽率に好きになるんだけど、涼風さんもお上手で初回からメロメロです。(1789の岡さんとかも該当する)

それなのに結婚式でマックス公爵と一緒に踊るとき、手も触れたくないわって感じでイヤイヤ踊ってたり、バートイシュルでは計算どおりにいかないってくるくる踊ってたり、可愛かった~。

ゾフィーが魅せる最大の場面、「ゾフィーの死」。「皇后の務めは自分の心殺してすべて王家に捧げること」と嫁いできた翌朝にシシィに言い渡し、母親に会いたいと懇願する 少年ルドルフに「皇帝には母も子も 妻もないのです」と一蹴する。自分の孫にあえて「妻」という言葉を使うゾフィー

晩年、いろいろあって自分の息子から「もうあなたの意見に従うことはない」と通告されて、「心殺して育てたわ 皇帝陛下と呼ばれるまで 優しさより 厳しさを」と、それまで見せなかった母親としての息子への愛をうたうゾフィー。フランツとシシィのように愛し合った夫婦(←最初だけだったけど)ではなく、妻・母親としてではなく、「皇后」としての務めを立派に突き通した人生。

涼風ゾフィーが目を潤ませて少し声を震わせながら歌うのですが、母親の愛と切なさが胸に迫ってくる。最期の最期、ふっと微笑むんですよね。皇后、そして皇太后の務めから自由になれることへの喜びなのかな…?それとも自分の息子は「妻」としてエリザベートを愛していることへの安堵感なのか。。7/24のマチネは一段と素晴らしかった。

 

成河ルキーニ。常に不穏な空気感を纏っていて、トートへの狂信的な愛が時にこちらをも不安にさせる。

育三郎ルキーニはチャラいイタリアーノという印象(褒めてる)なんだけど、最後エリザベートを殺すまでの心境が突然すぎてなぜだろう?と思ってたんです。

だけど成河ルキーニは「こいつならしかねない」と納得させる雰囲気を常に醸し出してる。公演期間中盤から成河さんに注目するようになったのだけど、「皇帝の義務」や「皇后の務め」などのときにふっと成河ルキーニを見ると、爪を噛んでじっとゾフィーを見つめてるんですよね。思わず背筋が冷たくなるほどに。なぜエリザベート皇后を殺したのか?の問いに対して「偉そうな奴なら誰でもよかった」。あぁ、そうか。だから権力を持っている人(=ゾフィー)をじっと見つめていたのか。ストンと自分の中で納得できた。(ちなみに権力を失った晩年のゾフィーにはそういう視線は全く送ってなかった)

そして何よりもトート閣下への愛。愛というにはちょっと違うかもだけど、心酔しきってるその姿もまたこちらをざわざわと不安にさせる。ルキーニが首吊りしたところから幕が開いて、首吊りしたところで幕が下りるんだけど、ルキーニはこの輪廻から逃れることができないのではないかな。100年間毎日毎日同じ質問を裁判官からされ、それを説明するために亡霊を呼び起こす。成河ルキーニはトート閣下に会いたいがために、毎日毎日エリザベートの人生を呼び起こす。そんなことをふと思ってしまった。

 

城田トートは「死」そのもの。気が付いたら自分の後ろに立っている。傍にいる。そして「こっちへおいで」と耳元で囁く。

まさに「死」だ。と思わせる。

ビジュアルも本当に2次元じゃないかな?これ現実?って思う。美。初エリザだった6/30マチネの歌声が冥界からの声(エコーがかかってるんじゃない?っていう声)みたいでより一層2次元感が強かった。でも2回目の7/5ソワレはそこまで強調されてなくて、ウィスパーで歌うところが増えててギリギリしてた(わたしが)。

カフェの場面とか、人間の世界に降臨するとき首とかゴキゴキしてて、黄泉の帝王⇒人間になる切り替えがあって、「閣下、人間は窮屈ですか…!」と一人盛り上がってた(わたしが)。

城田トートは手の使い方も美しかったなぁ。シシィとか子ルドとかルドルフとか、愛しいものに対する触れ方が耽美。

 

井上トート。正直に告白すると、私がこんなにエリザにはまったのは井上トート+古川・大我ルドルフだと言って過言ではない。劇場を響き渡らせるその圧倒的な歌声、自分の体の中が歌で満たされるこの感覚。もうね、最高ですよ。

井上トートの少し強引で、皇帝への嫉妬を隠さないところにどうしても魅かれてしまう…。「最後のダンス」で少し乱暴にシシィと踊る井上トートが最高に好きなんです。もっと激しく…!!もっと高圧的に…!!って興奮してる(わたしが)。

幕が開いた当初は井上トートも指の使い方をすごく意識しているふうに感じた。子ルドから銃を抜き取る場面や、最後通告の場面でシシィが座ってる椅子の後ろから現れるとき、1本1本の指をねっとりと這わせるようにしていて、これまた耽美。

でも帝劇期間の中盤以降は 始まった時よりも普通に銃を抜き取っていたり、シシィの椅子の後ろから現れるときも横からすっと現れて、物足りなさを感じてしまった。もっとねっとりいこうよ!

ただ、ルドルフの葬儀のあとに棺の中から現れるときの指のねっとり感は(わたしが観劇した限りでは)最後まで健在でした!ありがたや!!

 

ここまで思いついたままに書いてるけど、私が最も心惹かれているルドルフについて書かなければ。と思ったけど、ここまでの感想が思いのほか長くなったので別記事にしようっと。

 

少し加筆修正。