ただの備忘録

未来の自分に贈る、舞台の記憶と感想

「フランケンシュタイン」@日生劇場 2017/1/9、1/21マチネ

2017年の現場初めです!

って書き始めたけど、なんだかんだ下書きを寝かせてたら3回目の観劇を終えて2週間ほどたってました。

いや~満足!満腹!

1/9、21マチネともにかっきーかずきペアでした。

ビクター/ジャック:柿澤、アンリ/怪物:加藤

 

1/9は柿澤×加藤ペア初日。予習をせずに挑んだのですが、一幕の初めからラストの場面までジェットコースターのように一気に駆け抜けていった、エネルギーに満ち溢れていた、そんな舞台でした。1幕:80分、2幕:80分なのですが、80分間ずっと緩むことなく飽きさせることなく、あっという間だった。静かな場面もあるんですけどね、それでも客席にエネルギーがバシバシ投げられてくるんですよね…。ずっと殴られてる感じ←

 

かっきーは以前WOWOWで放送していたデスノートを見たときに、想像以上に歌がうまくて、引き込まれた経験があるので、とっても楽しみにしていました。生で聞くとずっと良い…!!フランケンの曲って結構難しいと思うのですが、低音から高音までしっかりと声が出ていて聴いていて気持ちが良い。そして2回目で、わたしかっきーの歌とても好きだね?という思いに至る。全力でかっきーの歌を聴こうとしているね?息を止めて聴いているね?これは沼の合図かな…ズブズブ…

 

※以下、がっつりネタバレ。

かっきービクターとかずきアンリの組み合わせ。アンリはビクターのことを「太陽」と言っているんだけど、逆だと感じた。アンリの明るさでビクターが輝けたんだよ。

幼少期に亡くなった母親の死を受け入れられなくて、神を恨んだ少年。そして父親を亡くして、神はだれも救ってくれない存在になちゃったんですね。そのときは"創造主"という大それたことは考えていなくて、純粋に「誰かを救いたい」という気持ちだったんだろうなぁ。でも神に対する「絶望」が根底にある。アンリが自分の罪を被って死刑が決まったとき、アンリの首という新鮮な材料が手に入る研究者としての欲と、大切な友人に罪を被せてしまうことへ呵責で悩む場面、1/9は研究者としての欲がもっと出ていた感じがしたんだけど、1/21は大切な友人を失いたくないという人間としてのビクターがより出ていたように感じた。

 

2幕のジャックは下衆すぎて!びっくりしたわ!おまえさん、そこまでやる…!?やっちゃうの?っていうね。あそこまで振り切れるかっきーあっぱれ。2回目からはなんだか癖になってくるからかっきー怖い←。かずき怪物に「下手くそだな」といってたかと思ったら1/21は「お前、噛むな噛むな」とか言っているし、闘技場の女性が近くにいるとすぐ腰狙うし、ゲス澤…と思いました(笑) エヴァ様を「エヴァちゃぁん」って呼べるのがとてもかっきージャック。

 

1/22マチネであっきーを観劇して(その感想は追々…)、かっきーとの違いが鮮明にわかって面白かった。かっきーのビクターは周りの人たちを小ばかにした態度をとっているなと。小さい頃、街の人に"呪われた子供"と言われた経験から、少しでも自分を大きく見せたくなったのかな。「ドイツの女性は~」のくだり、あえて下世話な話をしてやろうというふうに見えて、ジャックの姿がちらついた(笑)

 

加藤くんのアンリ。強い信念と哲学を持っているビクターに"恋をして"、"太陽"と言っていたけど、ビクターは姉のエレンも理解できなかった自分の理想を理解してくれるアンリがいたから輝きが増したんだよ。泣かないで見送ってとか言うなよ~涙 加藤くんは微笑みながら死を受け入れるのが上手すぎてさ…くぅぅ。かっきービクターが顔をぐちゃぐちゃにして泣いててさ、少年のときにこんな風に泣けなかった彼が時を経て素直に泣けるまでに成長したことを思うと…くぅぅ。怪物として生まれたときの加藤くん、可愛い。チェーン見つけたとき、「音が鳴るものがある!」みたいな感じで投げては取ってを繰り返している。ビクターにそのチェーンが巻かれたときは楽しそうな顔してて、「あ、この瞬間から記憶が始まったのね…」と思うと、もうちょっと、もうちょっと時間がずれていればかっきービクターは彼のことを「怪物」とは思わなかったんじゃないかな…つらい。

 

はまめぐさんはお初だったんだけど、歌うますぎて畏れ多くなった。凄い。平伏したくなる。エレンとビクターの別れの場面、涙が止まらなかった。何度見ても泣いてしまう。留学に旅立つシーンを再現しているけど、エレンが語るすべてが「これから本当に1人になるビクター」を指していてつらい。もうかっきービクターが少年のようにぐちゃぐちゃに泣いててさ…エレンのこと大好きなんだよね…うぅぅぅ。最後、抱きしめようとするけど抱きしめられない現実。舞台のセットで額縁のようなものがいくつかあるんですが、ここの場面はその額縁がちょうど十字架のようになっていてハッとした。

それとは対照的なエヴァの残酷さ。裏切ったカトリーヌに対する仕打ちが怖すぎた。めっちゃ怖い。ぼろぼろになった怪物を捨ててしまおうとジャックと話した後、はまめぐエヴァ様が観客をすーっと見て「どこにだって怪物はいるんだから」と面白そうに言っていたんです。この話は怪物が復讐のためにビクターの愛する人たちを殺めていくんですが、街の人々のほうがよっぽど恐ろしい。父親を亡くした火事は街の人たちが「あそこには魔女がいる!」といって火をつけたし、アンリが処刑されたときも「こいつが犯人なんだから殺してしまえ!」となったし、エレンも「こいつが市長を殺したんだ!」といって吊るし首にしたし……その狂気的な心理が怪物よりもずっと恐ろしい。こういう心理を人間は持っているんですよね…。「怪物とはなんだと思う?」と舞台の上から投げ掛けてくる。

 

音月さんはカトリーヌがとっても良かった~。人が嫌い、人がいないところで生きたい、と怪物と同じ感情を分かち合うのに、「自由」を目にした瞬間に「人として認められて生きたい」という本能的な欲求とさっきまで笑顔で話していた怪物との天秤。葛藤ののちの本能に従う様がぞわっとした。1/21は連日の公演でちょっとお疲れ気味だったのか、ジュリアの高音部分がつらそうだった。

 

鈴木さん演じるルンゲは楽しそうで何よりです!(笑) 「質問ですか?命令ですか?」のときのかっきービクターの答えが、1/9「しばかれたいんですか?」、1/21マチネ「はたかれたいんですか?」→「愛されたいんです」→「却下」。酒場で酔ったビクターがルンゲにちゅーしちゃうし(1/21は何回もちゅっちゅっしてたw)。ご飯の用意は日替わりなのですかね?1/9のエビピラフはカツカレーが良かったと返していたけど、1/21のペンネアラビアータはスルーしてたw

2幕のイゴールはもはや鈴木さんじゃなくていいんじゃない??っていうくらい台詞がない。あのメイクを幕間にして、また2幕の出番後に落とすの大変だな…お肌のケア頑張ってください…!

 

もっともっと書きたいところがあるんですが、とりあえずupしておく。後日、加筆するかも。

ちなみにわたくし、かっきーの舞台写真を買い、名古屋の大千秋楽のチケットも取ってしまいました…柿澤ビクターこじらせた…

 

「ロミオ&ジュリエット」@ACTシアター 2017/1/18ソワレ

観劇後の興奮冷めやらぬうちに書き上げたい。

なんだよなんだよすごく良いじゃないか!!イケコによる新演出版、初日を観た人たちが「既読スルー」「AED」「一斉送信」っていう単語を放ってきたから、おいおいまじかよやめてくれよ~って思ってたんですよ。いや、今も思ってるけど。でももうトータルですごく良かった!OKOK!!っていう気分です。(あ、認めた訳じゃないよ?←)

 

この日は古川ロミオと木下ジュリエットの組み合わせ初回でした。

・1/18ソワレ:古川/木下/ 渡辺/矢崎/平間/宮尾 

 

※以下、ネタバレもあるよ。

木下さん、新人さんとは思えないほど歌がうまい!!透き通った力強い歌声で聞いていて気持ちが良い。初めて恋をするジュリエットが瑞々しくて、可愛い。恋をしている時のうきうき感というか輝きが増しているのが凄いなぁ。

 

ティボルト役の大ちゃんは1789ぶりでした。粗暴だけどジュリエットを想う役どころ。高音でつらそうなところあったけど、デムーランのときよりうまくなった気が。ナイフみたいなティボルトだったなぁ。なんか基本的に男性陣は胸筋~腹筋がちらつく衣装ってのもあって、ティボルトをはじめとして皆様体をしっかり作り上げていらっしゃいますよね?ありがとうございます!←

 

ベンヴォーリオ役の矢崎さん。スカピンで一度拝見していて、その時はソロで歌うというのが少なかったので気付かなかったんだけど、歌うまい。ジュリエットが亡くなったことをロミオに伝えなければ、と歌う場面がすごくすごく良くて。演技だけでなく、歌でもベンヴォーリオの根っからの人の良さというのがとっても出ていてぐっときた。「もう俺たち2人しかいない」というのが切なくて…しかも最終的にはあなた一人になっちゃうんだよ~~と思うと泣きそうになった。マーキューシオ役の平間さん。荒くれもの。こういうイキがってる若者いるよね~っていう感じにぎらついていた。死に際のあの「ジュリエットと幸せになれよ…」(ニュアンス)っていうのが唐突すぎて、「え?あなた本当はそう思ってたの??全然気づかなかったよ!?」という感じがしたので次回以降気を付けて観よう。

 

そして古川ロミオ。美。まじ美。今まで怒れるロベピとか怒れる皇太子とか悪魔で執事しか観てこなかったのもあるんですけど、恋する普通の青年役ってこんなにキラキラするんですね。輝いていた。美。ほんとに美。何度もいうけど美。踊る曲がけっこうあるんですが、その長い手足が舞台に映えること映えること。初夜明けのお姿は美しすぎて美術品かな?彫刻かな?ってわりと本気で思いながらガン見してました。美しかったしか言ってないけど、あほ可愛いかったり、マーキューシオを失った時の小ささとか、ジュリエットに結婚してくださいと言った後の恥じらいだったり、もう観ててすごく楽しい。

 

脇を固める大人組も本当に良くてですね…秋園さんとたつきさんの両家の母。冒頭に2人で歌うんですが、ほんっと素敵。エリザのときのお風呂の歌(と私は呼んでいるけど「皇后の務め」です)の秋園さんの歌声がとても好きだったので、RJではいっぱい歌声が聴けて幸せ。ロレンスはさかけんさんイズムで愛されキャラ。若者はみんなスマホなのに、ひとりガラケーのロレンス神父…愛しい…。

あとは何といっても岡さん。泣いた。娘を想う父親の姿に泣いた。自分の子ではないけれど、娘のことを深く愛しているんですよ、娘に伝わらないんだけど。最後に霊廟でジュリエットの姿を見つけたとき、母親は真っ先に駆け寄って抱きつくんです。ロミオの父母も彼に抱きついていて、だけど1人だけ触れられないんですよ。手を出すんだけど、はっと気づいて触れることを止めてしまうその姿に涙腺ふっとんだ。(ちなみにその前のロミオとジュリエットがお互いを想って自死する場面からけっこう泣いています)

 

全体としてはやはりダンスが凄かった!トートダンサーだった田極さんと小南さんも出演されているので、追々見つけようと思います。「世界の王」とかでふと思ったんですが、モンタギュー家派のダンスって「アメリカンハイスクールミュージカル!」って感じがしたんだけどわたしだけ?実際アメリカンハイスクールミュージカルを私観たことなくて完全なるイメージなんですが、なんだかそういうふうに感じたんですよね…(笑)

あとは宮尾さんが表現する「死」。劇中、影のようにふと姿を現すのがこちらに不安を与える。最後の霊廟の場面で十字架からロミオを覗き込む姿がもう恐ろしくて。ロミオが自死したけど、ジュリエットが気付かず「ロミオが会いに来てくれた!」と喜んでいるときは姿を消していて、ロミオが亡くなっていることに気付いたところからまたすっと姿を現すんですよ…怖い…。

 

文明の利器を駆使する世界観の中で「AED」が最も客席のざわめきを生み出しましたが、舞台上から発せられる熱量でその諸々をかき消してくれた感じがあります(笑)

初回だったのもあるので、いろいろ見逃しているところもありそう。これから通う中で見つけていきたいと思います。もっともっと良くなりそうな予感!

「キャバレー」@EXシアター六本木 2017/1/15マチネ

1月は土日がほぼほぼ観劇で埋まっているので、早めにアウトプットしなければ。

ということで真悟の翌日に「キャバレー」行ってきました!(フランケンの感想は追々…) 徹平くんが出ているからというのと、演目が面白そうだし長澤まさみちゃんが初ミュージカルっていうのも気になる~と思いチケットを取りました。まさみちゃんは三谷さん演出の「紫式部ダイアリー」(2014年)ぶり。

 

各種メディアにも数多く取り上げられていましたが、衣装が煌びやかで何パターンもあったし、キット・カット・クラブのショーの場面は見飽きることはなかった。やっぱりスタイルが抜群にいいし、華がある。ミュージカルが初めてとのことだったけど、歌も良かったと思います。低音でがなりを入れてるところは「おっ!いいねいいね!」となった(上手ながなりは大好物)。 サリーはもっと退廃的な雰囲気を纏っているかと思ったんだけど(チラシみたいな感じ)、自由奔放でおちゃめなサリーだった。


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サリーにもっといやらしさがあったらなぁ~まさみちゃんは健康的すぎて「場末のキャバレー」という感じがあまりしなかったような。そこらへんの猥雑さとか下品な部分はすべてMC役の石丸さんとアンサンブルのダンサーさんたちが担ってくれていた。 "Two Ladies"とか映画とか見てないと「…!?」ってならない?大丈夫だった?知ってる私でも「…お、おぅ…」ってなったよ?笑

MCはキャバレーのMCかつ狂言回しの役目もあって、そこにいるはずはないのにいて歌い出したりする、エリザでいうルキーニみたいな感じ。スカピンではちょっと(楽曲的に)物足りなかった部分もあったんだけど、キャバレーでは石丸さんの歌を思う存分堪能できた!サックスも演奏できるんですね、芸達者なお方だ。

 

あ、エリザのトートダンサーだった乾さんと楢木さんが出演されてたのだけど、ナチスの軍服を着て、女の子と乱れていたシーンはガン見しちゃったよ!ちょうエロかった!!あざっす!!

 

徹平くんの歌と演技の安心感たるや。ナチスの不穏な動きを察知し、それまで親しくしていた友人とも距離をとり、一刻も早くドイツを離れようとする頭のよさと、サリーを想う一途な姿。だけど頑固な部分もある男。サリー、男を見る目いいよ(何者)

 

EXシアターはオケピなさそうだから生音じゃないんだろうなぁと思っていたら、舞台にバルコニーのような2階部分のセットがあり、そこにバンドの面々が!しかもアンサンブルさんたちと同じように衣装着ているし、たまにバルコニーの前の方に出て踊っている。松尾さんはこれやりたくてキャバレーの衣装が着れる女性の演奏者を探したんだろうなぁ~(←もちろん男性もいたけど、ほぼほぼ女性だった)。

 

全体の流れとしてはキット・カット・クラブのショーとお芝居パートがきっちり分かれちゃってるかなぁと。それぞれのパートは見応えあるんですけどね。お芝居パートは小松さんと秋山さんが見事。コメディな部分も織り込みつつ、シリアスな場面もしっかり魅せてくれた。1幕ラストの人々がナチスの旗を振って高揚している場面、小松さん演じるシュルツの呆然とした顔がどうにもならない現実を観客に突き付けていた。クリフは悔しそうな顔なんだけど、サリーは面白いものを見ているかのようにニコニコしていたのが印象的だった。この二人の表情が結末を現してますよね。国に帰ったクリフとベルリンに残ったサリー。

空襲のサイレンが鳴って物陰に隠れる人々がいるなか、一人の男性がギター(マンドリン?)をぽろんぽろんと弾きだす。そうするとMC役の石丸さんがすっと出てきて、キャバレーの看板に光が点り初め、「嫌な現実は入り口に置いてから入ってきなさい」(※ニュアンス)の一言で幕が開くのです。サリーはナチスの台頭という"嫌な現実"をキャバレーの入り口に置いて、その中の世界で生きることを選んだ。最後、静かな夜にキャバレーの入り口前に折り重なった人々の脇をMCが通り抜けて消えていく場面で終わるのですが、"キャバレーの中で生きていた人たち"はもう生きてはいないんだなぁと感じさせられた。MCはやっぱり生きてるようで生きていない役なんだなぁ。その当時のベルリンの暗い部分が描かれていたのは良かった。

…んだけど、劇中の「(ハーケンクロイツを指して)お寺のマークじゃないよ」とか「保育園落ちたベルリン死ね」とか「盛り塩」とかそういうのはいらないんじゃー!とムキーッとしてしまった。一気に現代日本に引き戻されるからさ…。個人的にはそういうのは好きじゃないんです…。

 

まぁトータルでは視覚的に十分楽しめたので!まさみ可愛かった~!

 

↓写真が豊富で、インタビュー内容多め

www.excite.co.jp

 

ダンスとかがちょうどよい感じに見れるかな。

www.youtube.com

「わたしは真悟」@新国立劇場 中劇場 2017/1/14マチネ

2017年の観劇初めはフランケンシュタインだったのですが、まだ感想書き途中…なので、書き上げたこちらを先にup。

中日エリザぶりの成河さんの舞台!発表されたときはあんまり触手が動かなかったんだけど、このチラシを見た瞬間、「行かねば…!」と思って遅ればせながらチケット取りました。(と言っても去年の8月末ですが←)

 

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watashingo.com

 

ミュージカルなんだけど、ミュージカル観ている感覚ではなかったというのと、成河さん、あなたそんなに動けたの…!!!?っていうのが最初の感想です。

もちろん歌も歌っているんですよ。充希ちゃんの歌声は小鳥のように軽やかで可愛らしかったし、麦ちゃんの少年感も良かった~。二人とも本当に小学生に見える。

…んだけど、それよりもダンスの印象が強く残った。開演10分前に座席についたときにはすでに舞台に真悟の本体が動いていたんだけど、このお二方が凄くてですね。最初は黒子だったと思うんだけど、気が付いたらお顔も出してて、ついつい目が追ってしまう。人間ってこんなに動けるんだ、こんな身体表現ができるんだ、と。アンサンブルの方々のダンスも素晴らしくて。あれはコンテンポラリーダンスに分類されるのかな?演者も見たいんだけど、どうしてもダンスに目がいってしまう~。最初の「333」のダンスですっかり心奪われた。映像との親和性も凄かったなぁ。このダンスと映像は演出のフィリップ氏の特徴なんだろうけど、真悟の世界観を表現するにはフィリップ氏が適任だったんだなと納得させられる。まさにチラシの画の通り。

あとは音楽ですね。舞台上手にOpen Reel Ensembleのお三方とドラムの人がいらっしゃって、その場で演奏していたのですが、それがとても面白かった。テープをその場でスクラッチをして奏でるみたいなことをしていて、デジタルなんだけどどこか「昭和」を感じさせる音だった。舞台が始まるときの場内アナウンス(撮影録音はやめてください~とかのやつ)もその場でアレンジしていて、薄気味悪さ抜群だった!(誉めてます) 

パンフレットに「生の音はできるだけ排除した」って書かれてたとおり、ドラムくらいしか生音なくて、真悟が「産業用ロボット」である世界を現すにはこれしかないか、と納得させられるし、フィリップ氏の手腕凄いなぁとしか。

 

櫻子ちゃんの子供感も凄かったなぁ。最初、気がつかなかった(笑) 櫻子ちゃん演じるしずかのソロが寂れたメリーゴーランドみたいな雰囲気で、誰も構ってくれる人がいない、しずかしかいない世界のようで孤独がより一層感じられた。

小関くんは初めて観たのだけど、スタイルお化けでした。顔がちっちゃくて、足長くて何頭身よ…?って思った。青(緑?)のカラコンしてたんですが、その青い目が時おり照明に当って妖しくぎらっと光っていて…とても人外だった。小関くん、イギリス人役で金髪だったのですが、それがもの凄く様になっていたので、次回のルドルフ候補じゃない?とふと思いました。これから観に行かれるかたはそこらへんもチェックしてみてはいかがでしょうか(何者)。(話は変わりますが、劇中の「□から△、○になった」の意味がわかんなかったのだけど、パンフの小関くんのコメントで理解できました!ありがとう!)

 

そして成河さんですよ。身体表現がとにかく素晴らしくて、最初に出てきたとき「腹筋が…!腹筋が…!腹筋凄くない!?」と驚きました。あ、ちなみに腹筋は見えません。ルキーニをしていた頃とはすっかり別人で、体つきもだいぶ絞った感じがした。まぁ役によって体つきや受ける印象が全然違う役者さんなので真義のほどは不明ですが。真悟の本体はダンサーお二方が表現していて、精神は成河さんが演じている、という感じでしょうか。真悟が何かを語るとき、「…であったと聞きます」という話し方をしていて、おまえは誰に何を聞いたの?と観劇中気になったのですが、地球になったとき、あらゆる生命と真悟が繋がったときに、その生命体の記憶から真悟が自ら悟ったのかな?とすると、この物語は真悟の回想で始まってラストの場面に繋がっているということなのかなぁ…と、観劇から1日たってたどり着いた。

真悟がただただ純粋に父母を慕う姿に胸が痛くなった。この作品のテーマはたぶんいくつかあると思うんだけどその一つに「子供時代の終焉」というのかあると思うのです。小学生の恋、「この子が好きだ」という純粋な恋心から真悟が産まれたけど、当の二人は真悟の存在に最後まで気がつかない。残酷。子供の時代を終えようとする彼らにはそれが自分たちが生み出したものとはわからない。逆にただただ悟を思い続けるしずかには真悟の存在を理解することができて、真悟を悟に会わせようと奮闘する。しずかはまだ「子供時代を喪失していない子供」なんでしょうね。そうそう、充希ちゃん演じるまりんは子供にしか見えなかったのに、ロビンと結婚させられようとする場面で強く拒否するところ、すごく「女」に見えてぞわっとした。彼女にはもう真悟なんて見ることができないんだなと。

 

ラストの場面がね、泣けた。真悟が優しい顔をしてて。美しかったなぁ。

 

本編はミュージカルっぽくなかったんだけど、カテコはとてもミュージカルだったのも面白かった(笑) 各々踊っていて、ときにタップを踏んで。Open Reel Ensembleのお三方とドラムの人も最後踊っていて可愛かった(笑)

カテコ1回目は中央に麦ちゃん・充希ちゃん・成河さん・小関くんの順で並んでいたのだけど、2回目のときに麦ちゃん・充希ちゃん・小関くんで並び始めて手を繋いだと思ったら成河さんが小関くんを後ろから抱きついて、小関くんを充希ちゃんから離して自分が充希ちゃんの隣の位置に戻った一連の流れがまぁ可愛くてな!成河さん、カンパニーの中でも年長者だと思うのだけど、愛されキャラすぎてな!!ごちそうさまでした!!

 

楳図さんの漫画というのでちょっと躊躇している方でも楽しんでもらえると思うなぁ。チケットもまだ取れると思うので。

 

ロビーには色々展示もあって面白かったです。


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成河さんがわたしの想像以上に動けていたので、髑髏城の天魔王がすこぶる楽しみになりました!!

2016年の現場振り返り

明けましておめでとうございます。本当は2016年のうちにやりたかったのですが、仕事が30日までと時間がなかったので、正月のこのゆっくりできるときにやっておきたいと思います。

 

⚫FREESTYLEⅡ 

2015年の夏に通い詰めた表参道ヒルズで開かれた個展に新作を加えての大阪。その秋に色々とありましたが(苦笑)、新作をどうしても見たくて一般頑張ったら念が通じて何とか取れました。追加された自画像(一番最後に展示されていた)の表情が、優しくて穏やかで、そして5つの色を使っていて、込み上げるものがありました。自画像ってよくそのときの作者の心情が現れているとか言うけれど、オフのとき彼に穏やかな時間が流れていたのだと思うと嬉しくなった。またいつか、作品を見せてくれたら嬉しいな。

 

⚫1789~バスティーユの恋人たち~

わたしを舞台沼に誘ってくれた大切な作品。舞台から発せられる熱量の高さと楽曲、ダンス。身体の奥底から震えるほどの興奮を味わえた、あの感覚は一生忘れない。4/29に観劇したのだけど、その観劇後からチケットを探しては観て、帝劇だけでは足りずに梅芸まで観に行きました。2018年の再演を心より楽しみにしています!!(言霊)

 

⚫NEWS live tour 2016 "Quartetto"

友人に誘っていただいて、正真正銘の天井席から楽しみましたー!天井席でもステージど正面だからめっちゃ見やすい。途中で髪型変えるシゲアキ先輩、まじで天才。ポンパの御髪で「くっちじゅっけを~」をしてくださった瞬間から、うわ言のように「シゲアキ、イケメン…」とつぶやいていた。

 

あわれ彼女は娼婦

蒼井優ちゃんと浦井くんが出演していた古典作品。重たい話なんだけど、マリンバの奏でる音と照明がとっても美しかった。そして何より蒼井優ちゃん演じるアナベラの神々しいほどの美しさ…。浦井くんの狂気もとても良かった。

 

⚫「嫌な女」初日舞台挨拶

1789でロベスピエールを演じた古川くんが出演していた映画の舞台挨拶。観劇したときよりもずっと前方の席だったので、顔の小ささと足の長さに驚いた。木村佳乃さんのノリの良さは本当に魅力的だわ。

 

エリザベート

この作品で感じたことを書き留めておきたくてこのブログを始めました。帝劇、梅芸、中日とカンパニーと一緒にまわりましたね…。夏から秋にかけて、エリザベート一色だったなぁ。何度観てももう一度観たいと思える、観る度に進化・深化していく演者さんたちから目が離せなかった。

 

⚫グレートギャツビー

内くん主演の舞台。勝手に「成り上がっていく青年の物語」であると思い込んでたんだけど、「愛を貫こうとする青年の物語」でした。内くんはギラギラしていて、魅力的な男性が似合うなぁ。

 

⚫キンキーブーツ(日本人キャスト版)

楽しかった!!ハッピーな気持ちで満たされる、この観劇後の爽快さはなかなか味わえない。ローラ役の三浦春馬くんが本当に圧巻だった!!

 

宙組エリザベート

 大人になってから初めての宝塚。東宝版とちょこちょこ違うところも含めて面白かった。男役の人のかっこよさというのはこういうことかと学べました。そしてこれを機に宝塚の知識がどんどん増えてきています。

 

⚫るつぼ

下書きは途中まで書き留めておるんだけど、頭のなかでぐるぐると考えてしまうのでなかなか進まず…。黒木華ちゃんが凄かった…。

 

⚫貴婦人の訪問

楽曲と演出がどんぴしゃ好みだった!!ので複数回観劇しました。東宝様はCD出してください(言霊)。 

 

⚫嵐live tour 2016-2017 "Are You Happy ?"

今年は札幌、東京と複数回参加できて、嵐運を使い果たしちゃった感がありますが(笑)、純粋に楽しかった!と思えるコンサートでした。聞いていくうちに好きになっていったスルメアルバム。演出も色々と新しいものを取り込んでて、とっっっても楽しかった。メモ程度に下書きは書いているのだけど清書されてない…。忙しくなる前に書き上げたい。

 

黒執事

いわゆる2.5次元ミュージカル。初見は色々と衝撃が強くて感想があんまりなかったんだけど(おい)、2回目以降は普通に楽しめた!その後、WOWOWでやっていたアニメを見たんだけど、再現率が高すぎて驚いた…。演出はもちろんなんだけど、アニメの声とほぼ同じじゃない…!?オーディションはそこ含めて選んだのかなぁ。いやぁ、凄い。

 

⚫Play a life (青猫チーム)

泣いた。自分でも驚くぐらい涙が止まらなかった。あったかくて優しくて。小劇場で3人だけのミュージカル。広瀬くんの甘い歌声が堪らなかった。楽曲も良かったなぁ。

 

⚫スカーレットピンパーネル

「冒険もの」として観劇すればもっと楽しめたかも。ショーヴランの石井さんが色気たっぷりで良かった。

 

 

これに加えて本当はナイスガイも観劇予定だったのですが、仕事の都合がつかず手放してしまいました…残念。

ちなみに去年までのわたしは年にコンサートに1、2回ほど行って、舞台も年に数回観に行けば多いほうでしたからね?1789以降のすってんころりん具合が凄まじいですよね。自覚してます。はい。

 

2017年はすでにロミジュリ、フランケンシュタイン、髑髏城、グレートギャツビーは複数回観劇予定ですし、それ以外にもキャバレー、真悟、ビッグフィッシュ、王家などなど楽しみが尽きませんね!

今年の目標は「お金の使い方は計画的に」なのですが、果たして実行できるのか…。頑張ります。

 

「スカーレット・ピンパーネル」@東京国際フォーラム 11/24ソワレ

とても人気の演目らしいという情報と、エリザに出ていたシュガー(佐藤さん)もロベピで出演ということで、一般発売の日に友達と挑戦したらするっと取れたので行ってきました!

この日の公演はロベスピエール役が平方元基さん。

(本当は11/28ソワレのシュガーのロベピ回もチケットを取っていたのだけど、仕事でどうにも都合がつかなくて手放してしまった…シュガーのむくむくロベピ見たかったよ←)

 

チラシに書いてあった「知恵で奴らを出し抜くのだ!」という謳い文句とはちょっと違った印象を持ったなぁ。頭脳戦みたいなのを期待していたのだけど、スカーレットピンパーネルであるということを隠すために、「馬鹿なふりをする」というのがなんとも稚拙な作戦では…ともにょもにょしてしまった。毎回あれはアドリブでやってるのかな?うすうす感じていたけどわたしはアドリブがあまり好きではないようだ…せっかく舞台の世界観に入り込んでいるのに一気に引き戻される感じが…。役の立ち位置とかアドリブの内容にもよっては大歓迎の時もあるんだけどなぁ~。今回はちょっとわたしの嗜好とは違ってた。ブロードウェイ本場や宝塚もこういう感じなのかな??

 

と、脚本演出にムムムッとしたんだけど、一番の収穫はショーヴラン役の石井さん!この演目で一番の役得って ショーヴランだと思うんですよ。石井さんの歌声がこれまた素敵で。色気が!!!とんでもない色気が出ています!!!!あ~とても良かった~~

 

1幕ラスト(2幕冒頭だっけかな?)のロベピの曲はかっこよくて良かった~。ただそのあとすぐにロベピからプリンス オブ ウェールズに早替えするから、マントの下がむくむくしすぎてて、一瞬「あれ…?ロベピって今日シュガーだっけ…???」と頭が混乱してしまった(←失礼)。

 

「頭脳戦」よりも「活劇」という感じかな?そういう前提で臨めばもっと楽しめたのかも。宝塚で2017年にスカピンやるそうなので、ご縁があったら再チャレンジしたいな。

 

とりあえず石井さんのショーヴランがとても良かった…(余韻

 

「Play a Life」(青猫チーム)@すみだパークスタジオ倉 2016/11/20

仕事と観劇に追われていたら、あっという間に1ヶ月経っていた。素晴らしい舞台だったので振り返る。

 

「明日は貴婦人だ~」と思いながら友達と連絡取り合ってたら、「広瀬くんのPlay a Lifeが良すぎた」という情報を入手。自分のスケジュールと体力とお金と…と悩んだけど、この先、広瀬くんがこんなキャパが小さい劇場でやることないだろうし、しかも内容も良いようだしと、友人の勧めの言葉そのままに翌日のチケット購入。

結果、観に行って正解だった。こんなに心震える良作に出会えるなんて。チケットが残っていて本当に良かった…!

 

青猫チーム:広瀬友祐、塩月綾香、嘉悦恵都 (敬称略)

 

3人だけのミュージカル。伴奏はチェロとピアノだけ。開演するまでチェロの方がBGM を奏でてくれて(通常ピアノの方らしいのだけど、この日は3公演目で疲れたからwということでチェロの方)、事前に友達から開演前に書くアンケートはやった方がよいよというアドバイスをもらっていたので、紙を頂いて「一番好きな映画」というお題の回答を書く。ふと前を見たら普通に広瀬くん始め演者のお三方がすでにいて驚いた。あんまりにも普通にいるもんだから。

アンケートがどう使われるのかよくわからないまま始まったと思ったら、初っぱなから好きな映画のアンケートが広瀬くんによって読み上げられるという流れで、わたしの「オペラ座の怪人」が一番始めに発せられて一瞬にして体温が上がった。(他の人も書いていたという現実もかなりあり得るけど、とりあえず「わたしが書いたやつ」という認識で喜んでおく)

 

日常の生活の会話を歌でおこなう。軽やかで心地よいメロディと歌声。広瀬くんの甘くて優しい歌声が素敵すぎた。至福。

そして嘉悦さん演じる教育実習生のフレッシュさと憎めないテンパり加減。見ながらキンキーブーツのローレンを思い出した。嘉悦さん、ローレン似合うんじゃないかなぁ。

 

中盤で夫と妻の関係は悟ったんだけど、そこからの話の展開が……もう、素晴らしいの一言。教育実習生が夫の家を訪問して、「すでに妻がいないこと」を確認するんだけど、思わず夫が「すぐそばにいる妻」に話しかける場面がぞっとした。「妻がまだいる人生」を生き続けようとする夫の狂気もはらんだ愛情。

その時、雷が落ちて会場全体が一気に暗転する。暗闇の中、夫の「いつもと同じ」「彼女に話しかけてもしゃべらない。姿が見えない中、生きている」(※台詞の記憶があやふやなのでニュアンスです)という言葉で、「彼はこんなにも暗闇の中で生き続けてきたのか」と、夫の悲しみと切なさとがぐわっと身体中に流れ込んできて涙が止まらなかった。小さい劇場だからこその演出だよなぁと改めて思う。すぐそこに夫の息づかいが聞こえて、気配も感じられて。悲しみがダイレクトに伝わってくる。

 

そんな夫に教育実習生が妻の言葉を代弁していくのだけど、その受け答えがとってもキュートで機転が利いていてくすりと笑えて。

 

 人は死ぬと誰かの人生に溶けていく

 

夫だけでなくわたしの心にもすとんと届いた。大切な人がわたしの人生に溶けていき、一部になっていく。まるで舞台のセットの布のように、誰かの人生が糸となって自分の人生の布に織り込まれていく。

心が震えるってこういうことなのかな。涙が溢れて止まらなかった。自分でも笑っちゃうくらい本当に涙が溢れ続けて、終演後に広瀬くんから挨拶があったときもまだ涙が出てた笑

 

プロモ動画。青猫さんチームじゃないけど。歌も本当に素敵だったなぁ。

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 終演後にお写真OKとのことだったので。 
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 最寄り駅までの徒歩20分弱が赤くなった目を冷ますのにちょうどよい距離だった。

 

円盤化されるようです。気になる人はぜひに~。わたしも書きながら感動がよみがえって、欲しくなってきた…B席1枚の値段より安い…うぅ…

 

本当にあったかくて優しくて素敵な舞台だった。