ただの備忘録

未来の自分に贈る、舞台の記憶と感想

「貴婦人の訪問 THE VISIT」@シアター1010 2016/11/3

見てきました~!

プレビュー公演初日。エリザベートでの涼風ゾフィーがあまりにも美しくて強くて、他の作品も見てみたい!ということでチケット購入。本当はクリエのチケットを取っていたのですが、どうにも仕事で行けそうにないということでギリギリで本公演のチケットを譲っていただきました。

 

涼風クレアが美しくて強くて気高いこと…!!!涼風さんの歌声、本当に好きだわ。そして山口さん、今井さん、石井さん、今さん、中村さんという実力派揃いで耳が心地よいこと心地よいこと。

大富豪となって故郷に戻ってきたクレアが、財政破綻寸前のギュレンの人々に20億ユーロを与えるかわりに、かつての恋人アルフレッドの死を求めるという前振りなんですが、これだけ聞くとクレアってどんだけ悪い女なんや…って思ってたんですよ。なぜ故郷に戻ってきたのか、なぜそんな無理難題をふっかけるのか、っていうのを紐解きながら話が進んでいくんですが……

※以下ネタバレしてるかもよー

 

 

ほんっとアルフレッドがクズ男!!!思わず口が悪くなっちゃうくらい、クズ男なんですよ!!!

 

「友人の死」と「莫大なお金」、「正義」と「過去の罪」を天秤にかけて、どちらを選ぶのか?と観客側も考えさせられるんですが、山口さんが頼りなさげに、周りに命を狙われていると思い込んでてんてこまいに逃げ惑う男の姿をコミカルに演じていて、"楽しめる"エンターテインメントに昇華しているなぁと思った。アルフレッドを愚直に、真面目に演じるだけでは、クレアだけでなく観客の憎しみも一身に受けるだけ。だってクズなんだもん(※詳細は観劇して確認してください)。それをギリギリ「ダメ男」のラインに乗せて、「この人はダメな人なんだけど、愛されている人なんです…!><」ってアルフレッドの妻マルチデと同じ気持ちにさせてくる塩梅が絶妙。凄いなぁ。

 

クレアがアルフレッドに「返して 私を」と強い口調で歌うんですが、(↓プロモーション映像にもある歌)

www.youtube.com

なぜクレアがここまでアルフレッドを憎んでいるのか、この場面のときはわからないんです。この歌は 彼女の魂の叫びだったんですね…。 

クレアはこの街で「クレア」を失った。冒頭、クレアが故郷に戻ってきたときに「この街は変わってないわね」と言い捨てるんですが、彼女の過去を知ると意味がわかる。汚い言葉を浴びせて街から彼女を追い出したギュレンの人たち。それが大富豪となったとしるや「ようこそ!故郷へ!」と大歓迎。唯一過去のことを気にかけていたアルフレッドも「昔のことは忘れてるよ」という友人の言葉を鵜呑みにする。この街の人たちの浅はかさときたら…!!自分たちがしたことの重大さに気付いていない。

 「正義」

街の人々は自分たちの「正義」に従って、決断を下した。アルフレッドの子供、そして妻のマルチデも。この家族の決断はちょっと衝撃的だった。クレアも最初はアルフレッドの死を求めることが自分の正義と言っていたし、「死んでも許さない」とアルフレッドを突き放してたけど、最後の最後でその正義が誤っていたことに気付いた。いや、正義より愛が勝ったのかな?

ラストの場面の街の人は苦悶の欠片はなく、自分達の「正義」に一点の曇りもないという表情だった。そしてちょっと笑みを浮かべていた?瀬名さん演じるマルチデはただ空を見つめていた。その様子が怖かった。

 

全然ハッピーエンドではないけど、最後まで楽しめたのはやっぱり音楽と演者さんたちの歌が良いからだろうなぁ。あーCD出ないかな…とても私の好みの音楽だった!

 

そして結末を知った上でもう一度見たいという欲が出てきているので、おそらくまた観に行きます…。だけど11月で空いてる日があと1日くらいしかない…行けるのか…いや、行く…。

 

あ、パンフレットのインタビューで「もし20億ユーロが手に入ったら何をしますか?」って言う質問に対する瀬名さんの答えが素直すぎて声に出して笑っちゃったので、気になる人はぜひ(笑) 

「エリザベート」2016@中日劇場 その3 ~大千秋楽~

終わりましたね。長い旅路が。

わたしは今年のエリザベートしか知らないけれども、2015年に3か月、2016年に4か月。1つの作品のこれだけのロングランって凄いなぁと改めて。

有難いことに大千秋楽を観劇することができたので、以下感想。

・10/23マチネ:花總、城田、田代、京本、山崎、香寿

 

大千秋楽というある意味特殊な状況下で各キャストが集大成を、という熱意を感じる舞台だった。その中で花總シシィは日々の公演と同様にエリザベートととして今日も生きていた。無邪気な少女が孤独を深め、最後には死を求めてしまう。年を重ねる過程がとても丁寧で、美しくて。孤高の皇后だったんだなぁと改めて思う。「私だけに」の自我を見つけた表情、「私が踊るとき」の自分の生きる道を見つけて"勝利"したときの表情、精神病院での自分の孤独の深さに苦しむ表情、そして最後にトートを受け入れたときの安堵の表情、そのひとつひとつが美しかった…。

 

城田トート。帝劇と比較すると本当に”化けた”トートだった。登場のシーンから「わたしが好きな方のトート…!」と嬉しくなった。今日の城田トートは心の機微がよりわかりやすく演じられていた気がする。シシィと初めて出会うシーンで心奪われる表情とか、体操室で高圧的に迫るところとか、もう…好き。今日も「最後のダンス」で「さー!」のところをキー上げていて全身の毛穴が開くほどの興奮(わたしのね)。あ、そういえば今日のしろたん、アイラインがいつもより濃いめだったような。子ルドとの場面、ものすっごいぎょろっとした目で見つめていた。銃を子ルドの手から引き抜くときのぎょろつきはんぱない。「こんなの初めて見た」というような、ものすごく興味津々!!って感じで時間をかけて取り上げてた。独立運動の場面も大我ルドルフをものすっごい「獲物」を見ているかのよう。怖い。好き(え。

大我ルドルフ。友達とも話したのだけど、いろいろ詰め込まれていたルドルフだったかなと。個人的主観から申しますと、ルドルフとしての完成度から言えば芳雄トート千秋楽の10/16マチネが本当に本当に良かったのです…!!!今日のマチネは、今の大我さんのルドルフへの思いに溢れた演技だった。一番驚いたのは闇広でキーを上げてた。トートに迫られる前の「しーばーらーれてー」の「れてー」のとこ。大我さん、凄っ…!となった。と思ったら、公演後ありがたいツイートが。

Wルドルフ…!!!!大千秋楽だからこそできたんだろうなぁ。

話を戻しまして。独立運動では階段を降りて前に出た後、眼を閉じてすっと顔を上げて次に目を開いたときには覚悟は決まっていた。闘志に溢れる目。

蟄居を命じられるところ、絶望感に溢れていた。「父上…」が今にも壊れそうな繊細な少年のようで。ママ鏡、「ママは僕の鏡だから」怖い。そうであると信じ続けた彼のアイデンティティが崩壊する様。最後しがみついたあと、花總シシィは断固拒絶、ではなく、息子を助けたい気持ちが少し見えた気がした。それでも最後は腕を引っこ抜いた。

マイヤーリンク。ママにも見捨てられ絶望に溢れているところに「死にたいのか」。死の舞の美しさ。銃を受け取ったとき、「安らぎ」を得たようなほっとした表情からの自死を決意した顔をしての死の接吻。その後、正面を向いたときもほんの少し安らかな表情をしているように見えた。ここの表情が色々詰め込まれたような気がしたんだよなぁ…。

 

いくさぶルキーニのキッチュリプライズ。先週は「憎悪」に満ち溢れていたんだけど、今日のキッチュは、もちろん憎悪もあるのだけれど、どこかやるせなさや悲しさ、虚しさなどが垣間見れた気がした…すごく良かった。 

香寿ゾフィーの凄みがはんぱない…本当に怖い…。「皇后の務め」の「ダメよっ!!」が本当に怖くて怖くて、シシィもそりゃぁ逃げ出すよ…。

そして博多座から中日劇場までシングルキャストとしてやられた万理生フランツ。観客の心配をよそに、毎公演毎公演、全力のフランツを演じていた。全力でシシィを愛していた。悪夢でルキーニに突き飛ばされたあと、けっこうな勢いで吹っ飛んでたけど、本当に体大丈夫だっただろうか…。今日の公演、トートに釘付けになってたから、フランツのラストフライを見れなくて公演後にだいぶ後悔した。

あ、そういえばエーヤンのところ、大我さんがあんまり見えなかったから革命家たちを見ていたのだけど、いつも以上に熱が入っていたような(階段を上るのがギリギリだったような??)。エルマーが発砲した後、城田トートが革命家たちを暗示にかけるようにするとき、広瀬シュテファンの暗示のかかり方がとっても良かった。カフェのシーンよりも「かかっている感じ」がとてもしていて。

 

カーテンコールではしろたんが登場していくさぶとハグ…!!とりあえずここでわたしの涙腺が決壊。

以下、ニュアンスのカテコ挨拶。

・大我ルドルフ:エリザベートのオーディションが20歳の誕生日でした。何もわからない中、出演者の皆さん、スタッフの皆さん、観客の皆さんに支えられて、気持ちよく千秋楽を終えることができました。エリザベートに出演したことで、ミュージカルの楽しさを知ることができたので、またこれから地道に少しずつ努力して色々な作品に出たいと思いました。

・香寿ゾフィー:去年よりも少しでも大きく見せられるようにやってまいりました。まだまだゾフィーという役を深められると思いましたので、またいつかゾフィー役で戻ってこれたらと思います。

大我さん、舞台ではしっかりと芯のある声をしていたから、カテコでの高くてソフトな声のギャップにびっくりしたw そして香寿さんもめちゃめちゃ怖いゾフィーだったのに、カテコでは優しい声でギャップ…!!!となった。

・いくさぶルキーニ:今までは大我くんのルドルフのような役をやることが多かったのですが、30歳という節目にルキーニという役に挑戦させてくださった小池先生はじめスタッフの皆様に感謝いたします。

・万里生フランツ:僕自身、2か月以上のロングラン公演というのは初めてで、途中までは佐藤くんとWキャストだったんですが、数えたら全125回中106回やっていたんです。今年、フランツ・ヨーゼフ没後100年、またハプスブルグ家滅亡から98年です。今年ウィーンを訪れたのですが、いまだにエリザベートが国民に愛されていることを実感しました。そのような愛される作品に出られたことを感謝いたします。

・城田トート:去年トートをやっていたときにすでに今年の公演が決まっていたのですが、どうにかしてやめれないか。ずっと考えていました。いや、笑い事じゃなく。僕のキャパシティを遥かに超えていました。来てくださる皆様に満足していただけるトートができているのか、不安でした。カーテンコールの皆様の笑顔と拍手でここまでやってくることができました。今では、またトートをやることができたら、と思っています。

しろたん…!!!!!!(号泣)

いや、今年の帝劇のカテコ映像見てもらえればわかるんですが、このあと3会場回りきれるんだろうか…??と不安になるくらいネガティブだったんですよ…!!!それがまたやりたいって言ってくれるなんて!!!(号泣)(※誇張表現ではなく、本当に涙腺崩壊していた)博多座で何があったのかわからないんですが、とりあえず博多座ありがとう!!と言いたい。梅芸から中日にかけてのこの飛躍ぶり。すごい。しろたんが褒めてっていうから、全力で褒める!!本当に本当にお疲れさま!!!しろたんのトートがまた観たいです!!!

そして花總シシィ。花總さんがしゃべりだしたときから涙声で、私も涙垂れ流し。

 ・花總シシィ:6月に帝国劇場で始まり、博多座梅田芸術劇場、そして中日劇場と大千秋楽を迎えることができました。小池先生、上垣先生(※指揮者の方)、出演者の皆さん、スタッフの皆さん、各会場のスタッフの皆さん、そして何より毎日劇場に来てくださる皆様に支えられてここまで来ることができました。本当にありがとうございました。皆様の心に何か一つでも残るものがあるように、と演じてきましたが、楽なことではなく大変な日々でしたが、皆様の笑顔が何よりの励みでした。本当にありがとうございました。

花總さんのシシィを見ることができるのは最後なのかな…と薄っすらおもっていたからなおさら涙が止まらない。しろたんもそうだけど、タイトルロールの重圧、人気公演の重圧、凄まじいものがあるんだろうなぁ…。美しくて気高いシシィを魅せてくださって本当に本当にありがとうございました。

 

花總さんとしろたんの2人でのカテコ1回目。しろたんが投げチューしたあとに、花總さんも投げチューを手のひらをふーっと吹いて客席に振りまいてくれた!2回目に出てきたとき、下手の袖から乱入者が!と思ったらいくさぶがダッシュで2人のもとにwwそして颯爽とはけていったwww素で驚いていたしろたんと花總さん。その後、しろたんが花總さんに向けて自分のほっぺを指さして、花總さんがほっぺにチューしてあげてた~。3回目は最後に2人で熱くハグ!!

 

素敵な旅路に参加することができて、本当に楽しかったです。

キャストの皆様、スタッフの皆様、本当にお疲れさまでした。

また、いつの日にか。

 

おまけ。

可知さん大好き…!!!!w

「エリザベート」2016@中日劇場 その2 ~井上・古川・涼風千秋楽~

日劇場での公演も2週目に入り、一部のプリンシパルが千秋楽を迎える時期に突入してしまった。早い。

以下、日ごとの感想。

 

・10/14マチネ:花總、城田、古川、田代、香寿、山崎

・10/15マチネ:蘭乃、井上、京本、田代、涼風、成河

・10/15ソワレ:花總、井上、京本、田代、涼風、山崎

・10/16マチネ:花總、井上、京本、田代、涼風、成河

 

⚫10/14マチネ(古川千秋楽)

最高でした!素晴らしかった!!

まずは本公演で千秋楽を迎えた古川くん、そして子ルドの大内天くん、お疲れ様でした!

花總シシィの美しさと高貴さに見惚れる。城田トートは冒頭からアクセル全開で「私が好きなやつ!」と胸が高鳴った。

この回の座席が1階上手のサイドだったんだけど、この席めっちゃ楽しい…。演者の方と目線があうし(勘違いだろという突っ込みはいらない←)、オケピと客席の間に空間がないから舞台の延長線上に自分がいるような感覚になる。エーヤンの場面とか、自分もハンガリー市民になったような気分。角度的に古川くんが見えないから、シシィとフランツを見てたんだけど、わたしも一緒に\エーヤン!/ってやりたくなった。何より結婚式のあとにトートが現れる場面、城田トートがねちっこくシシィを見つめ続ける視線の延長線上にわたしが。怖い。本当にしろたん怖い。そりゃシシィも怯えるわ。わたしも怯えた←

最後のダンスも「さーー!」のところをキーを上げて歌っててぞくぞくした!何回も言うけど中日のしろたん、本当に良くなってる。東宝の偉い人にこの想いよ届け。

悪夢の場面で、フランツがルキーニに突き飛ばされた姿を見ていた香寿ゾフィーがとても「母親」の顔をしていて…息子を心配している母の顔で……胸に来るものがあった。

育三郎ルキーニがとても良い!濃度が濃くなってる。ミルクで市民を煽るところ、成河ルキーニは市民を上から見ているような嘲笑うものを感じるんだけど、育三郎は皇帝陛下、皇后、いわゆる「偉いやつら」を市民と一緒の立場で憎しみを抱いているところがある。面白い。

古川ルドルフ。おそらく最後であろうルドルフとしての姿を一瞬たりとも見逃したくないという熱意が劇場いっぱいに溢れていた。

美しかった……。必死に人生を駆け抜けた皇太子。闇広、まだトートが見えていないけど「何かを感じている」姿。「君は思い出す」と言われて閉じていた目が大きく開き、トートを見た瞬間、かつての友達との再会に驚いた姿。友達に心のうちをさらけ出す姿。そしてトートに唆されて独立運動に身を投じることを決意する姿。「我慢できないー!」「王座ー!」で眼の色が変わり、力強く歌う姿。どれもこれも美しい。城田トートと古川ルドルフの画が美しすぎて。マイヤーリンクでは死に魅せられた舞、そして必死に死に抗おうとする青年の命。死の接吻のあとに正面を見据えた表情が、この世のすべてから解放された澄んだ表情に見えて胸がいっぱいになった。あ、この日初めて認識したんだけど、古川ルドルフは引き金を引いた後、目を開けたままトートダンサーに運ばれていくのですね…いつもトート見ていたから気が付かなかった。。

帝劇、梅芸と変化と進化をとげた古川ルドルフの集大成。もう見ることはできないんだろうな、という寂しさも感じるのだけど、それ以上に「素晴らしいルドルフをありがとう!」と晴れ晴れとした気持ちになった。

カーテンコールで「途中シングルになって、思ったよりも大変で」と仰ったときは「梅芸のことですね…」とあまりの正直さに笑いそうになった。(博多座のときはシングルでも思ったよりも大丈夫だったってブログに書いてたから!w) あとは次はルドルフではない役で、と言っていて、しろたんが「トートは?」→古「いや、それは偉い人が決めることなので!」とお言葉いただきましたが、ぜひぜひ古川くんのトートを見てみたいなと!思っていますよー!!

本当にお疲れ様でした!

 

 ⚫10/15マチネ

芳雄さんが絶好調すぎる。声量はんぱない。1階席だったったのもあったんだろうけど、声の圧がとてつもなく凄かった…。最後のダンスとか、全身の毛穴開いているんじゃないかってくらい興奮した。拍手がなかなか鳴りやまなくて、芳雄トートがマントをバサッと広げてようやく落ち着いた感じ。結婚式の場面では客席後方からステージに歩いていく通路の近くの席で、そばを通ったときのオーラに震えた。一瞬目の前で止まってくれたとき、心臓止まるかと思ったよ…。

蘭乃さん、見納め!梅芸の凄く良かった回に入ったからどうしてもその回と比べてしまうのだけど、うーん…1幕途中まで歌いづらそうだったかなぁ。表情はすごく豊かで可愛くて好きです!バートイシュルの場面は本当に可愛い。「鹿さん!鹿さん!」と上の台にかけ上がって座ったあと、下にいる成河ルキーニと目があったかと思うと二人でパカッパカッと鹿が駆け回ってるしぐさを現すように手をくるくるしてて、あまりのコミカルさに笑みがこぼれてしまった。「私だけに」は持ち直してくれて、良かった。「自!我!」というのをすごく感じる蘭乃シシィ。そりゃあゾフィーとそりがあわないっしょ~というのがすごく腑に落ちる。己の自我でハプスブルク家を破滅へと導くさまが圧倒的でした。

大我ルドルフ、美しかったー!!

不安な顔と国を建て直したいという志に溢れた顔が交互に現れて、ルドルフの不安定な心情がよく現されてた。トートから受け取った銃を悦の表情で見つめる大我ルドルフ、耽美…。死を決意したというよりは、死の魅力に取り憑かれたよう。そのあと死の接吻からの自死

ゾフィーの死」で涼風ゾフィーは事切れる前にフランツと言っていた。でもその前の歌終わりにもなにか呟いているんだよなぁ…読み取れず。帝劇では事切れる前にふっと微笑んだようなお顔をしていたのだけれど、中日では苦しそうな表情のまま。

可知さんをマデレーネ以外で初めて判別できた!嬉しい。私の目が正しければ、昆布のところは下手の女官、ミルクは最後一列になったときに最下手に、エーヤンは真ん中辺りに紛れてて、hassのあとに旗が落ちてきた後は真ん中辺りで旗を持って睨みつけている…はず…。女性アンサンブルさんはお化粧と衣装で全然違う印象になるから、本当に判別が難しくてだな。

1幕ラストの三重奏の万里生フランツがとても良かった。以前はもっと強い口調というか硬い声で女官たちに話しかけていたと思うんだけど、少し声が丸くなったというか、優しさを感じられる言い方になっていた。自分のなかでシシィとゾフィーのどちらを選ぶのか、必死に考えて、シシィへの愛を選んだのが痛いほど伝わってきた。

成河ルキーニ、好きだー。

un grande amore!!

トートとシシィの間に芽生えた愛について語っているようだけど、本当はシシィを自分に殺させてくれたトートと自分(ルキーニ)の愛だと思っていそう…。冒頭の昆布のところで成河ルキーニが棺の階段にいて、トートに腕を必死に伸ばして何かを取ろうとしている姿。これって悪夢のラストのシーンでトートから刃物を受け取るとことまったく同じなんすよね…ただ刃物があるかどうか。もともと成河ルキーニにはトートへの狂信的な愛を感じていたのだけど、やっぱり全てはそれなんだろうなぁ。悪夢の場面は舞台下手でトートとフランツの応酬には関心なさそうにしていた。ルキーニはトートとフランツどうなろうと関係ない、ただ刃物を与えてもらうことが目的ということか?刺した後にルキーニはトートに手を伸ばし叫ぶ。「un grande amore!!!」。トートに自分は愛されているんだとルキーニの壮大な思い違い。最期の場面、トートとシシィがキスをしている横で、自分の首に縄をかけながら嬉しそうな顔していた。「私も死に愛されている!」。そんな感じ。だけどトートはルキーニなんか愛していないよね。死後、ルキーニは安らかに眠ることができず、100年間も同じ質問を裁判官にされ続けているんだから。

あ、そういえばお見合いの場面、リヒテンシュタインとグリュンネ伯爵たちのところにふらーっと行ったと思ったら、臭いやつがやってきたみたいな感じで二人が鼻をつまんでて笑ったw

この回が蘭乃さんと芳雄さんの組み合わせが最後でして、カテコ3回目に芳雄さんから蘭乃さんをハグ!蘭乃さんも涙を拭っていたような。そして4回目のカテコでは一礼したあと、肩を組んでお手振りしてくれた。可愛かった~。

 

 ⚫10/15ソワレ

芳雄さんがやはり絶好調。マチネは1階だったからというのはあったと思うんだけど、2階席なのに声の圧を感じるって凄すぎでしょ…。体操室の場面、ドクトルの姿からトートに戻って椅子に横たわるときにシシィがつけてたコルセットを長い足で蹴落としていたところにときめいた← 

「私が踊るとき」の花總シシィ。トートに勝利を告げたくて、まるでトートが現れるのを待っていたかのよう。あーかっこいい。

大我さんのエーヤンがよく見えたような?あれ?2階だから?古川くんから引き継いだ?← 独立運動に対する不安と気概が交互に現れる表情が秀逸。闇広、芳雄トートの飴と鞭の加減がたまらない。「見ていていいのか?」と圧倒させたあと、「未来の皇帝陛下」と頬を撫でながら柔らい声(だけど断ることのできない圧力)をかける。それに乗せられる大我ルドルフの「我慢できないー!」。カフェの場面、前は「ハンガリー国王!!」と声高に言っていたと思うのだけど、中日はどちらかというと自分では想像もしなかった選択肢が出てきて、思わず口に出して言ってしまったという感じになっていた。あと以前は本当に独立運動に参加してよいのだろうか?と不安な表情が気づくと出ていて、「チャンスはないぞ」のところでようやく決断していたと思うんだけど、ソワレは階段を降りたときにはすで決心していた。革命家たちと握手するときの眼に意志を感じた。それでも革命中は不安な表情がどんどん出てきて、敗れた後に名乗るときの「……ハプスブルグ」が絶望に溢れてて。ママ鏡は「孤立無援」のところを頭を横に振りながら歌うのがもう…庇護欲掻き立てられる←。シシィの手を自分の頬に持っていき、少し抱きつくんだけど、花總シシィがその腕を手で掴んで離すんじゃなくて、指で外してたんですよ…。「触りたくもない」、そんな感じ。これは…辛い。

マイヤーリンクも美しい。芳雄トートにふわっと暗示?をかけられた後に無の表情になって舞う。はっと気がついて必死に「死」に抗おうとする。最後には銃を受け取って、死に魅せられたような笑みを浮かべてからの死の接吻。表情が失われるのが見事なんだよなぁ。

育三郎ルキーニが最高。キッチュのリプライズが、「嘲笑」を通り越して「憎悪」だった。ものすごく怖かった…だけどものすごく良かった…。そういえば、カフェの場面で芳雄トートが革命家たちとはけるときに、育三郎ルキーニの頬を触ってはけていったんだけど??私の幻想じゃないよね??(他の人のそういうレポを全く見ないので不安)。

お見合いのところ、マチネの成河ルキーニとどう違うのかな?と思って見てたら、リヒテンシュタインたちのところに行ったはいいものの、「何か変な奴来た」みたいな感じでシッシッと手であしらわれてた(笑) お見合いのとことか結婚式のとことか圧倒的に目が足りない!

涼風ゾフィー、2幕の歌い出しがオケとずれてヒヤッとした。ゾフィーの死の場面、マチネと変わっていた。事切れる前に「フランツ」とは呟いていないし、歌い終わりになにか呟いているんだけど「フランツ」ではないような…?

芳雄トートと育三郎ルキーニのラスト回。カテコ1回目のときに、芳雄さんが拍手のなか登場したと思ったら、はけようとしてた育三郎をハグしていった!

 

●10/16マチネ(井上、涼風千秋楽)

芳雄さんがこれでもかっていうくらい絶好調。最後のダンスの「おーーーーーーーーーーーれぇぇぇぇ    さぁーーーーーーーーアアアアアア↑↑↑↑↑↑」みたいな感じ。本当に絶好調。やっぱり絶好調。体操室の場面もノリノリで面白かった(誉めてる。「それはこの俺っd」「うぁぁぁぁぢがうっっ!!」とだいぶ食い気味に花總シシィが拒否してて面白かった(誉めてる。

ゾフィーの死」でね…涙が出てきた。妻としての喜び、母としての喜びを殺してただただ「皇帝陛下」を育てることだけを考えて生きてきたゾフィー。それなのに息子からは絶縁みたいな感じで言われちゃうし、あぁ辛い…。事切れる前には何も言わず、歌い終わったあとに何か言っている。やはり「フランツ」ではないような…。

独立運動の場面。「ハンガリー国王」と言って階段を下りる前ではなく、前に出てきて眼を閉じて顔をすっと上げて顔を戻したときにはすでに決意が固まっていた。革命家たちとの握手も固い。父親から蟄居を命じられた後の「父上……」が、もう…信じられないというような絶望を感じた。ママ鏡からのマイヤーリンクでも泣けた。言うてもわたしエリザ何回も見てるけど、涙が出てくることってほとんどなくて。いや、ほんとに大我ルドルフがとても良かった。シシィの手に頬を当て、少し抱きつくけど、シシィに外されることなく落ちた手。その手を信じられないように見つめ、両手を抱え込んでの「ママも見捨てるんだね」。マイヤーリンクで銃を受け取った瞬間に悦の表情で愛しいような手つきで触ってから、すっと何かを決意してからの死の接吻。いつもより長めだったような?その後の無の表情。あぁ、美しい。

葬儀の場面でトートに死なせてくれと願ったのに断られたあと、花總シシィ笑っていた。声に出して笑っていた。そしてルキーニに写真を撮られた後の絶叫。ぞわっとした。

あとはやっぱり成河ルキーニが最高でしてね…。ミルクの「さぁ!」と「今っ!」のあの歌い方が最高じゃない??市民を嘲笑いながら、火に油を注ぐことを楽しんでいるような悪い声…!痺れる。育三郎ルキーニのミルクは市民と同じ側にいる感じがするんだよなぁ。市民と同様に「偉いやつら」に怒りを感じている。同じ「さぁ!」「今っ!」という歌詞なのに憎しみをとても感じる。Wキャスト面白いなぁ!

そういえば「夜のボート」の終わりに口笛を吹きながら登場したときは、「お、お前…!!」ってなったよ(誉めてる。

カテコでは涼風さんと芳雄さんからご挨拶。涼風さんが涙声になりながら「私がカンパニーで一番年上なんですけど、皆に支えてもらって…」と。そしてこの日の公演にはいない蘭乃さんやしろたんなどのプリンシパルに感謝を述べて、「そしてもう一人の素晴らしいゾフィー様に感謝申し上げます」で私の涙腺崩壊。芳雄さんからは「いつもは早く終わらないかなって思うんですけど、今日は終わらなければいいのにと思いながらやっていました。」「ルドルフで初舞台を踏ませていただき、トートとして帰ってくることができました。トートの次にやる役はありませんので、ぜひ!次もトートでお願いいたします!」とお言葉いただきました!観客の\フーーーーーーー!!!!/という歓声と盛大な拍手。

カテコ3回目では芳雄さんから花總さんをハグ!の後に花總さんが芳雄さんの首を「なんで先に終わるのー!!」って感じで絞めてたww 5回目のカテコでは芳雄さんがガバッと花總さんを熱い抱擁。幕が下りる間際には投げキスもくれました~。

芳雄さん、涼風さん、本当に本当にお疲れさまでした!!!!

そして成河さん見納めだったのだけど、こんなに素敵な役者さんに出会えてとても楽しかったです!!残りの公演も頑張ってください!

 

エリザベートの長い長い旅路が終わりを迎えようとしていますね。。。どうぞ最後まで無事に駆け抜けられますように!!! 

「エリザベート」2016@中日劇場 その1

梅芸後半のチケットを探していこうかと悩み続けた日々が去り、とうとうエリザベート最終地の中日劇場がやってきました。あっという間に最終地……。

まず劇場に入って思ったのが、舞台近っっ!!!

演者さんたちが劇場入りしてTwitterでよくつぶやいていたのが「客席との近さ」でしたが、本当に近い。最前列、おけぴの真後ろ。人が通る隙間ないけど、キッチュとか結婚式の場面、どうなるんだろうって思ったら、やっぱり客席降りての下手・上手への横移動はなし。ですよね~。お陰で2階席でもキッチュ見れた。良かった。

あと全体的に舞台がきゅっと圧縮されたというか、コンパクトになっていた。一視野で見えるものが増えて嬉しい。以下、日ごとの感想。

 

・10/8マチネ:花總、井上、古川、田代、涼風、成河

・10/8ソワレ:蘭乃、城田、京本、田代、香寿、山崎

・10/9マチネ:花總、井上、古川、田代、涼風、山崎

・10/10マチネ:花總、城田、古川、田代、香寿、成河

 

●10/8マチネ

花總シシィが梅田よりも凄く良くなってた……なんだあれ。エリザベートだった。「私だけに」でぽつりぽつりと歌い出すところから目が輝いて「自我」が芽生えていく過程が丁寧に演じられていた。1幕ラストでの三重奏の扇子を開いて顔を隠す直前のお顔が!自信に満ち溢れていて、高貴なオーラが凄くてゾクッとした。

「私が踊るとき」も素晴らしかった!!勝ち誇ったお顔が!美しい!歌声も素晴らしい!精神病院も、細目の声で歌うのではなく芯のある声で歌っていて切なさが増す。

芳雄トートはいつ見ても絶好調。無敵か。圧倒的な歌声。

古川ルドルフ。梅田ではちょっと心配してた部分もあったんだけど、中日は帝劇路線に戻ったかな?眼差しの強さが戻っていた。エーヤンも笑顔だったし、ミルクも力強く踊っていた。しかしまさかの旗が降りてこないハプニング。裏方さーん!しっかりー!劇場中の空気が一瞬止まった。トートが出てこるなくなるじゃん、どうすんのとドキドキしてたら、バサッといきなり落ちてきた。「とりあえず落とせ!」的な?笑 

そんなこんなあったけど、闇広は上パート歌ってたし、体調も良いよう。強いルドルフの印象が戻ってきたけど、マイヤーリンクの舞はやはりどこか死を感じさせる。銃を受け取ろうとする前の抵抗してた。だけど抗いきれない死への欲求。銃を受け取ってから自死の決意をして、死の接吻。ちょっとキスの前にためがあったような?その後は一瞥もせず引き金を引く。

葬儀の場面でトートにまだ俺を愛してはいないと言われたあと、花總シシィはむせび泣くのではなく笑ってた。乾いた笑い。ゾッとした。

初めて見たというより、初めて視線をそちらに向けたのだけど、悪夢のとき、成河ルキーニは舞台の前の方で顎に手をついて関心なさそうに客席側を向いているんですね。それがトートに呼ばれたら犬みたいに尻尾ふって刃物を受け取りに行っていた。これ、いつもそうだったのかな?

あ~ラストの場面、美しかった……

 

●10/8ソワレ

蘭乃シシィ、梅田がすごく良くなってたのでとても期待していたのだけど…!うーん。個人的に梅田のほうがかなり良かったかな?ちょっと声が出しにくそうだった。

城田トート、本当に良くなっていってる。活き活きしている。子ルドとの場面、目がギョロっとして子ルドを見つめてて、すごく怖かった。獲物を見つけた感じ?気を抜くと喰われちゃうぐらい。それは独立運動のカフェの場面でも。大我ルドルフをギョロギョロ見てた。悪魔や…いや、「死」でしたね…。ルドルフはトートから逃れられないって確信してしまう。怖い。

最後のダンスも歌い方アレンジしていた。好き好きー!梅田よりもすごく良くなっているよ!どうか映像残して!東宝さま!

大我ルドルフ。帝劇以来。ルドルフのあとはアイドル稼業をずっとしてたから、どうかな?ブランク感じちゃうかな?って心配していたけどそんなことなかった。杞憂。むしろずっと良くなってたのでは。昆布のシーンで出てきた瞬間、「美…」と見とれてしまった。メイク薄めに感じたけど、どうなんだろう?素っぴん?美人さん~。昆布で踊るところ、ついこの間までアイドルをしてたからか、一人ダンスの切れが良かったw

国を建て直したいという若い志が感じられる大我ルドルフ。闇広、大我さんの「王座ー!」が大好きなんだよ…。革命家たちに持ち上げられて「チャンスはないぞー」のところで目の色ががらっと変わるところも好き。マイヤーリンク、軽い。魂がもうこの世にはない舞。銃を受け取ってじっと見たあとに城田トートとの死の接吻。そのあとの虚無の目。美しい…。

育三郎ルキーニ。育三郎成分がかなり薄まっていて、犯罪者の香りが濃くなってた…!とても良い…!

 

●10/9マチネ

すごく良かった。すごくすごく良かった…!震えるほど良かった。泣きそうになるくらい良かった。各キャストがみんな素晴らしかった!!

花總シシィ。前日も素晴らしいと思ったんだけど、この日はもっと素晴らしかった…。天井知らず。心の声が気がついたら歌になっていた。感情が歌に乗ってて。「私だけに」の高まりが鳥肌。三重奏の凛としたお顔もたまらない。

「私が踊るとき」も、エリザベート様…!ってひざまずきたくなる。美しくて気品に溢れてて自信満々で。「邪魔しないで!」のところがねー、本当に好き!!痺れる。精神病院のところ、わたしの席からだと後ろについてるスターレイも一緒に見えたんだけど、シシィの孤独をスターレイも辛そうに聞いていて、泣けてきた。今日の花總シシィは人生を全うしていた。全力で生きて、泣いて、つまずいて。最後にトートから自由を与えられて飛び立っていった。

芳雄トート。見るたびに今日も絶好調ですね!と言いたくなる。化け物か。フランツに対する嫉妬心みたいなのがちらちら垣間見れてたまらない。圧倒的ですよ、芳雄トート。子ルドの「猫をころしたー」の場面で、今回芳雄トートが驚いていなくて、あれっ?と思ったので観劇後に友達に聞いたら、子ルドが銃の撃鉄を上げられなくて音が鳴らなかったから驚けなかったと教えてもらった。見ているようで見えていない…わたしの目は節穴だらけ…

古川ルドルフ。一人の皇太子だった。革命家でもなく、怒れる皇太子でもなく、死にそうでもなく、ただただ皇太子だった。国を変えたいという気持ちで独立運動まできたルドルフ。闇広凄く良かった。「王座ー!」と叫んだときにはすでに覚悟は決まっていた。やってやるんだという意思が見えた。名乗るところもハプスブルク!と声高に告げていたし、父上っっ!と叫んでいた。蟄居を命じられた後もまだ国を変えたいという思いが感じられた。ママ鏡でシシィに懇願して拒絶されたあとの「ママを見捨てるんだね」からのマイヤーリンク。たまらない。梅芸のときの死にそうなルドルフではなく、帝劇のような死なないルドルフでもなく、一人の青年ルドルフとして生死の境目にいた。もしかしたら「生」という選択肢もあるんじゃないか?と思ってしまった。それくらいどっちに転んでもおかしくない。それでも抗えない死という選択。銃を受け取ったあとの意思が固まった眼光。トートと死の接吻をしてからの眼が…なんというかわたしには澄んだ眼をしているように見えた。全力で駆け抜けた若い命。人生を全うしたわけじゃないんだけど、そのようなものを感じた…。ただただすごいものを見てしまった、そういう感覚になった。

育三郎が育三郎成分薄目のルキーニ。すごくいい。ミルクの煽動ぶり今まで見たなかで一番。悪い顔しながら市民を煽っていくあの様。ほんとよい!

各キャストがベストを出し尽くすとこんなにも素晴らしいのかと。泣けてくるほど素晴らしかった。

 

●10/10マチネ

花總シシィがもうずっと素晴らしくて。もうねー、花總シシィの「私が踊るとき」が本当に大好き。かっこいい。痺れる。邪魔しないで!が力強くてひれ伏したくなる。

城田トート。1幕は目を閉じながら歌っていたりとねちっこくじっとり歌う感じでスタート。後半にかけてどんどん上がってきた感じかな?しかし、全体を通して帝劇や梅芸よりずっと良くなっている。本当に中日の城田トートをDVDで残してくれませんか!?東宝さまー!!

古川ルドルフ。素晴らしくて。ただただ国を建て直したいと、国の将来を憂う皇太子だった。闇広が好きだー!「王座ー!」と叫んでからの目の力が強い。独立運動で敗れたあともまだ諦めてないように感じた。ママ鏡で母親に懇願するとき、「ママ」ではなく、「ハンガリーを助けたエリザベート」にお願いしていたように感じた。だけど、シシィが関わらないでというオーラがとんでもなく凄かった。なぜそんなに拒絶する?抱きついた腕をシシィに外されることなく、だらんと落ちていた。「ママも僕を見捨てるんだね」。もしかして僕=ハンガリーなのかな。父親も母親もハンガリーを助けようとしてくれない。父親ハンガリーに問題があるとは思っていないし、母親は昔の話だと言っている。昔の話……ゾフィーから必死にルドルフを取り返そうとした頃……。「今のハンガリー」「今のルドルフ」を誰も直視しようとしていない。「僕もハンガリーも見捨てられた」。孤立無援、誰も助けられない、ママだけがパパを説得できる。どうにもならない現状…。

あーでもなんか違うかな。それはどっちかっていうと大我ルドルフだ……。そんな感傷的なものではなく、「母子」というより「皇后」と「皇太子」というか…うーん、言語化できない(諦めた。

でもそんな状況でもまだこの時点ではルドルフに「死」という選択はなかったのではないかな?と思った。それなのに「死にたいのか?」と惑わすトート。 マイヤーリンクは生と死の間をめまぐるしく行き来していた。トートから銃を受けとる直前まで古川ルドルフは「死」に抗っていた。死の接吻からの自死の場面、本当に美しい。今の古川ルドルフ、大好きです!

成河ルキーニは相変わらず不穏な空気を醸し出しててぞくぞくする。初日も思ったのだけど、最後の悪夢の場面で「オルレアン公を殺すつもりだった」の言い方が変わりましたよね?今まで私が観劇した公演では少し声が震えて、刃物を見つめていたと思うんだけど、中日はなんというか虚を突かれたような、「そういえば、自分は何をしに来たんだっけ?」と素に戻ったというか、そんな声と表情だった。成河ルキーニの回は、彼の妄想の中のエリザベートとトートの話なのではないか?と思わせる力があるのだけど、その声と表情でわたし自身も一瞬悪夢から目が覚めるような感覚になった。でもそのあとからルキーニの独白が始まって怒濤のラストを迎えるのでほんの一瞬のことなんですけどね。

 

帝劇、梅芸からの中日劇場。各キャストが本当に素晴らしくて!毎回毎回感動する。今週末からは千穐楽を迎えるキャストの方々もいらっしゃって、エリザベートの終わる足音が聞こえてきていて耐えられない。エリザが終わった後の自分が想像できない…。

 

どうか、無事に千穐楽まで駆け抜けられますように…

宙組「エリザベート」@東京宝塚劇場 2016/09/21ソワレ

 

友達にお誘いいただいて、東京宝塚劇場にお邪魔してきました。人生2回目の宝塚!(人生初の宝塚は小学校低学年時に某地方都市で観劇したけど、最後にメインの2人が拳銃で心中する話だったのだけ覚えている。あれはいったいどういう話だったんだろう…)

B席3500円だし、パンフレット1000円だし、とってもお財布に優しい。しかし15:30開演って社会人にはあんまり優しくないですね…(わたしはお休み取った)。

東宝エリザベートと同じ演出家の小池先生だけど、ちょこちょこ違っていた。取り急ぎ報告しますが、わたし真風フランツ好きです。はい。シュガンツ*1よりもマリンツ*2よりも好きかもしれん…ってか好きだわ。うん。

 

<キャスト>

トート:朝夏まなとエリザベート:実咲 凜音 /フランツ:真風 涼帆/ルキーニ:愛月 ひかる/ルドルフ:澄輝 さやと /エルマー:蒼羽りく/シュテファン:桜木みなと(敬称略)

 

まず東宝エリザベートと大きく違うのが「トートが主役」ということ。いつもの調子で見始めたけど、その根本を一幕途中までうっかり忘れてた。東宝エリザのルキーニ以上に様々な場面にトートが現れる(ミルクもトートが民衆を焚き付けてた)。シシィと出会う場面の「愛と死の輪舞」で東宝エリザでは「追いかけよう~」と歌うところを朝夏トートは「追い詰めよう~」と歌っていたんですよね(後でパンフを見返したら歌詞は「追いかけよう」になっていたので朝夏さんのオリジナル…?この日だけだったかはわからない)。それがまさに宝塚におけるエリザベートを表しているように思えた。東宝エリザはシシィが泣いたり笑ったり挫けたりしている要所要所でトートが現れて「お前が愛しているのは俺だ」と言ったり、シシィが命を断とうとすると「待ってました!」と言わんばかりに現れる。対して宝塚エリザはトートがシシィへの愛に悩むシーンもあったり、どうにかしてシシィを手に入れようと奮闘するトートというか、物語を動かしているのはトートなんですよね。

 

ゾフィーの死」が宝塚ではないのは知っていたけど、コルフ島の場面もないのですね。まぁコルフ島はシシィが父親と邂逅して自分が孤独であることを再度認識するところだから、トートが主役の宝塚ではいらないっていうのも納得かな。

台詞や歌が状況を説明しているのが多いなぁと思ったのだけど、エリザは特にそうなっているって感じなのかな?思いの丈を歌い上げる、というよりは「○○だから、△△になってしまう」みたいな。バートイシュルのあとにフランツとシシィが愛を語り合うのではなく、フランツが皇后の重責について歌い出してびっくりした(最後はちゃんとプレゼントしてたけど)。

でもストーリーを理解するには宝塚のほうが分かりやすいのかな?トートが革命家たちを惑わすというか暗示をかけているというか、そんなシーンがあったり、フランツがマデレーネに誘惑される場面があったりと、東宝ではない場面も。

しかしあれですね、「これが噂のすみれコードですか…!」というのを端々に感じた。ベットのシーツはめくらないし、シシィが倒れるのはダイエットのしすぎだし、マデレーネの鍵のところはなし。それなのにフランツがマデレーネに誘惑されるシーンはあって、いいのかな?と不安になった(笑) パンフを見たらマデレーネは「黒天使」ってあったし、人間(娼婦)に惑わされたわけじゃないからいいのかな!?黒天使だもんね!しょうがないよね!みたいなことなのかな…?

最後のシーンは宝塚版、好きだなぁ。二人で天に昇っていくのが。

フィナーレは「The宝塚!」っていう感じで面白かった。朝夏さんと実咲さんが踊りだしたときは、「トートとシシィが踊り始めた…?」とどういうスタンスで見ればよいのか悩んだんだけど、パンフ見返したら「紳士」「淑女」って書いてあって、あくまでも本編とは別物扱いだったのですね!学んだ!

 

朝夏さんのトートは「男」っていう感じではなく、中性的な印象を受けた。座る場面とかは長い足をこれでもかっていうくらい見せてくれてかっこよかった。歌声も素敵だった~。実咲さんのシシィは自我の強いエゴイストという感じは全くなくて、可憐で孤独な皇后という感じかな?役替わりのルドルフ、この日は蒼羽さんだった。闇広でトートに「王座に座るんだー!」と言われたあと、「王座ーー!!」と返したときに目の色がそれまでとガラッと変わって力が宿ったのを見れてぞくっとした。

そしてなんと言っても真風フランツ。かっこよすぎない…?出てきた瞬間から目が釘付けになったよ…?真風さんが出てるとき大抵双眼鏡で追いかけてた。歌声もすごく素敵じゃん…。本編終わったあとに、下手のせりから出てきた格好いい男役の人がいるなぁと思ってたんだけど、パンフ見返したら真風さんだった。やっぱりわたしの目に狂いない。帰宅しながら真風さんのことをぐぐったりしてたんだけど、宝塚のがっつりメイクをしていない画像見て思わず「慶ちゃん…???」と呟いてしまった。

いや、涼しげな目元とかスタイルお化けなところとかNEWSの小山さんを彷彿とさせたんです。おかしいなぁ、わたしNEWSだとシゲアキが好みなんだけど(聞いていない)。

そしてたまたまWOWOWで録画していた「Dear DIAMOND!!」を再生したら真風さんがいる…!?もうびっくりしたよ。衣装を替えても完全に見分けられる。自分が怖い。

宙組で面白そうな演目があったら、真風さん目当てに見に行きたいなぁという収穫を得たわたしの宝塚観劇でした!

 

*1:佐藤隆紀さん演じるフランツ

*2:田代万里生さん演じるフランツ

「エリザベート」2016@梅田芸術劇場 感想その2 ~古川ルドルフについて~

その1からの続き。

ta-ma27.hatenablog.com

 

梅芸初日の幕が下りたあと、一緒に入っていた友達に思わず「古川くん…?」と聞いてしまった。

帝劇であの強くて、父親とやりあっていた革命家のルドルフはいなかった。死にそうな雰囲気なんか一切なかったルドルフが、梅田では「あ、この人死ぬんだわ」と強烈に感じさせた。

ちなみに帝劇でのルドルフ感想  ↓

ta-ma27.hatenablog.com

 

⚫9/11マチネ⚫

エーヤンでのお顔を旗より前に出すのは継続してるけど、周囲の人とのガヤが減っていたような?というのとミルクでは力強さがないというか違和感を感じた。それがあっての2幕でルドルフして登場した瞬間、眼差しは強くて「あ、気のせいか」と思ったのだけど、なんかソフトな歌い方に変えた…?しかし、その後のあまりの違いに驚いた。

・反乱を起こしたあとに名乗る場面。帝劇は「ルドルフ…ハプスブルク!!」と声高に告げていたが、不安の色を出しながら「ルドルフ……」、かなりためてからの「ハプスブルク……」と、とても弱々しく名乗っていた。

 ・父親に蟄居を命じられたあと、帝劇では「父上ぇぇぇっっっっ!」と怒りを全面に出していていたのに、今回は「父上…」と呟くように言っていた。頭殴られたような衝撃。なんせここで叫ぶことで古川ルドルフが「強い皇太子」を決定付けていると思っていたから。

・ママ鏡でシシィに抱きつくときも、腕に力がこもってなかった。「ママ、助けて…!」っていう悲壮な思いがこもってないような。もう話す前から諦めてた?シシィに見捨てられたあとは膝をついて顔を床に埋めるほどうな垂れてた。その状態で「ママも…」→ふらっと立ち上がって「見捨てるんだね」。

・マイヤーリンクでの舞。帝劇では自分で舞っているという印象だったんだけど、今回はふわっとしていて重力感じなかった。もう死の淵にいるかのよう。「この人は死ぬんだ」というのを強く感じさせた。

梅芸初日は初めて「強くないルドルフ」を見た。大我ルドルフのように脆くて儚いルドルフというわけではなく、生への執着がないのかな?トートから銃を受け取ってから、死の接吻→引き金を引く流れがあっという間に行われた。どこかのタイミングで自死を決意した瞬間もなく、死ぬ宿命に抗わず従った感じなのかな?流れるようにルドルフが死んでしまった。葬儀の場面でシシィが悲しみに暮れ、むせび泣いていたが、わたしもシシィと同じく心にぽっかり穴が開いたような虚無感が。

 

⚫9/12マチネ⚫

前日の衝撃から、2日目以降はどのようなルドルフになるのか不安と期待を胸に観劇。

・冒頭の昆布のところは子ルドをじっと見つめ続けていた。今さらだけど、ここのシーンも不思議ですよね。同じ人物の幼少期と青年期の霊魂が一緒に登場してて。幼少期のルドルフは一度人格が死んでいるってことなのかな?ママに会いたいと懇願していた少年ルドルフと独立運動に燃える青年ルドルフ。確かに180度変わったかのような人生を歩んでいる。古川ルドルフが子ルドを見つめ続けていたのは、ママへの純粋な愛を求めていた時期があったとただ思い出しているのか、その後拒絶されることをまだ知らない少年を哀れんでいるのか。

・エーヤンもミルクもやはり元気というか力強さがないような…?

・名乗る場面は昨日よりもためは少なかったかな。「ハプスブルクっ……!」と目を見開いて告げてた。

・マチネは「父上ぇっっ!」と怒りを出してた。それでも帝劇を100とすると60くらいかな。

・ママ鏡では初日と同様に力なく抱き締めてた。

・マイヤーリンクは前日同様に重力を感じさせない舞。ぐにゃりと踊るルドルフ。いや、全てはトートに踊らされてるということなのかな。銃を受け取ろうとする前は少し抗っていた。そのあと銃を受け取ってから、じっと銃を見つめてからの死の接吻。少しためてから引き金を引いていた。マチネは自死を決意した瞬間も垣間見れた。

初日よりも帝劇でのルドルフに軌道を戻しているように感じた。やっぱり「父上ぇっっ!」と叫ぶか叫ばないかで印象が全然違う。それでも帝劇で感じていた「国を立て直すんだ」という若い志を感じるというよりも、「この人は死んでしまう」と思わずにはいられない古川ルドルフ。

 

⚫9/12ソワレ⚫

 ・ミルクとエーヤンは相変わらず、力強さがないような。

・名乗るところは覚悟を決めたような「ハプスブルグっ…!」。フランツとの場面は「父上っっっ!」と怒りを出してた。帝劇に近づいてきた感じ。

・ママ鏡のところはやっぱり力なく抱きしめていた。最初からシシィは当てにしていないということなのかな?とかいろいろ考えたのだけど、独立運動が失敗してルドルフは母親に助けを乞わざるを得ない状況ではあるのだけど、久しぶりに再会した母親に急にぎゅっと抱きしめて訴えることができるかっていうと、それは確かにできないかなという勝手な解釈をしてみたらなんだか自分の中ですっきりした。

・マイヤーリンクもやはり「死んでしまう」と感じさせるルドルフだった。銃を受け取った後に自死する決意が見れた。死の接吻→銃を一瞥もせずに引き金を引いていた。

そしてこのソワレは友達に聞かれて後から思い出したのだけど、「闇が広がる」では古川くんは下パート歌っていた。ミルクやエーヤンで力強さがない感じがしたのは体調不良だったのかな…と。この日は芳雄さんがマチソワで出演されていたから、マチネでの感じを見てソワレではパート替えようとなったのか。憶測でしかないけど。

 

●9/13マチネ●

・ミルクが力強くなってる…!!これは良い兆候!

・名乗る場面も「ハプスブルグっっ!!」と言っていたし、フランツとの場面も「父上ぇぇっっっ!!」と叫んでいた。

・ママ鏡のとき、この日はシシィに拒絶されて腕を外された後、しばらくルドルフの腕が宙に浮いたままだった。少年時代に厳しいゾフィーから自分を救ってくれたママなら、今回の窮地もきっと助けてくれる。しかもママが愛したハンガリーのことだ、と青年になっても「ママはきっと助けてくれる」と思っていた中で、「昔のことよ」と拒絶されたらそりゃあ絶望するよね…となんだか改めて思った。

・闇広は古川くんが上パートを歌っていた!(だけど前半下パート・後半上パートというレポもあったので、多分実際は入れ替えて歌っていると思う(※自分の現場記憶力に自信はないので))。闇広、帝劇より梅芸のほうが好きかも。マイヤーリンクにも繋がるんだけど、トートに操られている感じがより出ているようで。トートの姿が見えるようになった後、一瞬ちらっと不安げにトートを見ているところがあって、どきっとする。

独立運動のカフェの場面も不安げで悩んでいる感じが出ているような。ハンガリー国王になる夢に魅せられたときは目を輝かせているのだけど、「本当にこれでよいのか」という心の揺らぎを感じる。「今を逃すとチャンスはないぞ」と周りの革命家たちにけしかけられて反乱を起こしたという印象が強くなった。

 ・マイヤーリンクもふわっと重力を感じない舞。「この人は死んでしまう」と今回も思った。トートから銃を受け取った後に自死を決意した後に死の接吻。ここの流れ、本当に美しいですよね。。。

 

色々書き連ねましたが、梅芸の古川ルドルフ好きです。帝劇との差がありすぎてかなり衝撃を受けたけど、わたしはトートに翻弄されるルドルフを求めているようで、古川くんの強くないルドルフを見ることができて良かったです!(単純)

 

……中日劇場であと数回しか古川ルドルフを見ることができないという事実に打ちひしがれそうです………

 

「エリザベート」2016@梅田芸術劇場 感想その1

帝劇が終わってから、1ヵ月半。その間、博多座の甘い誘惑に耐え抜き、ようやく梅芸にエリザベートがやってきました。お察しの通り、わたしの夏休みはこの梅田にぶちこみました。

・9/11マチネ 花總、城田、古川、田代、山崎、涼風

・9/12マチネ 花總、井上、古川、田代、成河、香寿

・9/12ソワレ 蘭乃、井上、古川、田代、山崎、香寿

・9/13マチネ 蘭乃、城田、古川、田代、成河、涼風

※古川ルドルフと田代フランツはシングルキャスト

 

帝劇は花總シシィを観劇できたのが2回だけだったので、かなり久しぶりだったけど、やっぱり凄い…。なんだろうこの高貴さと孤高さ。

「私だけに」:ゾフィーとの確執、頼りにしていたフランツがゾフィーの肩を持ってしまい、見捨てられたと思うシシィ。自分に語りかけるように歌い出し、歌いながら「自分はどうしたいのか」という問いに答えを見つけた途端、どんどん声に力がこもり、顔も晴れやかになるシシィ。自我が芽生える過程が丁寧に表現されていた。高音も本当に素晴らしい!!一幕ラストの「私だけに」の三重奏も圧巻。花總シシィは「陛下と共に歩んでまいります "ただ" 私の人生は 私のもの」の「ただ」をとても強調して歌っていて、フランツにきちんと釘を刺しているところにシシィの自我をとても感じられる。わたし、あの場面の時いつも「人って発光できるんだ」って思うんですよね。光り輝いて眩しい。美しさに見惚れる。しかもシシィの上にはこれまた美しいトート、下には情熱的なフランツ。額縁に収めたい。

「私が踊るとき」:あの勝ち誇ったお顔!!美しい!!まさに女帝!!「邪魔しないで!」が痺れる。 

 

梅芸でなにが一番良かったって言ったら、城田トートと食い気味で答える。しろたんと言えば、博多座千秋楽でこんなつぶやきしてました。

 9/11マチネのカテコでリーヴァイさんとともに登壇した小池先生にこの件について突っ込まれてた(笑)「城田くんのTwitterはマネージャーがいつも書いてるんだけど、博多座のときに書いてましたよね」「これだけは言わせてください。あれは僕が書いてます!」「博多座のは、今までの解釈を壊して演技したら、新しいものができた気がしたけど、小池先生が見てないってことを…」「今日はどっちだったんですか?」「今日は凄く緊張して、どっちかわからないです」「どっちかわからないということですけど、深みがまして陰影が濃くなって、良くなったと思います」「ありがとうございます」っていうやり取りがありました(注:全てニュアンスです。悪しからず)。ご本人はどっちかわからなかっと仰ってたけど、物凄く良くなってた。今まで見たなかで一番好きなトートだった。

帝劇の城田トートは気づいたら傍にいる、少しでも隙を見せたら「死にたいのか?」と囁く、まさに「死」の化身だった。相変わらず「死」の化身ではあるんだけど、とても伸び伸び活き活きしてた…!こう書くと健やかなトートみたいになっちゃうんだけど、そうではなくて。表情が豊かになったというか、感情を少し出すことによって、トートの影の部分が深まったというか。死を囁く場面がより一層「死」を感じさせた。「最後のダンス」もちょっと"がなり"を入れた歌い方をしたり、ゾクゾクするような表情をしていたし、本当に良かった…!!帝劇のときは徹底的に「死」として存在していて、そこにわたしは少しの物足りなさを感じていたところもあったんだけど、本当に梅芸の城田トートは帝劇よりもずっとずっと好きなトート!!何度でも見たい!!

 

芳雄トートの安定感って何だろう。劇場中に響き渡る歌声にひたすら浸る。9/12マチネが1階の後方通路側だったのですが、結婚式の場面でトートが客席の通路を歩いていく、ちょうどトートが歩く通路側でして。暗闇の中から登場するところからステージに歩いていく一部始終をじっとりと眺めることができて満足です。客席を歩くって知らない通路脇の方々は通った瞬間に初めて気づくんじゃないかな。あまりにも静かに暗闇に紛れているから。あの場面は本当に「死」の化身だった。

 

プリンシパルの中で一番最後に梅芸初日を迎えた蘭乃さん。いや、ちょっと驚いた。帝劇に比べて本当に歌が良くなってる!!少女時代の第一声でその日の調子がだいたい分かるんだけど(帝劇通いつめてたから笑)、この日は第一声聞いた瞬間「あれ…?上手くなっ…た…?」と自分の感覚に疑念を感じてたのが、「パパみたいに」が終わる頃には確信に変わった。発声方法変えたのかな?専門的なことは全然わからないんだけど、声の籠った感じが少なくなったし、地声から裏声への移り変わりもとっても滑らかになってた!

「私だけに」が本当に素晴らしかったんだよ~。花總シシィとは違う、自我の強さを感じる蘭乃シシィ。世間の色んな逆境もあっただろうに(DVDとか…)、努力しつづけたんだねと涙が出そうになった(母親か←)。個人的に「私だけに」は9/12ソワレ、「私が踊るとき」は9/13マチネがベスト蘭乃シシィです。

梅芸で感じたのが、コルフ島での「パパみたいに」のリプライズが花總シシィと蘭乃シシィでかなり違うなぁということ。花總シシィはパパとの邂逅でも辛そうで苦しそうで。自分が孤独であることを再確認したような印象。蘭乃シシィはパパとわかった瞬間、静かににっこり笑うんですよね。少女時代に「パパー!」と駆け寄っていた頃のように。その笑顔がより一層寂しさを感じさせる。

 

育三郎ルキーニと成河ルキーニ。育三郎ルキーニの観劇も久しぶりだったのだけど、帝劇のときに感じたチャラいイタリアーノから、心の奥では何を企んでいるかわからない犯罪者に変わってた!いいよいいよ!成河ルキーニはねぇ、ほんと好き(突然。最初から最後まで狂気を振り撒いてる。冒頭の昆布のところ、ルキーニが他の者達を「操っている」感じが凄いんですよ。動きが大きくて、一種のわざとらしさも感じられるんだけど、トートがトートダンサーやシシィ、ルドルフを操っているのを真似ているのかな?と思った。それがトートへの崇拝心を我々に見せつけているようで。梅芸では刃物をトートに渡されたあと、シュッシュッと突き刺す動きをしていて最高に狂ってた(誉めてる。

 

古川ルドルフ。帝劇と全然違ってた…。ちょっと古川ルドルフについてはまた長くなりそうだから一旦ここで切りましょう。

4公演連続で観劇したけど、見終わった後、「もっと見たい!!」という衝動に駆られるほど帝劇よりさらに良くなっていたエリザカンパニー。あ~チケット落ちてないかな~。