ただの備忘録

現場を振り返ることを枷にして記憶の定着を図る。つまりただの備忘録。(主に舞台の感想)

「マリー・アントワネット」@帝国劇場 2018/10/30ソワレ、11/20マチネ・ソワレ

しんどい。

 

・10/30ソワレ:花總、昆、古川、佐藤

・11/20マチネ:笹本、昆、田代、佐藤

・11/20ソワレ:花總、ソニン、古川、佐藤

 

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<脚本・歌詞>ミヒャエル・クンツェ

<音楽・編曲>シルヴェスター・リーヴァイ

<演出>ロバート・ヨハンソン

<翻訳・訳詞>竜 真知子

音楽監督>甲斐 正人

<キャスト>

マリー・アントワネット花總まり笹本玲奈

マルグリット・アルノー昆夏美ソニン

フェルセン:田代万里生、古川雄大

ルイ16世佐藤隆紀、原田優一

駒田 一、彩吹真央、坂元健児、彩乃かなみ、吉原光夫、中山 昇、松澤重雄、青山航士、真記子

遠藤周作原作「王妃マリー・アントワネット」より

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キャスティングを見るとイケコ演出なのかと思ってしまうけど、初めましてのロバート・ヨハンソン氏。韓国ではエリザや笑う男などの演出をされている方とのこと。うーーーーーーーーん、伝えたいメッセージを明示しすぎてるのがなーーーーーー。とりあえずしんどかった。

 

 

以下、ネタバレあります。

 

原作は中学のときに図書館で借りて読んだけど、内容についてはぼんやりとした記憶。そういえば原作はこんな感じだった気がする…と観劇しながら思い出していた。確か冒頭に「マリー・アントワネットと瓜二つの少女」といった記載があったはずなんだけど、舞台では流石にそれは難しく、随所に「(マルグリットは)マリーに似ている」という台詞が入れることで補っていた。あと原作ラストはマリーが処刑される直前くらいで終わっていたような気がするんだけど、どうだったっけ。

 

 

お花様マリーは1789のときも感じたけど、浅はかさと愚かさがありつつも高貴で品があるところが凄い。玲奈マリーは自分がやりたいようにやるという、我が儘な一面を感じた。マリーの宮殿の外で起きていることへの無知さは1789以上に演出されていて、プチ・トリアノンで「小作人たちは役者なの」と話すマリーには恐怖すら感じた。「遠い稲妻」でフェルセンが大事なことを話しているのに、お花様マリーはつまらなさそうな表情をしていて。でもフェルセンの手がマリーの背中に触れた瞬間、花が咲いたような笑みが弾けていて、こういうところにフェルセンは惚れたのかなぁと思ってしまった。万里生フェルセン、それでも厳しいけどね!(古川フェルセンは厳しさというよりもマリーへの愛しさを感じた)それにしても全然話を聞いてないマリーな!お互いがお互いを想っているのに噛み合っていない二人。

マリーは自分の周りしか見えていない女性ということを表したかったのかな。マルグリットが乱入してきたときも、施しを与えはするけれどもマルグリットの背景や後ろにいる国民のことには思い至っていないし、聖母マリアの被昇天の日でも国民の声を聞くのではなく感情のままロアン大司教の罷免を訴えるし、王妃ではなく一人の女性として生きていた人。冒頭の回想でマリーが嫁いできたときに辱しめを受けたことが語られていたように、彼女が宮殿のなかで戦い続けた結果なのかと思うと悲しくなる。ローズの新作ドレスお披露目会(「輝ける王妃」)では「ドレスが私の武器」といったことを歌っていて、だからこそルイに浪費を咎められたときのマリーの切ない表情が刺さった。ドレス以外に武器を持っていない王妃の不安と心細さ。初回は浪費家なマリーという演出かなと思っていたけど、2回目の観劇で歌詞が頭に入ってきたときにそういうことだったのかと分かった。いや、ほんと歌詞が頭に入ってこないんだわ。この曲では他にも「蛇が来ても笑顔で倒すの」みたいなことも歌っているし、「ヘビを殺して」では「あいつは蛇、殺して」(プログラム確認したら曲名そのまんまだったw)と、一幕から二幕にまでまんべんなく出てくる蛇(二幕後半の裁判の辺りでも蛇が出てきたはずなんだけど思い出せない)。なんだろうこの語感の悪さとセンス。クンツェ氏、元はドイツ語で書いたのかな?ドイツ語だと"Schlange"、英語だと"Snake"。それとも何かを例えていたけど日本語にしたら蛇となったのか…どちらにしても「へび」という間延びした感じがなぁ~。最初聞き取れなくて耳を澄ませたら「蛇」だったときの驚き。まぁ蛇以外も全体的に訳詞がなぁ~~~言葉が入ってこないんですよね。

 

マルグリットは昆ちゃんとソニンちゃん。強い。ソニンちゃんとWを張れるキャストってなかなか難しいけど(ソニンちゃんが強すぎる)、昆ちゃん大正解~!良いWだった。

昆マルグリは怒り憎しみから激情のまま突き進み、ソニンマルグリは正義と信じて突き進んでいたように感じた。昆マルグリはその激情さゆえに、民衆をまさに"焚き付けて"いくさまは恐怖を感じた。対してソニンマルグリは激しさを内に秘めたまま正義と信じて動いた結果、民衆が激化したような対比を感じた。赤い炎の昆マルグリと青い炎のソニンマルグリ。良い。

 

光夫さんのオルレアン公は「来たーーーー!」となる迫力と音圧。MAは盛り上がる系の曲がないので、光夫さんの曲でテンションが上がった。11/20は調子があまり良くなかったようで心配したけど、東京楽前には復活したようでなにより!まぁ普通に考えてこの長期スケジュールをシングルでやるとか鬼ですよね…アンサンブルさん含め、大千秋楽まで無事に走りきれますように…

 

万里生さんは久しぶりに舞台で拝見したけど(多分ギャツビー以来)、素直に歌うめぇとなった。古川フェルセンは素直に美しいとなります。古川くんの声は哀愁というか切なささがあるから、冒頭と最後の「マリー・アントワネット」とかは曲と声があってるなぁと思いながら聴いていた。あとはいつどこの場面を見ても美しかった。

夏の夜の舞踏会の場面は照明含め美しかったなぁ~。

 

サカケンさんのエベールは憎たらしいけど、流石の良い声。マルグリットにオルレアン公の署名が入った契約書を取られても無理やり取り返したりしていなかったし、エベールはマルグリットのことを信用していたのかな。ジャコバン修道院の場面でもあったように、マルグリットの力を一番信頼していたのはエベールだったのかなぁと思うと憎みきれない。性別関係なく能力がある人間を見抜ける人。

 

駒田レオナールと彩吹ローズの二人が唯一癒し場面だったよ~。あとシュガールイが出ている場面は「そのお腹は本物なのかな~本物だったらいいなぁ~」と思いながら、癒しを積極的に求めにいっていたわたし(本物じゃないらしくて残念←)。シュガーのルイが本当に良くて…!鍛屋に生まれていれば幸せになれただろうに…

マチソワすればWキャストを網羅できると思ったのに、原田ルイだけ観ることができなかった罠。

 

1789のときは革命ーーー!!!と盛り上がっていたのに、MAではこれが革命……と考えさせられる。ランバル公爵夫人が処刑された場面は鈍器で殴られたような衝撃。舞台って観客の想像力で板の上にあるもの以上を表現できたり感じたりすることができるのが魅力だと思っていて。でもMAは直接的に表現する演出をあえてしているのか、ランバル公爵夫人の血に染まったドレスと狂気すら感じる民衆の行進、そしてタンプル塔の窓から覗くマリーの表情と畳み掛けてくるその質量に押し潰されるかと思った。この演出の良し悪しは分からないけど、ただただ苦しくてしんどかった。

そしてシャルルがマリーから引き離される場面がねーもう辛くて駄目だよね。シャルルの行く末を知っていると、より気持ちがどす黒くなってくる。はぁ…しんどい。

 

1幕前半はマリーのゆるふわキャッキャが多くて長いなぁと感じて、後半にかけてマルグリットの勢いが増してきたところから面白くなってきたかもと思ったら、2幕でしんどくてしんどくて苦しくて、観劇後の疲労感が凄まじかった。それとラストの「どうすれば世界は」のあまりにも直接的なメッセージ。いや、それまでの流れで伝わってるよ?うーーーーーん、観客の想像力の飛躍を封じられる演出では。うーーーーーん。

 

しんどい。

 

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「TOP HAT」@シアターオーブ 2018/11/24ソワレ

観てきたよー!タップ!タップ!タップ!!タップのときはひたすらアンサンブルさんたちを観ていた。踊れる人たちが踊る姿は釘付けになる!そして話の内容もコメディで終始楽しかったし、思わずプログラムを買って帰るくらいには気分が良かった。

 

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<演出>マシュー・ホワイト 

<作詞・作曲>アーヴィング・バーリン

<振付>ビル・ディーマー

<上演台本・訳詞>高橋亜子

<出演>

 坂本昌行多部未華子、屋良朝幸、朝海ひかる益岡徹浅野和之

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以下ネタバレあります。

 

3階A席での観劇だったけど、この演目は引きで全体を観られて良かった!ただ3階席はちっさいスピーカーが両側に1つずつしかなくて(マシューボーンのバレエ公演と同じサイズ。オーブの公演っていつもこんな感じ?メリポピのスピーカーの数が異常だったのかな…)、音に関してはムムムだったけど、ダンスを観ることに割り切ったので楽しめた。

 

多部ちゃんのデイルがめちゃくちゃ可愛かった~!ピンクのチーク、真っ赤な口紅に金髪と人によっては濃すぎるメイクも、多部ちゃんだとキュートに決まっていて良き良き。ツンツンした態度を取っているときの表情も、恋した乙女の表情も、瞬間瞬間の表情が可愛くて目を奪われる。声も可愛くて!終始可愛い、ずっと可愛い。PIXAR作品のヒロインみたい。ただ歌とダンスは物足りなさがあったかなぁ。それでも「Wild About You」のようにお芝居が強めの曲だと多部ちゃんの魅力がぐいぐい出てくる~~!タップもデュエダンも、「多部ちゃんってこんなに踊れるんだ!」という発見。相当練習を積んだんだろうな。物足りなさもあるのはあるけど、総じてお芝居が上手いから魅力大爆発だった!多部ちゃん可愛い!!(何度でも言う)

 

屋良っちのアルベルトがインパクト大きすぎて出るたびに笑っていたww 濃い!濃すぎるよアルベルト!!ww ソロは一曲しかないしダンスもほとんどなくて、芝居要員だったけどがっつり爪痕残してくれたwww 「Latins Knows How」、最初結婚式に向けてタキシードを着ていくのかと思ったら、タキシードを脱いでいく曲だったときの衝撃www シャツのボタンを1つずつ外していく瞬間に、そのボタンにスポットライトが当たる演出に笑いが止まらなかったwww 照明さんGJです!!!

しかしあのハイテンションを維持する体力素晴らしいね。最後の最後、実はデイルと結婚してなかったという衝撃的な事実の後で、バーの近くにいた女性に話しかけて仲良さげに連れ立っている姿を観て、「お、お前…!」となったよ! 

 

朝海マッジは2幕からの登場。アクが強い役だけど、朝海さんだからか品が保たれていた。益岡ホレスが「Wild About You」でソファにダイビングする場面は思わず吹き出してしまったww 浅野ベイツも良い仕事していた!美味しいところは浅野ベイツが全部回収してたなw

  

坂本くんは「シルバースプーンに映る月」(2013年:G2演出)でミュージカル拝見済み。この作品は戸田恵子さんの印象が強かったけど、チケ半券引っ張り出して見てみたら(新妻)聖子さんも壮麻さん(※当時は"綜馬"表記)も出ていたの…?まじか…今考えたら凄い布陣じゃん…。どおりで観劇後の感想が「最高~~!!」となっていたわけだ。

話を戻しますが、坂本くんはVでの活動や過去作品の印象から歌も踊りもできるイメージだったけど、タップダンスはアンサンブルさんたちとの群舞だとスキルの差が見えちゃうのが難しいところだったかなぁ~。冒頭の「Puttin' on the Ritz」や1幕ラストの「Top Hat, White Tie and Tails」~「Top Hat Play-Off」は、目がアンサンブルさんたちに奪われちゃって、坂本くんをほとんど観ていなかった…誤算。ソロでタップを踏む場面とかは特に音の鳴りが物足りなく感じてしまった。軽やかなステップとタップの甘さはイコールではないんじゃ…?まぁ、ステップの難しさを知らない素人だから言える感想かもですな…。あと坂本くんへの期待値が凄く高かった分、実際とのギャップがあったのが原因かも。

来日公演のだけどタップ盛りだくさんの動画!(日本版の映像がないのはJだからですか…)

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「Cheek To Cheek」でのデュエダンも、二幕冒頭の「The Piccolino」で三井さんと松田さんとのキレッキレのデュエダンを観た後だと物足りなさが…。お二方のダンスは「プ、プロや……」と言葉を失うくらいのパフォーマンス。良いもの観れた。  

「No Strings」~「Sand Dance」ではシャドー・ジェリーの加賀谷(一肇)さんとベッドでぷんすこ怒っている多部デイルをガン見してしまった!だって、ここの演出おしゃれ!!「寝ているときに上の階の部屋の足音がうるさい」って、普通なら場面を上手側(ベッドで寝ている人)と下手側(踊っている人)で分けるとか、舞台手前にベットを置いて、奥の高い壇上で踊らせるとか、凡人のわたしにはそれくらいしか思いつかないんですよ。それを舞台中央奥にベッドを配置して、その天蓋上部の円柱がくるって回ったと思ったらシャドージェリーが舞台手前で踊る坂本ジェリーと同じタップを踏んでるんですよ!自分の説明ではまったく伝わらない…と思って映像ないか探したら、↓の0:26のところと0:33のところ!シルエットだけなんだけど、だからこそタップの美しさが際立ってた。

 

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これ、加賀谷(一)さんのほうがタイミングとか微調整しているんだろうなぁ。シャドーなのにガン見してしまった。そしてシャドーの下の多部デイルの怒った顔がめちゃくちゃキュートだった~。

ジェリーという役自体が「魅力的な男性」かつ「タップの名手」と難関揃いなのもあるけど、坂本ジェリーはわたしの心に爪痕を残さなかった…。タップのスキルがめちゃくちゃ高いか、芝居でめちゃくちゃ魅せるとか、どっちかに振り切らないとこのジェリーという役は難しかったのかも?オーブの3階では坂本くんの歌声も響いてこなかった…(音響設備の影響もあるかもだけど)。うーん、アイドルしているVの坂本くんは好きなんだけど…。Vで出しまくってる色気は、七三の髪の毛で封印されてしまったのかもしれない…(お前)

担当の人、刺さないでください…。

  

アンサンブルさんたちはメリポピでもお馴染みの方々も多数いらっしゃって。工藤(広夢)くんをずっと目で追っていたなぁ~。滞空時間が長くてジャンプしたあとにもう一段階浮き上がっているみたいだった。だから小柄なのに他の皆さんと着地のタイミングがあっていた。あとピルエットのスピードと美しさよ。

工藤くんと高瀬くんのベルボーイのニコイチ感がとても良かったのです。ホテルのラウンジやホルスの部屋で、プリンシパルが踊ると一緒に踊り始めて。可愛いけどめちゃくちゃタップ上手いの最高だった。二幕の加賀谷(真聡)さんを加えた3人のウェイターも良かったなぁ~!我先にとデイルのテーブルに向かうところの可愛さ。

↓ベルボーイとウェイターの場面も含まれているトレイラー

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spice.eplus.jp

 

何はともあれ、観劇後の爽快感が素晴らしい演目でした!

「深夜食堂」@新宿シアターサンモール 2018/11/4ソワレ

日本語脚本と訳詞を亜子さんが担当されているので気になっていた演目。原作漫画やドラマは未見だけど、観に行ってきました。韓国でミュージカル化されて、日本に逆輸入(?)した作品。

 

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原作著作:安倍夜郎深夜食堂

<Book&Lyrics>JEONG, YOUNG <Music>KIM, HAESUNG

<演出>荻田浩一

<日本語上演台本・訳詞>高橋亜子

音楽監督・編曲・歌唱指導>福井小百合

<振付>木下菜津子

<出演>

筧 利夫、藤重政孝(忠)、田村良太(小寿々)、小林タカ鹿(剣崎竜)、碓井将大(ゲン)、エリアンナ(マリリン松嶋)、AMI(千鳥みゆき)、谷口ゆうな(鮭)、愛加あゆ(明太子)、壮 一帆(梅)

 

meshiya-musical.com

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亜子さんの言葉の数々が心地よく耳に入ってくる。最近、観劇した演目は訳詞がうーんとなることがちょこちょこあったけど、亜子さんの訳詞はするすると心にも入ってくる。改めて亜子さんの訳詞好きだー!となった。

 

以下、ネタバレあります。

 

 

冒頭、賑やかな演出が続いたので、勝手に作品に抱いていたじんわりしっぽりなお話という印象からだいぶ違うかも?と思いきや、中盤のアサリの酒蒸しやソース焼きそばのくだりではほろっと泣いてしまった。藤重さん演ずる忠は34年ストリッパー劇場に通いつめて、そこで働くマリリンに入れあげている中年男。それだけ聞くとちょっと引いてしまうけど、酔いつぶれた年老いた母親を迎えにきておんぶして帰る姿を見ると、誰しもが人に見せない人生を生きているんだと改めて感じた。アサリの酒蒸しもソース焼きそばも直接お互いに言葉をかけないけど、どちらも親子の深い愛。涙がこぼれてしまった。

 

深夜食堂は「人生の止まり木」とマスターが言っていたように、この食堂の中では客の"何か"が劇的に変わることはなくて、それぞれが食堂の外で起きた出来事を抱えて訪れる。その人生の交わりが心地よく、じんわりと心を暖めてくれる。観劇直後よりも思い返したときのほうが、じわじわと良い舞台だったなぁという思いが強くなってきた。

そうそう、ソース焼きそばとバターライスが出てきたとき本当にご飯の匂いが!!わたしはかなり後方席に座っていたけど、しっかりとソースとバターの匂いがしたのにはびっくりした。

 

小劇場ではあるものの、ピアノ、コントラバス、ギター、パーカスと生バンドあり。アップテンポな曲は耳残りも良いし、静かな曲はピアノの旋律が美しかった。

お茶漬けシスターズの3人はテンション高めで曲も明るい曲。ゆうなさんの少しぶりっ子キャラな鮭役とはギャップがありすぎる歌声は迫力があって素晴らしかった!そしてエリアンナちゃんも相変わらず素敵な歌声!恋多き女のマリリンは健康的な色気で見ていて清々しかった~!わたしのなかでツートップでした。あとゲイバーのママ小寿々役の田村くんがしっとりとした美しさを携えていてとても良かった。

梅と明太子の壮さんと愛加さんは宝塚時代でトップコンビだったこともあり、「あんた男みたいだってよ!」と壮さんが愛加さんに投げつけた言葉に愛加さんが激怒する場面は一部客席が盛り上がっていたww なんでそんなに受けているんだろうと最初思ったけど、あぁそういうことかと納得した。

 

筧さんのマスターは無骨な感じが良かったけど、曲と歌声ががちっとはまっていない印象だった。全体的に歌える人とそうでない方の差が大きかったかなぁと。そして振り付けはこれで正解なのだろうか…。お茶漬けシスターズとマリリンのところはだいたい振り付けがついていたのだけど、なんかもっと良くなったんじゃないかという思いがぬぐえない。凄く良かったから観に行って!と周りに声をかけられないのは、そういうところが原因かな…。

ただ訳詞はめちゃくちゃ良いです。脚本も音楽も良いです。ってことは、もうこれは演出が……ということなのか…。

 

気になるかたは劇場へ!(丸投げ)

休憩なしの100分なのでさくっと観に行けます。

 

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「浪漫活劇 るろうに剣心」@新橋演舞場 2018/11/1ソワレ

エンターテインメントを摂取したーーー!!という充足感。楽しかった~~

 

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<脚本・演出>小池修一郎

音楽監督・作曲・編曲>太田健

<出演>

早霧せいな上白石萌歌松岡充、廣瀬友佑、三浦涼介上山竜治、植原卓也愛原実花松岡広大、大河原爽介

 

ruroken-stage.com

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元々宝塚の作品を主演そのまま早霧さんで上演という、「そういうのOKなんだ!?」という驚きとともに発表された本作。三浦くんはすっかりイケコレに入ったなぁと思いつつ、スルーしていたけど弥彦役として加藤憲史郎くん、大河原爽介くん、川口調くんが役替わりで出演と発表されたときに、メリポピ・M!とすっかり憲ちゃんにやられてしまっていた私は迷わずチケ取っていました。今回、憲ちゃんは叶わなかったけど、爽ちゃん回!!!やったね!!!1789とエリザ以来の爽ちゃん、すっかり大きくなっておったよ(M!では巡り合えなかった)。

 


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↑看板めちゃくちゃ大きかった

 

以下、ネタバレしています。

 

 

3階A席だったので、花道は全く見えず。これは見えた方が楽しいだろうな~結構使っていた。ときどき音声のみのお届け状態になったけど、ゆるっと楽しむスタンスだったのでそこまでストレスはなかった。

 

原作漫画は小学生のときに読んでいたし、アニメも見ていた(川本真琴の「1/2」好きだった)。ヅカ版はWOWOW録画したけど、まだ見ていなかったので、これ書きながら再生している。ヅカほどの組子はいないけど、演舞場の大きさに十分なアンサンブルがいたので、殺陣のところとかも迫力出ていて良かった。生オケじゃないのは演舞場にはオケピがないからなのかな?(演舞場系は初めて行った)

 

ゴリゴリの爪痕を残したのは武田観柳役の上山くんwww 冒頭は新撰組の一員で出ていて、かっこいい~と思っていたのになんなんwww 恵が観柳のところから抜け出すとき、椅子に拘束された上山くん(観柳)がナイフを足で引き寄せて持ち上げようとしたけど失敗する姿がもはや愛おしくなったよww ガトちゃんガトガト歌い出したときは噴き出してしまったww あの曲が一番拍手があったと思うよ!!!あ、そうそう、1幕ラストで捌けるときに(ほぼ袖に入ったところで)、上山くんが遠山くんのお尻をがしっと揉んでいたね。遠山くんはやめろよお前みたいな感じで振り払っていたけど、楽しそうね君たちw

 

剣心の影役、良い!影役の松岡くんがめちゃくちゃ殺陣のスピードが速くて釘付けになった。1人桁違いに速い。幕間にぐぐったら下弦で霧丸やっていた方なのか。そりゃ殺陣上手いわけだ。剣心が幻覚と対峙する場面、立ち位置が剣心―薫/影―巴と対になっていたのが印象的。

三浦くん。お顔がフランス人形なので、桂小五郎役で薩摩弁を話す姿にどうしても違和感が…。蒼紫役の時のロングコートは素晴らしくお似合い。ただ登場の場面はあれで正解なのでしょうかw 上から降りてくるっていうのは事前に知っていたのだけど、「ここから!?wwww」という衝撃。確かになんか下手側の上のほうからシャーシャー音がするなとは思っていたけど。多分かっこいい登場という演出だと思うけど、どうしても笑いが…ww 周りの人も堪えきれない笑いが漏れていたのでわたしだけの感覚ではないはず('ω') 花道が見えない席だったので、どうやって捌けていったのか気になる。ソロ曲はダンスしながらなんだけど、とても三浦くんのダンスだなぁと思った。足を蹴り上げる仕草とか腰の入れ方とかすごく特徴的じゃない?

廣瀬くんは優男の役がとても合っていると思っていたけど、今回の斎藤役は廣瀬くんの低い声と色気がとても良かったー!!!警官のときのロングブーツが大正解だったけど、新選組のときの袴姿もとっても似合っていた!!でもソロ曲がダンスミュージックっぽいのが斎藤の印象になくて笑ってしまった。ごめんw 

薫役は上白石萌歌ちゃん。萌音ちゃんの妹さん。たまにどっちがお姉さんかわからなくなる。一生懸命な感じとか、素直になれない感じとか、ぷんすこしている姿がとっても似合っていた~。爽ちゃんは可愛さの塊。だけど歌はしっかりしているし、お芝居も上手いので安心して観ることができる。佐之助が登場する場面で、膝をついて拍子木を鳴らしている姿がたまらなく可愛かった。ジェラール役は松岡くん!ヅカはだいもんがやっていたのですね…歌うま…(録画再生中)。だいもんはかなり洗練されていたけど、松岡くんはうさん臭さがぷんぷんしている。絶対裏がある人間w 剣心役の早霧さんはまるっきり剣心。「おろろ~」ってあんなにいわかんなく言える人間がいるんですね…。

 

総じて楽しかったー!!!となったので、今回は良いイケコでした!!!(良いイケコとは) 

 

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「ナイツ・テイル -騎士物語-」@帝国劇場 2018/8/6マチネ

チケット取れないかと思ってたけど、一般で電話かけ続けたら取れたー!!奇跡!!久しぶりにあんなにリダイアルしたわ笑

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演出:ジョン・ケアード、脚本:ジョン・ケアード

作詞・作曲:ポールゴードン、日本語脚本・歌詞:今井麻緒子

出演:堂本光一井上芳雄音月桂上白石萌音岸祐二大澄賢也島田歌穂、他

 

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ミュージカルって再演多いから、新作ってワクワクする。原作はジョヴァンニ・ボッカッチョ[Teseida]、ジェフリー・チョーサー[騎士の物語]、ジョン・フレッチャー/ウィリアム・シェイクスピア[二人の貴公子]の3作品をもとに、光一くんと芳雄さんの2人を念頭に制作されたとのこと。

 

以下、ネタバレあるよ。

 

STORYに「艱難辛苦を経て再会した2人は、どちらがエミーリアを得るにふさわしいか男か、愛と名誉そして生死を賭けて決闘を挑むのだった―。」ってあるとさ、2人の男が苦しみ悩みながらも愛のために闘うっていう壮大なお話かと思うじゃないですか?わたしはそう思ってました。でも蓋を開けてみたら、美しい2人の男が1人の女性を巡って争うけど、超ポジティブに物事を捉え続ける悲壮感のかけらもない面白ミュージカルでしたw

・萌音ちゃん演じる牢番の娘「背の低い方よ!」(光一くん演じるアーサイトを指して)

・桂ちゃん演じるエミーリア「あんなにハンサムでなければ!」(アーサイトについて)

すげー当て書きww 「そうだねww」という感想しかないw

基本的に一目惚れする人たちしか出てこない。そしてその思いのまま行動に移すから、話がすこぶる明解。牢に閉じ込められても超ポジティブだから楽しんじゃうし、エミーリアを先に見たのは自分だって小学生のように言い争うし、生死を賭けて決闘する前夜に飲み明かそう!って両陣営で酒盛り始まるし、パラモンとアーサイトは生きてるの楽しそう。これは喜劇なんだと思考を切り替えたら楽しめた。

舞台セットは鳥の巣のような囲い。その上で演者が待機していて自身の出番がくる形式で新鮮だった。オケだけではなく、和太鼓も加わっていたのでシェイクスピアの物語だけどどこか日本を感じる音楽だった。美しい旋律だったけど、個人的には耳残りが弱かったかな。それにしても照明の美しさは本当に素晴らしかった!!!セットがシンプルな分、照明が色鮮やかに映えていた。2階A席で特段推しがいるということもなかったので、あまりオペラも使わず全体を観ていたんだけど、本当に美しかった~。あと流れるような盆の使い方が良かった。

 

光一くんは思った以上にミュージカルの歌唱に寄せていた印象。ただ歌に少し癖が残っていたので、ちょっと言葉が聞き取りにくかったのが正直なところ。だけど芳雄さんとの声の相性は凄く良かった!!そして芳雄さんは相変わらずの歌うまお化けでした。わたし芳雄さん観るのいつぶり…?もしかしてエリザぶり…?まじで?と思って公式サイトの出演歴確認したら、ギャツビーも観てたし、なんなら今年の黒蜥蜴も観てたわ。ごめんごめん、記憶に残ってなk(自粛)

ダンスミュージカルと銘打っていたのもあり、光一くんはキレキレに踊っていてさすがだった。芳雄さん、踊ってた…?あまり記憶に残っていないのだが← ダンスは光一くん、歌は芳雄さんと見せ場を作っていたということなのかな。

ただちょっと一言申し立てたいのが、歌穂さんの!歌が!あまりにも!!少ない!!!勿体なさすぎるぞ!!ゴラァ まじ贅沢使いすぎんぞ…。歌穂さんヒポリタの気品溢れる美しさ素敵だった~。桂ちゃんはフランケンのときよりも曲の音域が合っていたのかとても良かった。ヅカの男役さんは手足が長いのもあって、ゴールドのドレスから伸びる腕の長さに見惚れた。萌音ちゃんはとても可愛らしかったけど、我を忘れて狂ったように踊る場面はとても惹き付けられた。それにしても芳雄さんとの身長差がえげつなくて、恋人というよりも娘かな…?と思うほど。

 

一幕ラストがドルガンチェの馬*1だったという呟きを見てしまったがために、演者が豪華なドルガンチェの馬に見えてしまったよ('ω') めっちゃドルガンチェの馬。

 

ナイツテイルの劇中で一番衝撃を受けたのが、牡鹿。松野乃知(読みは"だいち")さんは元 東京バレエ団のお方とのこと。舞台に出てきた瞬間にその神々しさと美しさに目が離せなかった。神聖な牡鹿そのものだった。凄かった。わたしのオペラは牡鹿ロックオン。

 

演者ありきの作品だから、主役2人が揃わないと再演は難しいだろうなぁ。

軽やかな喜劇でした!

 


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*1:ミュージカル「HEADS UP!」という皆に観てもらいたい作品の劇中劇

「タイタニック」@日本青年館ホール 2018/10/6ソワレ

史実に誠実に向き合って作られた作品でした。


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<出演>

加藤和樹石川禅藤岡正明、戸井勝海、相葉裕樹津田英佑渡辺大輔、上口耕平、小野田龍之介、木内健人、百名ヒロキ、吉田広大、栗原英雄霧矢大夢菊地美香、小南満祐子、屋比久知奈、豊原江理佳、安寿ミラ、佐山陽規、鈴木壮麻

<演出>トム・サザーランド

<作詞・作曲>モーリー・イェストン

<脚本>ピーター・ストーン

<翻訳・訳詞>市川洋二郎

音楽監督前嶋康明

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群像劇は月組の「グランドホテル」(2017年)以来かな?同じくトム・サザーランドの演出。トム自身が豪華絢爛なタイタニック号ではあったけど、セットは極力シンプルにしたと仰っていたように、デッキ部分と階段のみ。シンプルだからこそ、そこに生きている人々にフォーカスが当てられていて演出家の思いが伝わってきた。

出演者全員分のお名前を書いた通りメインを張れる役者が勢ぞろいで、観る前から分かっていたけど、目が!!足りない!!豪華すぎるよ~

以下、ネタバレあるよ。

 

 

己の経費削減のためA席での観劇だったけど、1階席でも観たくなる演出。

乗客が次々と乗船していく場面はスピード感があった。客席通路を走り抜けて(※実際には見えていないので想像)、衣装を変えて次々と舞台から出てくる。最初はどれが本役なのか把握できなかった←

 

タイタニック号の行く末を知っているから、1幕の希望や幸せに溢れている場面で泣けてくる。霧矢アリスと栗原エドガーのダンスの場面なんて涙なしに見られない。アリスの上昇志向の強さが最初はちょっと辟易しちゃう感じだったけど、この夫婦の愛の形というのを目の当たりにした。

 

藤岡さんは舞台では初めて拝見したけど、第一声で「この人、歌うまい人だ…」となった。「ボイラールームのアンダースコア」~ディナーまでの演出が凄く好き。怒りに震えなからディナーテーブルの上でダンっと足を踏み鳴らす傍らでは給仕係がきびきびとお皿やナイフなどを整然と並べている。バレッドが足を踏み鳴らすときは直前に給仕が皿を取り上げて磨いている演出が、どんなに労働者階級が怒ろうが上流階級には何も影響がないように思えるし、単純に演出がぞくぞくしますね!

バレッドと上口くん演ずる通信士ブライドのやり取りも凄く好きだ。乗船するときに少し挨拶した仲だったけど、お互いのことを語り、友情が生まれていく。「関係者割引ができるかも」「いくら」「タダ」には思わず笑ってしまった。「プロポーズ」での藤岡バレッドの想いがどんどん溢れてくる様がとても素晴らしかった…。「戻ったら結婚しよう」の答えはその場では明示されなかったけど、二幕で救命ボートを送り出したあとの台詞にその答えが…嗚呼…。

 

三等級の乗客たちのエネルギーに溢れた「なりたいメイドに」。大ちゃん、観る度に上手くなっているように思えて嬉しいよー!(大ちゃんになぜか母性が湧き出る) あと、どじっ子の給仕係がとても可愛かったw。三等級の彼らの行く末はあまりにも悲劇的だけど、ケイトとジムの2人(厳密には3人!)が三等級の客室を抜け出して、救われる結末には希望を感じることができた。わたしは見逃していたけど(だって目が足りない)、ストラウス夫妻が宝石や財布など金目のものをケイトとジムに渡していたと聞いて泣いた…ウウッ…。

 

 

特に心に深く残ったのが藤岡バレッドと禅さんイスメイの二人。

 

冒頭に禅さんが出てきた瞬間、重荷を背負って生きてきた佇まいと表情で涙が出そうになった。寂しそうな悲しそうな眼差し。「いやいや、オーナーって事故の原因作った人じゃん…」と思い直して涙は食い止めたんだけど、ラストの表情とプログラムでイスメイのその後に船の安全に尽力したことを知って、わたしが感じたのは間違いじゃなかったんだと観劇後に気付いた。乗客を差し置いて救命ボートに乗った事実は消えないけど、タイタニックが沈んだあとの彼の人生は1500人の命が常にその背中に重くのし掛かっているような、そんな人生を感じさせた。あぁ禅さん……ウウッ

 

「船長になるために」の歌詞に「(乗客の命は)その手のなかに」とあったのだけど、一幕でスミス船長が手の中にあった氷山を知らせる紙を握りつぶして捨てるさまは最悪の事態が起きることを示してるし、二幕ではマードックが手の中に銃を握りしめて自ら命を絶つ結末は悲しすぎた。これ、英語の曲名が一幕は「To be a captain」で、二幕は「To be captain」なんですね。リプライズなのかなと思ってプログラム確認したら、曲名が異なっていた。船長(資格者)が2人いるなかで"a captain"はスミスのことを表して、二幕でマードックが歌う"captain"は特定の誰でもない「船長」という職を指しているってことでいいんでしょうか…?

 

壮麻さんと禅さんと加藤くんが「誰だ」と互いを責め合う場面、迫力凄かった。だって壮麻さんと禅さんがいるんだよ?凄くない?そしてこの曲で「誰のせいだ」という決着をつけずに終わるのがとても史実に沿っていると感じた。悪者をつくるのは簡単だけど、このタイタニックの沈没はそんな簡単な話じゃないもんね…。

その後、加藤くん演ずるアンドリュースが自室に引きこもって設計図をガリガリ書き直そうとしている姿は狂気を感じた。群像劇の主役って難しいとは思うんだけど、加藤くんは出すぎず、だけど存在感を残していてとても良かった。

スミス船長が船員たちの職務を解いたあと、ブライドが最後の最期までSOSを打ち続け、その周りで必死に祈る仲間たちの姿にぼろぼろ泣いた。そしてストラウス夫妻の気品溢れるダンス。ガウン姿から、メイドたちに身支度を整えてもらいドレス姿へ。最期は美しい姿でという思いに泣けたし、戸井さんのエッチスも素敵だったし、涙が止まらん。安寿さんの気品溢れる美しさ素晴らしい…ウウッ

 

沈没する瞬間、まさかデッキ部分が傾くなんて思ってなかったからびっくりしたよ。そして沈没間際、実際には悲鳴や怒号で溢れていたであろうこの場面をピリッと張りつめ、単純に派手にパニックものにさせなかったトムの演出が、「そこに生きていた人の人生」に焦点を当てることに注力しているように感じた。そして沈没後、救助された人々が「まるでサッカー場のような歓声」「真っ暗な静けさ」と語り、その悲惨さを観客に想像させる。 

 

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上の動画、タイタニックが沈没するまでの2時間40分の様子をその時間のまままとめられたもの。これを観ると、ブライドがSOS信号を出したときにはすでに傾いているじゃんとか、作品を思い出して一層辛くなる。そして最後の沈没する瞬間、「まるでサッカー場のような歓声」も入っていて、静けさに包まれていく様子にますます辛くなる。これが約100年前に起きた出来事。

 

派手ではないけど、心に深く深く染み渡る素晴らしい作品でした。

 

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「シティ・オブ・エンジェルズ」@新国立劇場中劇場 2018/9/8ソワレ、9/9、9/12マチネ、9/17

東京公演お疲れ様でした。ひたすら柿澤さんと木南ちゃん(ときどき山田くん)を観る演目でした。そして「どうやったらもっと良くなったのか、何がいけないのか」と考えながら観るようになってた。チケ代11500円。いつもなら13500円でも「お値段以上!」とホクホクしながら劇場出るのに、「柿澤さんと木南ちゃんいなかったら、金返せレベルじゃんこれ…」となるやつ。そんなわたしがなんでこんなに数を観たかというと、単純に手元にやってきたチケットの座席が良かったからハハッ 後方席だったらすぐ手放してたぞ♥

わたしのこの気持ちを成仏させるための感想。アンケートは最後までおいてくれませんでしたね!(恨み節)

 

 

この公演の感想をググると、わたしの感想が上のほうにきてしまっていてビビった。みんなも感想書いて良いんだよ(もちろん良かったという感想も)。

 ↓前回の感想

ta-ma27.hatenablog.com

 

邪道ミュージカル(※東京楽での出演者コメント)もいいとは思うけど、作品へのリスペクトは必要だと思うんです。あまりにも憤慨したので、海外版のスクリプトをネットで見つけて読んだよ。斜め読みだから正確ではないし、わたしが読んだスクリプトがBWのものかWEのものかもわからないし、もしかしたら誰かが書き起こしたもの(!)かもしれないので悪しからず。それとわたしが読んだものが日本版の元になった版かどうかはわからないので、制作の人が読まれたら何を言ってるんだという可能性もなきにしもあらずです。が、書かずにはいられない。

 

 

  • 脚本について

驚くことなかれ、本筋はけっこう忠実にやっていました。マンドリルがスピリチュアルセラピストって書いてあって頭抱えた。いや、これ福田さんの脚色だと思うじゃん。

ちなみに個人的に福田さん脚色だと思っていたけど、オリジナル通りだったところの抜粋

・Stone:"Slip the pencil under, too."

・Big six:"Hope this don't disturb the neighbors."

・Stone:"Nature's funny."

・Peter:"I'm afraid I'm a bit messy."

・Stone:"I don't remember you and me getting married."

・Mallory:"Sort of mixed double."(※Stoneの台詞ではない!)

・Carla:"There's tons of food out there, Avril." "And now it's time to be hungry, dear.

 

読みながら「まじか…」と項垂れた。確かにこの作品はコメディに分類されているんですよね。初演が1989年で約30年前の作品。笑いのポイントもずれているからかなぁとも考えたけど、2014-2015年にあったWE公演でOlivier賞(Best musical revivalとBest Lighting Designは最優秀賞)を受賞しているってことはそういうことじゃないんですよ。あくまでも想像だけど、笑いの雰囲気としては「フルハウス」みたいな感じなのかなぁと思った(パッと思い付いたのがこれだったけど、年代がばれるw)。シチュエーションコメディというか、ドラマの流れのなかで少しずれた台詞や皮肉った台詞を言う。演出がしっかりしていればそれだけでクスクス笑えると思うんだけどなぁ。先述した「Nature's funny」のくだりのところとか普通に笑いたかったのに、バラエティ番組みたいに笑いを強要される演出のせいで笑えなくなってしまって、後半の観劇は感情が無になっていた。「笑わせよう」としているところが逆に押し付けがましく感じたし、何よりテンポが悪くなって本筋の流れを止めていた。

勝矢さんと二朗さんのターンはあまりにも遊ばせ過ぎてた。この作品を「面白かった」と述べている9割ぐらいの方は、この"福田成分"を面白がっているように思えたのだけどどうなんだろう?作品としての面白味は感じられましたか?この伏線がここで回収されてる、この登場人物はここの場面でこういう表情しているから、こういうことなんじゃないか、こういう話って現代でもこういうことに繋がってるよね、とかそういう作品としての面白味はありましたか?(←これは考察好きの考えかも?)

個人の好き嫌いの範疇になってくるとは思うのですが、わたしは福田さんの"遊び"が本筋とは関係ないところで展開されていて面白くなかったです。観ながら「この時間、いったいなんなんだろう」とすら思ってました。高いお金を払ってこんな思いをするなんて。福田さんの考える「笑い」ってこういうことなの?(今更ですが、個人的に福田さんの映像作品は楽しく見る方です)

そんななか瀬奈さんの役回りはかなり原作に則った笑いの取り方をしていたのではと思う。" it's time to be hungry"の箇所の言い方とか!まぁ完全にグリブラコントの再現だったけど←

 

恨み節が出てしまいましたが、まだ続きます。

海外版スクリプトを読んで気になったところとか諸々

 

①マロリーがなぜ企てたのかという理由。わたしの聞き間違いでなければ「ムニョスが写真を撮ったから」と言っていた。観劇中も「ムニョスが…?」と疑問に感じていてのですが、スクリプトには「Manuelo took some pictures」と。……Manueloって誰やねん!!

って福田さんも思ったんでしょうか。ムニョスがストーンの部屋でマロリーの写真を見て「それにお金が絡んでる」(言い回しはニュアンス)っていう台詞に意味をつけたかったのか?当初、スタインが書いていたムニョスの設定ではストーンのような白人が優遇されていることから憎んでいたけど、ムニョス自身も悪事に手を染めていたら背景がだいぶ変わってきません…?「白人は殺人を犯しても見逃されるけど、白人以外は恐喝でさえ許されない」ってことを示してるの?でもそうだとするとムニョスは早々に警察官辞めさせられてるよね?んん?

 

②ムーニー。これは完全に福田さんの改悪ではなかろうか。わたしも読んでいて驚いたんですけど、ムニョスがウーリーに電話を掛けている場面があるんですよ。

"Oolie? What do you say, sweetheart? ……Right. It's Manny Munoz……."

読んだ感じだとムニョスからウーリーへの一方的な好意なのかな。でもこの場面があれば、ストーンがなぜ「マニー」と呼んだのかが推測できるじゃないですか。ウーリーがムニョスの電話をストーンに愚痴っていたから、ストーンも「マニー」の愛称を知っていた→俺達仲間だったじゃないか、という親愛の意味を込めてマニーと呼ぶ、とかいくらでも。それがマニー→ムーニー→赤ちゃんと思ってるのか→俺がデブだからか→ダイエットする!→ライザップっていう流れよ…文章にするとなんとも悲しくなってくる。

 

③ラストの場面で、「カット!」と叫ぶのは誰か。これも驚いたんですけど、「カット!」と叫ぶのはストーンではなくてスタインでした。これ、だいぶ意味合い変わってくるよ?そもそもストーンはスタインが書いた主人公で、頭の中の人物なわけでストーンが何をしゃべろうが周りの人物には聞こえないはずなんです。だから、スタインとストーンが2人でひとつということを表しているのかなと考えていた(ストーンが感じたことはスタインも同じように感じている)。スタインに「カット」と叫ばせると、自分の意思で止めたという印象が強くなるからかな?ここは福田さんの解釈でもいいように思えた(ようやくAgreed)。

 

④セクハラ、me too問題。これが一番許せなかった。福田さんはこの問題をどう考えているのか問いただしたい。悲しいことに確かにスクリプトにもあるんですよ。

Anna:"See you tomorrow, Mr.Fidller"

(She exists with gurney, Buddy giving her bottom a farewell pat.)

福田さんはマッサージ師をアジア系(って出ている人みんなアジア系だけど)で、片言で話す設定にしていたんですが、その女性が「チェクハラハラチュメント!」と訴える→二朗さん演じるバディが「おいおい、お前何て言ったんだ」(言い回しはニュアンス)と突っ込むんですね。びっくりしたんですが、このやり取りに笑いが起きていたんですよ。演出する側も笑いを取りにいって、それに笑いで応える客。ドン引きした。そのバディの行為に対してスタインが「そんなことやってたら、いつか訴えられますよ。一人がやり始めたらみんなme too、me too言い出すんですよ」と続いてたんだけど、そこでも笑いが起きていて虚しくなった。笑えるの…?みんな面白いの…?スタッフも制作も誰も何も思わなかったの??わたしは嫌悪感しかなかった。この件に関して、福田さんや制作の見解を聞きたい。

 

⑤ラストはスタインが自分の最初の脚本を取り戻してハッピーエンド!という終わり方。これは福田さんが散々笑いを取りに行った結果なんですが、スタインの元の脚本って、シャー芯2Bとかのくだりがあるんですよ(バディが「この2Bと2Hのくだりいるか?」って言っているので、バディの案ではない)。そういうのがあると、スタインが自分の最初の脚本を取り戻しても晴れやかな高揚感が生まれないというか、「あのくだりがあるけど大丈夫…?」っていう思いがぬぐえない。

 

⑥東京後半で、ラストの撮影する場面でバディの台詞が追加されていた。スタインとのやり取りで「映画は俺のものだ」みたいな台詞。確かにバディは人間としてくそ野郎だけど、仕事はちゃんとしているんですよね。「デブだから~🎵」の一連の流れは福田さんの改編だけど、バディ自身はこれを使えとは言っていなくて、「磨け、輝かせろ」とスタインに言っている(結果、スタインはそのまま使った)。それだとバディの仕事ぶりを非難するには弱いと判断したのかな?追加しても別に構いはしない内容だったけど、個人的にはもっと直す箇所あるでしょ?という気持ち。

 

 

海外版スクリプトを読んで感じたのが、この本は「Cover」がキーになっているのではないかということ。スタインは脚本の表紙と映画に自分の名前が載ることに執着して、また女性のことは表面のことしか見ておらず、彼女たちがどういう気持ちなのか知ろうともしない(これは「What you don't know about women」の歌詞にもある)。それが「もう一人の自分」であり「自分のヒーロー」でもあるストーンによって、あらゆる「Cover」の執着から脱することができた。だからラストはギャビーも登場してハッピーエンド!ということなのかと。なお、日本版は無駄な場面が多くて、ここまでのことは考えもできなかったし、感じることもできなかったことを付け加えておきます。

 

 

脚本だけでこんなに書いてしまった。まだ恨み節は続きます。

 

 

  • 演出について

ではここで海外版のCoAの映像をご覧ください(※公式映像です。1つめはOlivier賞授賞式のものなので、実際の劇場とは違うと思いますが照明の違いが分かりやすかったので)。

 

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まず違いを感じたのが照明。皆さん気づいてました?わたしは3回目で気づきました。CoAはハリウッド(現実)セクションはカラーで、映画セクションはモノクロで作られているんです。わたしも事前に海外ではそういう作りになっているということは知っていたのですが、日本版を見たときに「海外版みたいに色味変えてないじゃん!!」って思ったんです。3回目のときに何でだろうと注意深く観ていたら、ちゃんと映画セクションのときは登場人物はモノクロの衣装しか身につけていなかったし、ハリウッドセクションと並んでいるときはグレーがかった照明になっていたんです。驚き。なんでこんなに気づかなかったのか。座席が前方だったからかなとも思ったけど、少し引きで全体が見れる席のときも同じように感じた。恐らくですが、基本的にずっと明るい照明だからではないかと。映画セクションのセットの色味をグレーにしてるけど、それを感じさせない照明とは…?照明担当どなたですか…!?とプログラムをチェックしたよねハハッ

 

あと特に気になったのが空間の使い方。どこかの記事で(日本のやつか海外のやつかは忘れた)、この演目は場面数が多いから上演されにくいっていうことが書かれていたけど、日本版観て「ですねー」という感想。場面転換の度に暗転するので、笑いを取りにいって間延びた分に加えてのこの空白の時間によって集中力を維持できなかった。この脚本でこの演出(+役者の演技)ということを考えるとやっぱり中劇場はキャパが大きすぎる。空間が余りすぎていた。

mdpr.jp

リンク先のゲネの写真を見るとセットで詰まっているように見えるけど、実際はこの写真の枠の外は無です。再度言いますが、無です。オケを舞台上にあげていたの正解だね。オケがいなかったら舞台上空はさらに無の空間になってた。写真の画角内(2mくらいの高さのセット内)は作り込んでいるんだけどねー。空間を活かしきれていない。福田さんは映像畑の人だから、画角内のことしか考えてない?でもブロ銃のときはその点は気にならなかったから違うか…。やっぱりもっとキャパが小さい劇場でやるべきだった。

 

 

  • 今回の公演について

前回の感想でも書きましたが、全体的にクオリティが低かった。芝居、歌、演出。

Prologueのアンサンブルさんたちの歌ですが、この曲を歌いきれるスキルの方たちじゃなかったんでは…という気持ち。楢木さんがジミーとしてメインで歌っておられましたが、うーん…。そしてダンスはお上手な方なのに、今回の振り付けはその魅力が出ていなかった…。アンサンブルさんたちの曲が数曲あるんですが、どれも聴かせる感じではなくて辛かった。わたしは今後の公演でこの方たちのお名前があったら心配になってしまうよ…。

 

芝居に関しては特に優ちゃんが厳しかったかなぁ…。お芝居の仕事をあまりしていないっていう背景があるのは構わないだけど、だったらきちんと演出、演技指導しようよ福田さん。スタインの手紙を読み上げるところとか、ストーンとのやり取りの場面は、何と言いますか観ているこっちが恥ずかしくなってくる感じ…。歌とダンスは上手いと思うんだけど、ギャビーやボビーがどういう人間なのかが伝わってこないんだよなぁ。歌詞もするする~っと頭から抜けていく(但しこれは訳詞のせいもあるかもしれない)。棒読みでもないし、無表情でもないんですけど、芝居ができる人とそうじゃない人の違いを感じた。

「It needs works」のときのギャビーの気持ちが全然わからなくて、怒ってる→急に可愛げ出して甘える→怒り再び→スタイン送り出すっていう流れなんですけど、感情の起伏や真意が掴めない。なに?どういうこと?と英語版の歌詞とにらめっこ(日本語の歌詞は「書いて!」「台無しだわ!」「本読みも付き合うわ」くらいしか記憶に残ってない)。

By the finish, she has banded him his hat. Suitcase in band, Stine exists, leaving a sad Gabby alone.

sad Gabbyなんですよ。ここ。でも優ギャビーはスタインの背中を押して、彼に仕事行ってこいみたいな仕草をしているのですが、どっちかというと微笑んでいたんですよね(っていうかそもそもこの場面、ギャビーが客席に半分背を向けているから前方席か上手側サイド席じゃないと表情見えない)。ここで悲しい表情かそうじゃないかで、解釈全然違ってくるから!!

But call me anytime you seem yourself
When you've decided to redeem yourself
When you discover where this self deception leads
I'd rather see you shoot yourself
Than watch you prostitute yourself
Your new routine is too routine
It needs work

日本語でこんな感じのこと歌ってた…?記憶がない…。この歌詞とsad Gabbyなら彼女の気持ちや一連の行動の理解が深まる。あまりにもギャビーが何を考えているのかわからなかったから、この場面はスタインのギャビーに向ける優しくて柔らかい表情をひたすら愛でていた。

 

あと二朗さんのターンでよく起こっていたんですが、二朗さんがボケてる横で何もせずにそこにいるだけのあなたたち!!お願いだから芝居して!?!?ストーンがボビーの部屋でアーウィンと対峙するとき、銃を構えるだけのストーンとベッドでうつ向いて時々チラ見するギャビー。まぁそもそもの原因はボケを入れすぎて間延びしてるからなんだけどね…。芝居の濃度を密にしてくれ…。それと劇場のサイズにあった芝居をお願いします…。基本的に小劇場サイズ(TVサイズ?)の芝居のところに柿澤さんだけがきちんと劇場に応じた芝居をしてくれていた。

 

あ、良いことも少しは言おう。アドリブっぽい芝居はみなさんお上手でした!どこまでが台本かアドリブなのかわからない絶妙な力加減はさすが。但し「カッキー」って言わせる台本はまじで許さないからな!!グリブラコントはグリブラだけでやってください。

 

本当に柿澤さんと木南ちゃんが出てくれていて良かったよ。木南ちゃんの「You can always count on me」は自虐的な内容だけど、可愛くていじらしいダナとウーリーを魅力的に表現していた。柿澤さんはこの舞台のミュージカル部分の屋台骨だった。東京楽の柿澤さんのFunnyの迫力には圧倒されたし、物語の間を埋めてくれる芝居をしてくれていた。改めて柿澤さんの芝居歌が大好きだなぁと思ったよ。

 

楽曲がどれも素敵なだけに、別の演出家で観たかった。福田さんは王道ミュージカルだけじゃなく、もっと気軽に見にこれるミュージカルがあってもいいじゃないかと仰っていて、それにはとても同意できるんだけど、その結果がこの舞台というのは甚だ疑問。この作品である必要性はあったのか?もとの作品のクオリティからかなり下げられたものを見せられたという気持ちを抱かせる作りに反発があるのでは?その辺りが解消されない限り、福田さんの舞台は怖くて観に行けない。

 

もっと言いたいことあった気がするけど、疲れてきたのでここらへんで切り上げます。また思い付いたら追記するかも。

 

みんなお疲れ様でした!